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明大生がイチから創造する「シェイクスピア演劇」の世界。|《 学生演劇を追う!》明治大学 編


こんにちは!スタッフの望月です。

《 学生演劇を追う!》シリーズ!
今回は、明治大学 編 をお送りします。

たくさんの役者を輩出していたり、数多くの劇団が発足していたりと、演劇界に大きな影響を与えている明治大学。

そんな明治大学で毎年行われる、
ある大きなプロジェクトをご存知ですか?

「明治大学 シェイクスピアプロジェクト(MSP)」


2004年から明治大学で発足したMSP。
一体どんなプロジェクトなのか。
なんと、今回、メンバーの方々に直接取材をさせて頂きました!
取材を通して感じた、MSPの魅力をご紹介します。


◆明治の学生が1から作る大舞台。

MSPは〈明治大学の学生が舞台を作る〉というプロジェクト。
「規模の大きい演劇サークル?」「大学生の個人劇団?」と想像する方もいるかと思いますが、このプロジェクトは他の演劇団体と少し違うのです。

MSPとは、明治大学が主催となった
日本最大規模の学生演劇団体なのです。

このプロジェクトは、明治大学が主催しているプロジェクトで、キャスト、台本の翻訳、企画運営など、上演に関わる全てを、学生主体で進め、舞台をつくり上げていく、というものです。

本プロジェクトは、全ての学部生が受講できる共通科目「シェイクスピアの現代的魅力」を起点として、シェイクスピアの作品について机上で学ぶだけではなく、実際に舞台で表現して、その魅力を学ぼうという想いから、2004年に開始されました。

本プロジェクトを通して、コミュニケーション能力・表現力を高め、一つのプロジェクトを遂行するための実践的な力を磨くことを目的としています。

明治大学HPより

舞台製作によって得られる学びを、学生に体感してほしいという想いが伝わってきます。
大学の協力体制が整った環境で舞台製作が進められるのは、演劇に縁の深い明治大学ならではだと思いました…!

そして、わたしがすごいと思ったのが、
充実した スタッフワーク と 舞台の完成度の高さ です。
MSPには10種類もの部署があり、公演に臨む体制がとても本格的です。

具体的には、

キャスト、楽器隊、宣伝美術部、演出助手部、照明部、音響部、制作部、映像・スチール部、衣裳部、舞台美術部

があります(舞台音楽を生演奏しているというところも驚きです…!)。

公演が行われる明治大学アカデミーコモンホールのキャパシティーは、なんと1000人以上。
準備開始から本番まで1年にも満たない期間で、このような大規模なホールでの公演をつくり上げることができるのは、多くの部署がそれぞれ連携し、細やかなスタッフワークが行われているからこそだと感じます。

また、舞台の完成度がとても高い…!
わたしは映像で過去の公演を拝見したのですが、作品の世界観をとてもリアルに感じられる舞台美術、演出に、一気に引き込まれました。

また、MSPでは、各部署にプロの専任講師がつき、舞台製作をサポートしています。
このサポートを受け、学生さんたちが、学んだことをしっかりと自分のものにして、その上でつくり上げられた舞台だからこそ、多くの人の心をつかむシェイクスピア演劇が生まれているのだと感じました。


◆翻訳チーム「コラプターズ」の存在。

シェイクスピア演劇と聞いて、どんな印象をお持ちでしょうか。
シェイクスピア初心者の私はというと、「古典演劇特融の遠回りな表現がたくさんあって、理解をするのに時間がかかるのでは…」という不安がありました…。

しかし、実際にMSPの作品を観てみると、そのような不安を感じる必要はありませんでした。

台詞ひとつひとつが、すっと入ってくる…!

MSPでは、シェイクスピア作品の原文を1から翻訳する「コラプターズ」という翻訳チームが存在します。
コラプターズが伝統として大切にしていることが「学生らしい言葉に翻訳する」ということ。
学生が言いやすく、それでいて原文のクオリティーは保つ翻訳を意識しているそうです。
チームの皆さんによって翻訳された、堅苦しくない、耳当たりの良い言葉たちは、ストーリーを自然と心身に落し込んでくれます。
そして、シェイクスピアが生み出した美しい台詞に、わたしは「シェイクスピアってすごい!面白い!」と感じ、それと同時に「これを翻訳した明大生ってすごい、、、!」と感じたのでした。

公式HPでは、過去の公演が公開されています。
原文の美しさをそのままに、分かりやすく表現されたMSPのシェイクスピア演劇、ぜひご覧ください…!


