深く知る

長年通っている美容院は
おしゃれなエリアにある

カフェ、レストラン、アパレル
全てが雑誌に
出てくるような街

服にもメイクにも
無頓着な私には
縁遠い場所

10年以上前に
背伸びをして
憧れの街で
美容院を探した

そのお店は
私のパワースポット
行くだけで
気分が上がる
いつもと違う自分に
なれた気がする

だがそのご利益は
長くは続かない
お店を出ると
魔法はとける

おしゃれな
街並や道行く人々と
自分との
コントラストに
耐えられない

居心地の悪さを
感じてそそくさと
撤退する

長年ずっと
その距離感だった

先日は
ふと思い立って
この街を訪れた

美容院という
免罪符なしに

目的は街歩き

建物、お店、道路、
民家、店員さん、通行人、
服、靴、メイク、家具、空気

モダンとレトロ
最先端と老舗
流行と個性
行列と空き店舗
夢と挫折

色んなものが混ざり合って
全体としてとてつもない
パワーを感じた

キラキラしていたのは
ほんの一部

身近に感じられる
ところもあったし
初めての経験で
ワクワクしたことも
あった


私は今まで
この街の何を
見てきたのだろう

勇気を出して
ドアを開ければ
そこには
拘りの一品や
プライドと熱意を持って
仕事をしている
素敵な人たちとの
出会いがあったのに

美容院のように

手の届かない
遠い存在だった街が
とても愛おしいものに
思えた

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