見出し画像

サッカーを通じて世田谷を楽しく! 女子サッカークラブ「スフィーダ世田谷FC」インタビュー

スフィーダ世田谷FC(以下、スフィーダ世田谷)は、世田谷区をホームタウンとして活動する女子サッカーアマチュアリーグ最高峰のなでしこリーグ1部に所属するサッカーチーム。
「SFIDA(スフィーダ)」はイタリア語で【挑戦】を意味する言葉。サッカーを通じて世田谷を楽しくしたい!というスフィーダ世田谷の挑戦を、ねつせた!メンバー(すー・いちか・そね)が取材しました。

スフィーダ世田谷 コーチ 川島 珠生さん
スフィーダ世田谷 選手兼GKコーチ 岸 星美さん

スフィーダ世田谷の成り立ち

川嶋さん スフィーダ世田谷はもともと、「中学校に上がってもサッカーを続けたい!」という女子が集まって作られたクラブチームでした。そこから徐々にチームを強化し、一昨年にはなでしこリーグ2部で優勝、現在はなでしこリーグ1部(トップリーグ)でプレーしています。ただ、その結果自体もあまり知られておらず、「結果を残すだけでは、地域に方々に広く、知ってもらえない」という現実から、強くなるだけでなく「地域に根差していかないとクラブの未来はない」という危機感を持ちました。
そこで、名前に「世田谷」を背負っている以上、世田谷のためにできることを考え、地域に根差すチームになろう、と大きく方針を変更しました。
現在は地域事業や世田谷区社会福祉協議会さんとの事業連携の協定締結を実施するなど行政との連携をはじめ、ねつせた!さんともコラボさせていただきながら世田谷区を盛り上げる活動を模索している最中なんです。

フードドライブの活動について

画像3

いちか 6月末に地域貢献活動の一つとして、フードドライブを実施されたと伺ったんですが、きっかけを教えていただきたいです。

川嶋さん 「世田谷のために」何ができるかを考えたときに、自分たちは「世田谷をもっと楽しくしたい」というビジョンの元、まずは世田谷区の困りごとを解決するべく最初に取り組んだのが「食品ロス削減」でした。「食品ロス削減」とは、世田谷区社会福祉協議会(以下社協さん)さんが取り組まれている事業の一つで、、生活困窮者の皆様に対して食材をお届けする、という活動です。スフィーダ世田谷のホームゲームの際にもサポーターの皆さんから食材を集めて社協さんにお届けするという活動をすることにしました。また、実際に祖師谷商店街加盟店である「PLEADY LAB」(ジュニア向けのスポーツと健康を探求するスポーツラボ)さんの駐車スペースをお借りして、フードドライブ※も実施しました。

※フードドライブとは
各家庭で使い切れない未使用食品を持ち寄り、それらをまとめてフードバンク団体や地域の福祉施設・団体などに寄贈する活動を言います。
http://www.sfida.or.jp/🔗より引用)

そね 取材にあたってホームページも拝見したのですが「本当に幅広い活動をされているんだな」という印象を受けました。今後成し遂げたい大きい目標などはありますか?

川嶋さん 私たちの最大のゴールは「世田谷区で試合をすること」です。駒沢オリンピックの競技場も年に数回利用させていただいていますが、やはりスポーツ施設が潤沢にあるわけではないので、ホームスタジアムとして利用できているところが現状ありません。なので、「世田谷でホームゲームを開催する」ことが我々の目指しているゴールです。

そね 世田谷区での試合開催に向けて、何か動いていることはありますか?

川嶋さん 鋭い質問、ありがとうございます(笑)。
私たちの力だけでは難しいので、スポンサー企業様や世田谷区の方々にご協力をいただきながら、応援してくださる皆様とアイデアを出し合いながら作っていきたいと思っています! そのためにも、まずは世田谷の皆様に広く知っていただくことが第1歩目だと感じて、地域活動に取り組んでいます。

すー チーム設立以来、まずはサッカーで強くなることを目指してトップリーグでプレーされている、というのもすごいことだと思うんですが、メンバー募集や育成にも力を入れていらっしゃるんですか?