◆演劇から広がる「ワクワク」。

大学の支援体制が整っていて、がっつりと演劇製作に携わることが出来るMSP。私の中で、「一体どんな人たちが参加しているのだろう。」という疑問が生まれました。
そこで、2022年度のプロデューサー・金子真紘さんと、演出・養父明音さんに、MSPに参加したきっかけをお伺いしました。

《大きなプロジェクトに打ち込みたい!》
プロデューサー
金子真紘 さん(文学部 日本文学専攻)

もともと中学・高校で演劇部でした。でも、照明やキャストなどを担当していて、プロデューサーに繋がるようなことはしていなかったんです。
舞台をつくることももちろん好きなのですが、それと同じくらい大きなプロジェクトに打ち込むことが好きなんです。
MSPは1000人規模の大きな公演なので、大規模な舞台がつくれると思ったのが参加したきっかけです。
説明会の時に、先輩から「制作部は色んな部署のまとめ役だよ!」と説明を聞き、面白そうと思い制作部に入りました。
今はプロデューサーとして、全体統括・カンパニーの代表を行っています。

《いろんな人と関わって、コミュニティを広げたい!》
演出
養父明音 さん(文学部 文芸メディア専攻)

私は中学・高校と剣道部で、まったく演劇との関わりがありませんでした。観劇経験も一度もなくて…。高校3年生のクラス演劇で、未経験ながら脚本演出をしたのですが、そこでいろんな人と関わる機会がすごい多かったんです。舞台をつくるにあたって初めて関わる子もいたりして「私は人と関わることが好きだな」と改めて感じました。
大学1年生の時はコロナ禍まっただ中で、大阪から上京してきた私は全然知っている人がいない状況でした。そんな時、明治大学の学生サイトにMSPの案内が届いて、「規模が大きいし、色んな人と関われそう!」と思って参加しました。


2人のお話を聞いて、とっても感動しました。

「舞台をつくる目的はどんなものでも良くて、
そこから広がる出会いや 興味こそが、MSPの魅力なんだ!」

自分の興味のあることの追求であったり、新たな挑戦であったりと、MSPに参加する目的は様々。参加する学生さんたちは、MSPの中で分かち合う新たな価値観や考えによって、自ずとその後の自分自身を形成していくのだろうと思いました。

そして、演劇の初心者・経験者関係なく、分野も専攻も違う仲間が一緒になって一つの舞台をつくる経験は、生涯かけがえのないものになるのだろうな、と感じます。

取材をさせて頂いた
養父さん(左)と 金子さん(右)



【公演概要 】

第19回明治大学シェイクスピアプロジェクト
『夏の夜の夢』『二人の貴公子』

※新型コロナウイルス感染状況により、公演の観覧方法の変更や、公演を中止する場合がございます。

期間:2022年11月上旬(予定)
劇場:明治大学駿河台キャンパスアカデミーコモン3階アカデミーホール
( 〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 )
原作:原作:W.シェイクスピア ほか「夏の夜の夢」「二人の貴公子」
翻訳:コラプターズ(学生翻訳チーム)
プロデューサー:金子 真紘(明治大学文学部新2年)
演出:養父 明音(明治大学文学部新3年)
コーディネーター:井上 優(明治大学文学部教授)
主催:明治大学

お問い合わせ先
E-MAIL : meiji.bunpro@gmail.com(制作部)
Twitter : @m_shakespeare
Instagram : meiji_shakespeare
Facebook : 「明治大学シェイクスピアプロジェクト」で検索!

明治大学シェイクスピアプロジェクトHPより


公演本番まで、あと7か月です。
楽しみにその日を待とうと思います。

MSPは、明治大学の在学生はどなたでも参加できます。
気になった明大生さんは、是非、参加してみてはいかがでしょう!


ユニコ・プロジェクトでは、今後も「明治大学シェイクスピアプロジェクト」の様子を取材・調査をしていきます。
ユニコTwitterでも、随時情報を発信していきますので、是非ご覧ください。

次回のMSP特集も、お楽しみに…!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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