熱海⇔湯河原は楽しく歩けるん?(1)吉浜海岸~大黒崎

ぎょうぎょうしく「熱湯ストレンジャー!」なんぞと名乗りをあげてから言うのもナンなんですけど、熱海と湯河原が無理なく歩ける距離関係になかったら、両者をまとめて「熱湯エリア」と呼ぶのには無理があると思います。
東京の人気スポット「谷根千」だって、台東区の「谷中」と文京区の「根津」「千駄木」が徒歩圏内にまとまってるから総称できるわけですからね。

さて、神奈川県湯河原町と静岡県熱海市とは、温泉街から海まで流れてる「千歳川」ってのを境界線にして接しとります。

つまり、行政上の区分だけで考えれば「熱海と湯河原は橋一本こえるだけで行き来できちゃう」わけなんですけど、当然ながらそんなんで達成感を得ることなんざできゃしません。
ただ単に「橋を渡ったな」と思うだけの話ですわ。

あたしが言うところの熱海ってのは「千歳川の対岸」のことじゃなく、ミナサマおなじみ貫一・お宮の愁嘆場(最近は欧米人から「オーマイガ—! クラシックDVデース!!」とか言われてるらしいですな)を山の上から熱海城が眺めてるあたりのことをさしますのさ。

つまり、千歳川の河口からそのあたりまで気軽にブラブラ歩いてゆけて、初めて熱海&湯河原は「熱湯エリア」と総称できるんだとあたしは思います。

インターネットって地球最大の集合知には人の世のたいていの情報が詰まってるって聞いてたんですけどねぇ……残念ながらあたしの知りたい「熱海と湯河原はお散歩気分で行き来できるのか?」って素朴な疑問の答えはついぞ見つかりませんでした。
熱海⇔湯河原の距離数だとか地図なんかだったら出てくるんですけどね、あたしら散歩人が最も重視する「安全に歩ける道は整備されてるのか」とか「勾配はどの程度あるのか」といった情報についてはぜ~んぜんヒットしないのでありますよ。

それは要するに「熱海⇔湯河原を踏破したネット民はいない」ってことなんでしょうけども、まぁ熱湯エリアは基本クルマ社会なんでしょうがないや。
地元民はアクセルふかしてひとっ走りだろうし、観光客だったら「ヘイ! タクシー」てなモンなんだろうと思います。
(熱海駅⇔湯河原駅の路線バスも一応運行してますけど、1時間に1本程度なんであまり実用的じゃないです)

え~い、こうなりゃてめえの足で歩いて確認するしかねえや!
そう考えたあたしは善は急げとばかりに、湯河原の「吉浜海岸」と熱海の「サンビーチ」と結ぶ海沿いルート(国道135号線)へ向かったのでありました。

出発は、2018年2月3日(土)のAM9:45でした。
スタート地点は、千歳川の河口近くにある巨大モニュメントの前であります。

国道135号線の先を見れば、熱海に向かって左側(海側)には歩道が設けられてなくて、ハゲかけた白線が頼りな~く引かれてるのみです。
対して右側(山側)には、車道より一段高くなった歩道がちゃ~んと設けられてますんで、まだまだ命が惜しいあたしは迷わずこっちのほうを進むことにいたしました。

とはいえ、その歩道……な~んか狭くってね、先行き不安になってくるんです。

「……この先、あたしは熱海までちゃんと行き着けるんだろうか?」
という不安が脳裏を一瞬よぎりましたけど、よくよく考えれば国道135号線はれっきとした路線バスの運行ルート
つまり「バス停まで歩いてくる利用者が一定数いる」ってことですから、常識的に考えて「歩道が途中で途切れる」なんざありえませんわな。

また、
「最悪『これ以上の歩行は無理だ』と判断したら最寄りの停留所からバスに乗って湯河原まで戻ればいいだけの話」
と考えたら、現金なモンで気分が急に楽になってきました。

ちゅうことで、計画決行! レッツラゴーです!!

