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#49 私は「アニメージュ」に救われた

私が子どもだった頃、アニメはまだ「テレビまんが/まんが映画」と呼ばれていました。
そしてそれは「中学生になったら卒業するもの」というのが社会の共通認識だったんです。

1960年代には雑誌漫画も同様の扱いでしたが、「あしたのジョー」などを大学生が熱烈に支持し、文化人たちが高評価しだしたあたりから状況が変わりました。
しかしアニメのほうはまだそこには至っていないのでした。

だから「自分も自然とそうなるもの」と思っていたんですが、そうなりませんでしたね~。
だって私が中学に上がった頃って「ボルテスV」「ダイモス」などの長浜忠男作品、「ザンボット3」「ダイターン3」などの富野喜幸(由悠季)作品が超面白かった時期だったんですもの、やめられる道理がないですよ。

「宇宙戦艦ヤマト」の劇場版第一作が公開されたのが、ちょうど私が中一のとき。
ヤマトの本放送をリアルタイムで観ていた世代のアニメファンを俗に「おたく第一世代」と呼ぶんですが、私はその最年少に該当します。
年長の人たちの口から「アニメは世間が言うような子供だましではない!」という言説はすでに飛び出していましたが、周囲はまだ「中学生になってテレビまんがなんて観ないよね~」といった認識で、私はそれらの間で板挟みになっていました。

そんな頃、中・高・大学生などをターゲットにしたアニメ雑誌が創刊されだしたんです。
最初に出たのは「アウト」という雑誌でしたが、これはアニメ以外のサブカルやSFなんかも扱ってたんで、純然たるアニメ雑誌ではなかった。
やはり革命的だったのは1978年創刊の「アニメージュ」でしたね~。
なんたって誌名に「アニメ」と堂々と使ってるんだから。

「アニメージュ」の創刊号を手にしたときの感動は今も忘れられませんよ。
なんというか「中学に上がったからといってアニメを卒業する必要なんかないんだぜ」という免罪符を貰ったような気分。
「嗚呼、生まれてきて良かった・・・」とオーバーでなく思いましたね。

それから早43年が過ぎ、ゴールデンタイムのテレビでアニメ特集をするような時代になりました。
それはそれで良いことなんですが、「大人がアニメを見るなんておかしい」と言われた時代がほんの何十年か前にあったという事実も知っといてくださいね。

アニメージュ


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