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僕のレンズで見た世界 #5

新日本フィルハーモニー交響楽団、コントラバス城 満太郎が音楽やその周りの風景を写真で紹介するnote。
城のレンズを通した世界を、城の言葉と共にお届けします。ステージ裏や、リハーサルの様子、ホール周辺の街並みなど、奏者目線の写真をお楽しみください。


9月に入りましたがまだまだ暑い日が続きます。新日本フィルハーモニー交響楽団は夏の間も精力的に活動をしていました。本拠地である墨田区錦糸町のすみだトリフォニーホールでの公演のみならず、日本各地へと出向いて様々な演奏会でお客様にお目にかかってきました。

前回の記事ではマエストロ久石譲とのワールドドリームオーケストラへ向けてのリハーサルの模様をお伝えしましたが、そのコンサートも、東京、名古屋、大阪と3都市での公演でした。
その後もアートキャラバンというコンサートシリーズで徳島県美馬市、香川県観音寺市へ。大河ドラマのテーマ曲徹底解剖という企画では愛知県岡崎市へと伺いました。

この記事では本拠地を飛び出した新日本フィルがどのような場所でコンサートをしているのかご紹介していこうと思います。

まずはアートキャラバンで伺った徳島県美馬市からです。
美馬市は徳島県の中では北西部にあり吉野川や「うだつの街並み」で知られています。
新日本フィルが今回伺った美馬市地域交流センター・ミライズはその吉野川の目の前、うだつの街並みのすぐ隣にありました。


写真の左手に見える白い建物が演奏会場のミライズです。
その名前の通り地域の方々が様々な目的で立ち寄ることができる施設です。

センターの前を流れる吉野川には潜水橋と呼ばれる欄干のない橋がかかっています。


頻繁に氾濫が生じることから川の左右の堤防より低いところに橋が架けられ、流れてくる流木がひっかかり橋の負担にならないように欄干が無いのも特徴です。


ホールの目の前の土手から潜水橋を見るとこのような風景でした。

そして山あいにしずみゆく夕日をみたくなり潜水橋まで向かいました。

自然の風景を堪能した後は「うだつの街並み」を見にいきましょう。慣用句にうだつが上がらないというのがありますが、このうだつの語源となったのが写真にある家と家の2階部分を分けるように突き出している部分です。

当初は防火の目的で設置されたようですが、のちに装飾性が高くなったようです。
設置には多額の費用がかかったので富の象徴となりうだつが上げられるのは富裕の家庭であることから転じてうだつが上がらないという慣用句が生まれたそうです。

そして街の中にはうだつが上がるようにと祈願するうだつ稲荷もあります。

そして美馬市でコンサートを終えた新日本フィルは翌日の香川県観音寺市でのコンサートへ向かいます。

観音寺市は香川県の西端に位置し瀬戸内海に面しています。コンサートの会場は観音寺市民会館・ハイスタッフホールです。

観音寺市民会館・ハイスタッフホールは平成29年に開館した比較的新しいホールです。今回の公演で伺った際に会館の方から出していただいたケータリングに観音寺市の見どころである巨大銭形砂絵についてのボードがありました。地図で確認するとホールからは少し距離があるもののゲネプロ(当日ステージリハーサル)と公演の間の時間にいけそうではあります。
ということで、現地で自転車を手配して現地を見に行ってきました。

砂絵の場所自体はすぐに見つかったものの、あまりに巨大な砂絵は地上からその全貌を把握することはできませんでした。周囲を確認すると、銭形展望台への看板があります。そうです、ある程度の高さから見下ろさないと確認できないほど巨大な砂絵なのです。

10分ほどかけて険しい階段を登った先には瀬戸内海に沈みゆく夕陽と寛永通宝の砂絵が素晴らしい景色となって眼前に広がっていました。

ふと後ろをみると舗装された道路と駐車場があったので汗だくにならずともここまで来るまで来ることができたようですが、登って汗をかいた達成感は格別です。

次に伺った街は愛知県岡崎市です。『大河ドラマのテーマ曲徹底解剖』という指揮者の下野竜也さんの企画でした。会場は岡崎市民会館あおいホールです。
駐車場からホールへと続く遊歩道のサンシェードがピアノの鍵盤を思わせるデザインとなっています。


岡崎市民会館の最寄駅は名鉄名古屋本線の東岡崎ですが、そこからの徒歩でのアクセスの途中に「桜城橋」という歩行者専用の幅広い橋があります。岡崎市産の木材をふんだんに使用したゆったりとした作りになっています。橋の上を歩いているとほんのりヒノキの香りが漂ってくるので、心が豊かになるきがします。

演奏会の後に東岡崎駅へと向かうと日没が近い時間となっていました。演奏会の余韻にお客様もプレイヤーも浸りながら帰宅の途へとついています。

新日本フィルの8月の活動を一部ですが写真と共に振り返ってみました。
すみだトリフォニーホールでの定期公演だけでなく、各地の演奏会の予定も新日本フィルのホームページのコンサート情報のカレンダーには掲載されています。
ちょっとした旅行にコンサートを組み合わせて秋のお出かけの参考になれば幸いです。

(写真、文:城 満太郎)

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城 満太郎 (じょう まんたろう)

千葉県出身。東京藝術大学音楽学部を卒業後渡独。ベルリン・ハンスアイスラー音楽大学卒業、ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団より奨学金を受け同オーケストラアカデミーにて研鑽を積む。吉田秀、永島義男、エスコ・ライネ、マティアス・ウェーバー、スラヴォミル・グレンダの各氏に師事。
2011年入団。現在新日本フィル コントラバス・フォアシュピーラー。

Twitter:@JMantaro
Instagram:@MANTAROJO

ヘッダー写真:木下 雄介

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