9:52
歩きはじめて7分、あたしは最初のバス停「郷清水(ごうしみず)」に到着いたしました。

スタート地点ではか~な~り~頼りなげに見えた歩道も進むにつれて幅を増してきて、心配性のおぢさんもひと安心。
道が保証されたおかげで道ゆきはどんどん楽しくなってくのでありました。

バス停を過ぎたら……おっ、海側に「麦とろ童子」なる風情あふれるお店を発見じゃ!

あたしの故郷・静岡市の丸子(まりこ)地区(=旧東海道の丸子宿)には、江戸時代から続くとろろ料理屋「丁子屋(ちょうじや)」ってのがあるんです。
松尾芭蕉が俳句の題材にしたり、歌川広重が浮世絵に描いたり、地元出身の戯作者・十返舎一九が自著『東海道中膝栗毛』に登場させたりと、そこは逸話にはことかかない超老舗でしてね、だからってわけじゃないんですけど、あたしはとろろには目がありませんの。

いや、ガキんちょの時分には全然ちがったんですけども、二十歳を過ぎたあたりから徐々にそのおいしさがわかるようになってきて、五十路オーバーの今じゃすっかり大好物ですわ。
ミルキーはママの味、とろろは大人の味、ってことなのかしらん?

ちなみにこの「麦とろ童子」、ちょいとネットで調べてみると、
「相模湾の絶景を楽しみながら味わえる人気店」
とありまして、あたしは、
「また日を改めて絶対に食べに来ちゃろう」
と固く心に誓ったのでありました。

「麦とろ童子」をすぎると土砂崩れ予防の擁壁がやけにアーティステックな状態になってきましてな、なんだかあたしはイタリアの美術館にでもいるような気分になっちゃいましたわ。
(いや、イタリアの美術館がホントにこんな感じかどうかはわかりませんけども)

10:00
無自覚なアートの脇を進んでいくと、じきに次のバス停「上郷清水(かみごうしみず)」に到着であります。

停留所近くの海側には「見たか、これぞ海辺のリゾートじゃ!」とでも言いたげなオシャレ施設がひしめきあっとって、オシャレの対極にあるあたしはチト……いや、か~な~り~気後れしちゃいました。

そんな石田純一的ゾーンを見て見ぬフリしつつ先に進むと、歩道上に「落石危険通行不可」っちゅうおだやかでない看板があって、あたしら歩行者は一瞬だけ車道の白線内へ誘導されますけど、しかしそれは一瞬だけですぐ元へ戻れますんで心配は不要です。

10:08
デンジャラスゾーンを超えると、次のバス停「大黒崎(おおくろさき)」に到着します。

あたしの進む山側歩道の停留所は看板のみですけども、海側にはコンクリ作りのバス待ち小屋がございました。

けれどもその小屋、よっく目を凝らして見てみたらば……アララ昨今ちまたで問題化しとるスプレー塗料ラクガキがされちゃってましてな、
「……あ~あ、都会の毒がこんなトコまでまわってきとるのか……」
と、あたしゃ悲しい気分にさせられましたわ。

あのね、自称「アーティスト」のミナサンよ、チミらの「自称・作品」てのは自分らで思ってるほどカッコよくはないンですぜ。

そんな思いを抱きながらバス停を過ぎたら、「春陽亭」なるフランス料理店への入口が目につきました。
看板には「海を見晴らす森のレストラン」とあって、こちらもちょっと気になるお店であります。

もっとも、あたしなんぞがノコノコ行ったりしたら、
「……はぁ~? おめぇがフレンチだぁ? ナメんなよ」
と誰かから言われそうでありますけどもね。

いや、その「誰か」ってのがいったい誰なのかはわかりませんよ。
おそらくは単なる被害妄想なんで、どうぞ気になさらず先へお進みください。

【名所続出の(2)につづく】

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熱湯パンチ

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