川嶋さん スフィーダ世田谷はピラミッド型の構造になっていて、地域クラブでは例に稀を見る育成型のサッカーチームです。特にトップチームは1/3が下部組織選手で構成しています。下部組織は、中学1年生(U13~U15)から高校3年生(U18)までありますが、小学校6年生を対象にした入会セレクションには毎年100人以上の応募があって、その中から各学年20名弱ずつ選抜させていただいて、U18ともなるとさらに選抜して20名弱に絞り込みます。。みんな切磋琢磨しながらトップチームで活躍することを夢見て頑張っています。

H(事務局) 先ほど、「チームを強くするには」というお話を伺ったので、私からは地域とのつながりのお話についても伺いたいのですが、「地域に根差す」活動をされる中で重要視されていることがあったら教えて下さい。

川嶋さん 今年、企業の方針(ミッション・ビジョン・バリュー)を一新しました。
「世田谷をもっと楽しくする」というビジョンの元、いろんな価値(バリュー)を生み出していくために、様々な事業に取り組んでいます。すべての事業に取り組むために大切にしているのが、スフィーダファミリーという考え方です。スフィーダ世田谷は、女子サッカーだけではなく、パラスポーツにも力を入れています。具体的には、ブラインドサッカー(視覚障がい者がプレーする)のチームを去年から立ち上げました。。関わってくださっている企業の皆様、サポーターの皆様、そして今お話しさせていただいているねつせた!の皆様もそうですが、うちのビジョンを知っていただくことで、「一緒に地域を楽しくしよう」とアイデアを出して下さる方が増えるのはとっても嬉しいことだと思っているので、発信し続けるということは意識しています。

"地域のお困りごと"を解決したい!

画像4

いちか 地域の方に発信し続けるというお話もありましたが、ねつせた!の記事を通して地域の方に知ってもらいたいことがあったら教えていただきたいです。

川嶋さん 先ほど「地域の困りごとを解決したい」というお話をさせていただいたんですが、去年世田谷区で動物保護をされている団体さんと一緒に殺処分0に向けてホームゲームで譲渡会をピッチの外で開催したんです。1年間でも何十頭しか譲渡先が決まらないというお話を伺っていたので、そのホームゲームの中で2頭の譲渡が決まったんですね。もちろん我々が持つ力だけではありませんが、困りごとを解決するという意味では、地域をつなぐスポーツクラブとしてパワーがあるのかな、ということを感じました。もし我々でお力になれそうなことがあれば「ご相談いただきたい」と伝えてもらいたいです!

チームの大黒柱! 岸選手へインタビュー!

そね クラブに所属されている選手の多くは、日中協賛企業等で勤務され、終業後や休日にサッカーのトレーニングをされていると思うのですが、ハードなスケジュールの中でサッカーが続けられている"モチベーション"って、何かありますでしょうか?

岸選手 元々はフルタイム・週5で働いて、その後練習っていう環境だったんですよ。それが、ワールドカップで日本代表が優勝したという結果や、雇用先やチームの理解など、様々な要件が重なり、勤務時間を少しずつ考慮していただけるようになり、今はとてもサッカーをしやすい環境になっています。
その環境の中で、自分でどれだけ時間を作って、プラスアルファのトレーニングを取り組んだり、サッカーに費やせるかは「サッカーが上手くなりたい」というシンプルな向上心だと思っています。

すー 色々大変なことはあると思うのですが、自分の支えになっているものは何だと思いますか?

岸選手 家族だったりとか友達だったりとか、同年代でも引退している選手とか、そういう自分の周りの人が喜んでくれることは支えになります。あと自分は本当にサッカーをするのが好きなので、できなかったことができるようになった時とか、イメージ通りの事ができるようになる時とかはやっぱり楽しいなって思います。やめられないですね。

すー チームの人間関係を良好に保つために心がけていることは何ですか?

岸選手 クラブの中では年齢が高い方なので、ただ自分の考えを押し付けるのではなく、若い選手たちのことを理解しようとはしています。あとはコミュニケーションをなるべく取るように心がけています。

H(事務局) 若い選手への理解を深める、とありましたが、実際に取り組まれたことがあれば教えていただきたいです。

岸選手 私が当たり前に思ってることは彼女たち(若い選手たち)にとっては当たり前ではないと理解することが大切だと思っています。同世代の人がいると、そこで固まっちゃって「こうだよね」って答え合わせしちゃうと思いますが、そうではなく「どうやったら理解できるか」っていう風な話し合いを持てることが大事ですね。例えば年代の近い川嶋とは「こうこうこうだよね。だけどこうやって理解したらいいよね」とかっていう具体的な話ができるので、自分一人の気持ちが追いつかない時でも周りの人に助けてもらいながら理解することができています。

そね 今から数年前だと女子サッカーに対する社会的な逆境があったと思うんですけど、それらを乗り越えていくために、チームで、もしくは岸選手自身が意識していたことは、何かありますか?

