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深刻化する人手不足と事例Ⅰ

 本日は、診断士2次試験にもつながりそうな話題として、「人手不足」について考えてみたいと思います。私も、いろんな企業とお話しすることが多いのですが、なかなか大変な状況となっています。人手不足の問題を、令和4年度の過去問もあわせてみていけたらと思いますので、お付き合いください~。(※本文章はほかのブログでも書いていますが、同一人物が書いていますので、決して盗作ではありませんよ!)

人手不足で飛行機が飛ばせない!?

 建設業、警備業、小売業…。様々な業界で「人が足りない」ということが毎日のようにニュースになってますよね。最近でも、「大阪万博のパビリオン建設の遅れは、建設業界の人手不足に一因がある」とするニュースをよく見かけます(労働規制の上限を適用するかどうかも問題となっていましたよね)。また、「物流の2024年問題」では、トラック運転手などに労働時間の上限が課されるなどで、残業代が目減りすることから、ドライバーのなり手不足が懸念されています。

 また、人手不足の問題は、意外なところにも波及していることを思わせるニュースがありました。それは、「空港の地上業務(=グランドハンドリング)の職員不足により、国際線の就航ができない」ということです。実は、私の仕事柄、こうした業界の方ともお話する機会があるのですが、コロナによる渡航規制がなくなり、インバウンド需要があるにも関わらず、グランドハンドリングを担う職員(例えば、航空会社のカウンター業務)の不足により、海外の航空会社が日本の地方空港に就航できないという事態も起きています。いわば、地域経済の浮揚に欠かせないインバウンド需要を人手不足により取り逃している、といっても過言ではありません…。国土交通省も対策に乗り出したようです(参考までに、興味ある方はこちらのリンクをご覧ください)。

2023年中小企業白書に見る人手不足

 企業の人手不足に対する危機感は、2023年の中小企業白書にも表れていました(2023年白書の概要版はこちら)。【総論⑥】のページでは、企業の人手不足感がコロナ禍で一時弱まったものの、足元では再び増していることがわかります。人手不足への対応策として、正社員・パート社員の採用、業務プロセスの効率化による生産性向上、社員の能力開発による生産性向上などなど、さまざまな対策が記されており、実際に頑張っている中小企業の例も出てきていますので、ぜひ、白書も参照してみてはいかがでしょうか。ちなみに、実例では、デジタル化、多能工化、報酬アップ、子育て世代等に対する柔軟な働き方の実現、兼業・副業人材の活用など、様々な事例がでてきますよ。

令和4年度事例Ⅰでみる人手不足

 昨年度、令和4年度も事例Ⅰで人手不足に対する対応がダイレクトに問われました。設問文のみ引用しておきますね。

第2問 A 社が新規就農者を獲得し定着させるために必要な施策について、中小企業診断士として 100 字以内で助言せよ。

 与件文の中には、「繁忙期は従業員総出でも足りない」とか、「従業員の定着が悪く、新規就農者を確保するのが難しかった」などとあるため、A社が人手不足に悩んでいたことが窺い知れます。もちろん、フレームワークとしての「幸の日も毛深い猫」とか「茶化(サハホイヒ)」などを使って解くことになるのですが、人手不足が問われた場合、「いかに人を獲得し、その人を辞めさせず、モチベーションを持って働いてもらうか」を与件文の記述をもとに探っていくことが大事なのではないかな、と考えます(解答キーワードについては【ふぞろい16】をぜひご参照ください!)。

人手不足は事例Ⅰでの頻出テーマ

 人手不足については、ふぞろい16の事例Ⅰ特別企画(38ページ~)でも取り上げています。どのように必要な人材を獲得し、モチベーション高く定着させるかはまさに、人事施策の要諦でもあります。
 過去問を見ても、「社員のモラール向上(R1)」「有能な人材を確保していくための人事施策(H28)」「非正規の低い離職率を維持するための施策(H25)」などなど、この種のテーマはよく問われていることがわかります。
 事業承継(M&A含む)などと並び、人手不足への対処は中小企業が直面している重要な課題ですし、事例Ⅰでも繰り返し問われています。この機会にぜひ、過去問を整理してみてはいかがでしょうか。

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