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【先生インターンレポート】 生徒を送り出す先の「職場」を知り、教員として出来ることをみつめ直す

都立工芸高校で教師として働いていらっしゃる川人武さん。春休み期間中、ブランドスタジオ/デザイン事務所の株式会社カラスで「先生インターン」に参加されました。「先生インターン」は、教員が企業で仕事を体験し、生徒への進路指導の糧にすることを目的としたNEWGATEのプログラムの一つです。デザイン科の教員である川人さんが、デザインの現場で感じたことを語ってくださいました。

Q「先生インターン」に参加したきっかけを教えてください

「高校生の就職活動にもっと選択肢を与えたい」というNEWGATEのビジョンに共感し、NEWGATEを展開している株式会社Spark永田社長に、私から連絡を取らせてもらったのがきっかけです。その後、私の職場に来ていただいた時に「先生インターン」について伺い、ぜひ参加したいと思いました。

Qもともと川人さんは、デザインの勉強をされていたんですか?

大学では、教育学部で主に絵画を勉強していました。教員になると決めた時は、美術の教員になるつもりだったのですが、今の高校でデザイン科に配属され、それからデザインの勉強を始めました。

今回のインターンで、カラスさんの職場の雰囲気を知れたことは、とても大きな収穫でした。生徒たちをどのように育て社会に送り出すか。それは、職業高校の大きなテーマです。インターンで多くの社員の方と接し、制作の現場で求められる人物像に触れることができました。学校が目指す生徒像と共通する点もあればそうでない点もあり、多くの発見がありました。

Q具体的に、どんなことが学べましたか?

デザイナーのみなさんが取り組まれている仕事の流れを見せていただき、とても勉強になりました。仕事を受注して、どんなアイデアが出て、どの案がクライアントに通ったかを一貫して見せてもらいました。
生徒たちの場合「自分はこのデザインが好き」という気持ちが強すぎて、上手く進められないことが多いのですが、プロはそうじゃない。クライアントが何を求めているかをしっかり理解して、提案に臨むべきなのだとわかりました。

ー確かに、現場では考える時間も限られてきますよね。

そうですね。むやみにたくさん案を出せばいいわけじゃないという事も、デザイナーさんが仰っていました。限られた時間のなかで、クライアントの意向を汲み取った案を的確にアウトプットするのが、プロなんですよね。

また、仕事を見せてもらって驚いたのは、あるデザイナーさんが色々なロゴやデザインを、フォルダに分けて沢山ストックしていたこと。例えば「温泉のロゴフォルダ」とか(笑)

「デザインのインスピレーションをどこから得るか」というのは生徒たちがいつも苦戦するところです。日々いいデザインを集めておくと、いざ作る時にスムーズだとわかりました。

生徒たちは「既存のデザインから着想を得ると、誰かがつくった作品のパクリになってしまうのではないか?」ということを気にして、リサーチをおろそかにしてしまうことがあります。しかし、デザイナーさんは「あくまで着想しただけで、自分の意思で完成させたものは最終的には自分のオリジナルになる」と仰っていて、とても納得しました。
やはりプロの経験からくる言葉には説得力があるので、早く生徒たちにも伝えたいです。

Q川人さんの学校では「先生インターン」に興味を持ってもらえそうでしょうか?

まだ周りの教員には話せていませんが、このプログラムが肩肘張ったものではなく、生徒たちに還元できる学びがあるという事を伝えれば、興味を持ってくれると思います。

ー先生と一般企業の社員で「交換インターン」を行うのもいいかもしれないですね。

いいですよね。企業の方も、教育の現場で学べることはきっとあると思いますし、生徒にとっても彼らが目指す職場で働く人たちの生の声を聞ける貴重な時間になると思います。

<📷インターン期間中に、カラス、エードットの社員に向けてデザイン講座を行っている様子>

Q川人さんの生徒さんも、カラスでインターンをされたんですよね?

はい、お世話になりました。彼女は将来のビジョンをまだうまく描けていませんでしたが「グラフィックデザインの仕事が結構好きだということに気づいた」と話していました。それまでは進路を考えるのが億劫なようにみえましたが、現場で仕事をするイメージがついたからか、これからの進路について考えるきっかけになったみたいです。今回カラスさんでインターン生として受け入れてくれた事には、とても感謝しています。

Qこれから挑戦したいことはありますか?

インターンの話からは離れてしまいますが「デザイン教育の可能性」をもっと多くの人に知ってほしいと思っています。いま私はデザインに興味のある高校生に教えていますが、もっと沢山の人とデザイン教育の大切さを共有し、小中学校の段階から、また学校以外の場でもデザインに触れる機会をつくっていきたいです。
デザイン教育が必要なのはデザイン人材だけではなく、若い人たちも含めたすべての生活者。デザイン教育の裾野が広がり、良いデザインを理解する人が増えれば、より豊かな社会をつくれると思います。

ーデザインにあまり理解がなかったり、自分とほど遠い世界だと思っている人が多いですよね。
そうなんです。でも実は、デザインは誰もが日常で接しているものです。例えば、企画書のレイアウトを組んだりするのもデザイン。

学習指導要領が改訂され、プログラミングや英語教育などはメディアでも度々取り上げられていましたが、デザイン教育についてはほとんど注目されませんでした。一教員にできることは限られてきますが、次に改訂されるまでに、何かしらアクションを起こしたいです。

ー「いいデザイン」を理解できる人が増えれば、きっと「いいデザイン」を求められる社会になりますよね。

そうですね。デザインに理解のある社会をつくるために、小さくても声を上げていきたいです。もちろん、目の前の生徒たちとの時間を楽しむことも大切にしていきたいと思います。


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