岸選手 環境を変えようと頑張っていたことは自分の中では特になくて、サッカーをやっているうちにだんだん認められてくるかなって思っていました。やっぱり代表チームが結果をだすとかそういう大きなことが社会的にはすごく影響を及ぼすのかなと思います。個人としては、サッカーのレベルを上げること、そして試合の時には気持ちよく送り出してもらえるよう、働かせていただいている企業の中でも頑張る、みたいなことを意識していました。環境を変えるというより、競技力を上げていった、っていうところですかね。

すー 「これだけはほかのチームに負けていない」というポイントについては、いかがでしょうか?

岸選手 元気なのと、前に進む力は結構あります。あとは上下関係がありません。みんなが基本フラットなんですよ。雰囲気はいいと思います。

画像5

H(事務局) もともと鳥取のご出身で、世田谷にも長く住まわれていると思うんですけど、世田谷の「良さ」ってどんなところだと思いますか?

岸選手 大学で東京に来たんですけど、その時は世田谷に来る機会ってほとんどなくて。でも今こうやって社会人になって東京に戻ってきて、「世田谷ってとても住みやすいな」って思いました。自宅が祖師谷エリアですが、商店街もすごく沢山お店がありますし、人も温かいですね。商店街に挨拶させていただく機会もありますが、クラブのポスターを飾っていただいたり、ご飯食べてるときに声かけていただいたりとかもあります。二子玉川エリアはテレビでしか見ないような世界でしたし、すごいおしゃれなカフェとかレストランとかもいっぱいあり、何でも揃っているなって思いました。

岸選手からねつせた!メンバーに質問

岸選手 こういう活動に参加する機会が自分の時にはなかったので、すごいなと思って聞いていたんですけど、ねつせた!で活動しようと思ったきっかけとか「将来どうなりたい」とかあれば教えていただきたいです。

そね 将来についてはまだはっきりとは決まっていないんです。ただ、自分の住んでいる地域のことはすごく大切にしていきたいなと思っています。ねつせた!に参加した理由の一つにも、自分の住んでいる地域のことを誰よりも深く知りたいって思いがありました。

いちか なりたい職業とかは特にないんですけど、ねつせた!に入ったのも直感的にやってみたいなって思って参加したので、なんかやりたいことがあれば何でもチャレンジできるような人ではいたいと思っています。

すー ねつせた!に参加しようと思ったきっかけは、何もサークルとかやってなかったので何か打ち込めるものを探したいという思いがありました。すごく抽象的にはなってしまうんですけど、将来は楽しく働きたいと思っていて、自分でやりがいをもって何かに取り組んでいくということがとても素晴らしいことだと思うので、それを目指しています。

岸選手からメッセージ

画像6

岸選手 今回ケガしたのもちょっとやりすぎたかなってところがあったので、バランスがすごい大事だなと思っています。好きなことをやっているとそれが苦にならないと思うんですよ。自分もサッカーやって、そのあとトレーニング行ったりするのも苦を感じなくて、ついついこう楽しくなっちゃっていろいろやりすぎちゃうんですよね。好きなことを見つけてそれに取り組む中でも、やっぱり自分の事を大事にしてあげる時間をうまくバランスとりながらやっていくことが大事かなって最近は思っています。また、自分一人でどうこうっていうよりはやっぱり周りの支えがあってこそ成り立っていることなので、●●だけしていればいいっていう感じではないですね。三人の方のお話聞いた時に、今こうやって何かを始めようと思って一歩踏み出している時点でスタートが切れているんだっていうのはすごく感じましたし、何かをしていればほかの大きな事にもつながっていくと思います。自信をもって楽しんでやっていくことが大事なんじゃないかなって思います。勉強になります。

メンバーからの感想

いちか 選手の方とこうやってお会いすることが貴重なことだったので、すごいいい経験ができて良かったです。短い時間でしたが、お話していただき、ありがとうございました。

そね まずは地元に拠点を置くスポーツチームの活動をよく知れたというのもそうですし、こうして選手の方と実際にお会いしてスポーツに限らず個人的なお話とかもいろいろ伺えたので、本当にいい経験になりました。ありがとうございました。

すー 本日はお忙しいところありがとうございました。スポーツの部分ももちろんなんですが、社会人としての責任であったり、会社の中でスポーツをしているといいうお話があって、私としてはすごくこう、はっとさせられたというか、これから社会人になっていく身として参考にさせていただきたいと思うところがとてもあって、本当に勉強になりました。ありがとうございました。

岸選手 こちらこそ、ありがとうございました!


スフィーダ世田谷FC Twitter


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?