見出し画像

下北のシャイな古着屋のおじさんとEDWINのスリムジーンズ

・昨夜、髪を切りに行った奥様を下北まで迎えに行った。

・下北は最近あまり行かなくなった。

・古着については高円寺で満足してしまっているから、というのが大きいと思う。

・下北の中心部のパーキングは高い。「12分 200円」だと。

・なんだこの中途半端な分数は、と思ったけど、そうか、12は60の約数であり、60分で1,000円になる計算か。

・とか考えながら、下北の中心にそびえ立つドンキの前で奥様を待っていた。

・下北にドンキができたことさえ知らなかった。

・この場所は以前はゲーセンだったはずだよな、と思い出していると、そういえばこの近くに、20年ほど前、僕がまだ20代前半の時によく行っていた古着屋があったなと思い出した。

・お店の名前は忘れてしまったが、小道に沿った細長い店構えで、こじんまりしているけどいい感じの品揃えで、僕の下北古着めぐりコースには必ず入っていた。

・そのお店の店主はシャイなおじさんだった。

・お店にお客さんがいても全然喋らないけど、買おうと思ってレジまで行くと、ボソっと『いいよね、それ。』と言ってくれたりした。

・そういうときは、なにか、自分のセンスが褒められたようで嬉しかった。

・当時僕はとにかく細いジーンズが欲しくて、でもその時代はまだスキニージーンズなどが現れておらず、簡単には細くてカッコいいジーンズは手に入らなかった。

・そんな中、そのシャイなおじさんの古着屋には、ときどきいい感じの細いジーンズがあった。

・しかも、それはLevi'sではなく、だいたいEDWINだった。

・EDWINのジーンズは日本人向けだから、無理にLevi'sのスリムジーンズを履くよりもフィットする。

・しかも比較的安い。3,000円ぐらいで買えた。

・僕はその店で3本ぐらいEDWINのスリムジーンズを買ったはずだ。

・それらをとても大事にしていた。さすがに細すぎてしばらく前に処分してしまったけど。

・小雨の降る中、下北にあまり似合わないドンキの前でシャイなおじさんの古着屋を思い出していた。

・2000年代前半、僕は週に3日ぐらい下北にいた。

・あのおじさんは、いまどこで何をしているのだろうか。

(end)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?