見出し画像

今、九州という産地のポテンシャルを知る。食事としての“パンケーキ”の愛し方

いつの頃からか、パンケーキは私たちの生活に随分と馴染む料理になったなあと思うことがあります。遠い昔、両親が焼いてくれる特別な日のおやつだったパンケーキも、今や専門店があったりカフェの定番メニューとして提供されたりと、それはそれは身近なものになりました。

けれど、こうして暮らしを彩るパンケーキにもまだまだ知らない楽しみ方があるのだと教えてくれた方がいます。株式会社九州テーブル代表取締役の内村健久さんです。

九州テーブルのメイン商品は「九州パンケーキ」というパンケーキミックス。九州地方産の素材のみを使用したパンケーキミックスで、独特のもちもち感と素朴な味わいがとっても印象的。

「九州パンケーキ」のこだわりから紐解くパンケーキのまだ見ぬ愛し方。それを内村さんに尋ねます。

目玉焼き&ベーコン乗せで極上に。プレーンなパンケーキを味わう

「パンケーキ」という言葉を耳にしたとき、私たちの頭に思い浮かぶのはどういったイメージでしょうか。きつね色に焼かれた円形状の薄めのケーキに、ホイップクリームやアイスクリーム、フルーツのジャムやメイプルシロップ……そういった甘さをプラスオンしたものという人も多いのではないでしょうか。

「実は、デザートのように甘さを加えて楽しむものは“ホットケーキ”、ベーコンやスクランブルエッグなどと一緒に食事として楽しむものは“パンケーキ”と称されています」と内村さん。なんと……パンケーキって……甘いデザートのことではないんですね……。

「九州パンケーキ」はそのパンケーキの本来の定義に基づいて、食事としても楽しめるもの実現したパンケーキミックスなのだそう。まずは百聞は一見に如かずということで、実際に「九州パンケーキ」を購入して朝ごはんに作ってみました。

画像1

九州テーブルの公式サイトで紹介されているレシピに基づいて調理していきます。

画像2

「九州パンケーキ」1袋に対して、卵1個、牛乳200mlを用意。あとは材料をさっくり混ぜて、バターを薄くひいて弱火に加熱したフライパンに流し込むだけ。

画像3

柔らかい“ジュウウウ”という音に耳を傾けながら焼き目が付くのを待つだけという、とろっとした眠気が残る朝に嬉しいお気軽さ。

画像4

さて、焼き上がったパンケーキをお皿に盛り付けたら今回は目玉焼きとベーコンをトッピングしてごはん仕様に。なんだか贅沢……。

……と、問題はそのお味です。パンケーキにナイフを入れて、半熟のたまご、ベーコンと共に口の中にイン。すると、塩気が効いていてなんとも言えないおいしさに。

また、それ以上に驚いたのが生地のもちもちっとした弾力と飽きのこない優しい味わいです。腹持ちはとっても良いのに、ペロリと食べられてしまう不思議な感覚がやみつきになりました。

パンケーキミックスには砂糖が入っているものの、さとうきび原料が100%使用されているので後に引かないささやかな甘さ。ペロリと2枚いただいてしまい、翌日も、また翌日もとリピートしてしまうほどでした。

物珍しいものではないはずのパンケーキだけれど、こんなにもさりげなくて、確かなおいしさがあるなんて。その味わいを生み出す「九州パンケーキ」のこだわりを内村さんに教えていただきます。

“良質な九州素材”を詰め込んだパンケーキミックスが生まれるまで

「九州パンケーキ」が誕生した理由、それは九州地方に眠る良質な素材の魅力を全国、全世界に届けたいというものだったそうです。産声を上げたのは農業のまち・宮崎県。第一次産業が盛んなこの地域で暮らす内村さんは、宮崎県や九州地方に眠る魅力をこんな風に語ってくれました。

「宮崎県を始めとした九州地方は第一次産業によって成り立っている地域が数多あります。北海道についで農業生産が盛んで、酪農、小麦、柑橘類、魚介類など多くの素材に恵まれています」

ところが時代の変化に伴い、第一次産業は衰退の一途を辿るばかり。従事する人々の減少や産業としての縮小を肌身で感じるうちに、内村さんは九州地方の素材を活かした新しい事業を生み出そうと決意を固めます。

「これだけ豊かな素材に恵まれる地域なのに、そのポテンシャルを発揮できずに産業が衰退してしまうのはとても悲しいこと。なんとか打開策をと考え、たどり着いたのがパンケーキという選択肢でした」

九州テーブルの創業年である2011年前後、ハワイで流行しているパンケーキ専門店が来日しており、国内には空前のパンケーキブームが到来していました。

内村さんは、人々がパンケーキ店に行列を成す様子をまじまじと見つめ、このブームが一過性の流行として過ぎ去る前に良質なパンケーキミックスを生産しようと事業開発に着手。その決断力が、今日の九州テーブルの姿を形作るものとなりました。

「開発段階でコンセプトに据えたのは、毎日食べても飽きないパンケーキミックスを作ることでした。本当に良質な素材で作ったパンケーキミックスなら、長く愛されるものになるだろうと思ったためです」

「九州パンケーキ」に使用している素材は、大分県産の小麦を始め、農薬を使わずに育てられた宮崎県綾町産の発芽玄米、それから長崎県雲仙産のもちきび、佐賀県産の胚芽押し麦、熊本県・福岡県産の古代米の黒米と赤米、鹿児島県産のうるち米に、沖縄県・鹿児島県産のさとうきび。九州地方を丸ごと食せる布陣です。

「パンケーキミックスに合わせるのに良いだろうという素材を、実際に農家さんの元を訪ねながら厳選しました。あらゆるバランスでの配合にチャレンジし、もちもちっとした弾力、香り、味の深みなどを追求していきました」

さらに、幼児の健康被害の危険性を考慮し、乳化剤・香料・加工澱粉・アルミ入り膨張剤などは不使用。老若男女に長く、幅広く愛される製品を目指しているのだそうです。

「今の時代、食品添加物がふんだんに使用された食品が市場には多く出回っていますよね。そうした背景から、なるべく自宅で使用する食材は身体に優しいものをと思っているる方も多い。

『九州パンケーキ』を今購入してくださっている方の70%はリピーターさんなので、安心安全なパンケーキを末永く楽しんでもらいたいという僕たちの意思も少し伝わっているのかな、なんて感じています」

素材の味を全世界へ。九州テーブルの挑戦は続く

素朴で飽きのこないシンプルなあじわいを追い求めた「九州パンケーキ」。今は、パンケーキの枠組みのみに捉われない新しい挑戦を始めています。新たな門出は「九州チーズケーキ」でした。

画像5

「パンケーキミックスを開発する際に検討を重ねてきた素材の配合具合を調整することで、スイーツとして楽しむのにもってこいな生地を作ることもできました。小麦や雑穀はそのままに、鹿児島県の伊佐牧場産クリームチーズと宮崎県の丸山農園産のレモンを皮ごと使用して芳醇な旨味が引き立つチーズタルトに仕上げています」

配合や素材の選定などによって味わいこそ変わるものの、九州地方産の素材の良さを活かした製品づくりを続けることは、これから先も変わりません。

第三弾、第四弾の製品はまだまだ構想の最中だそうですが「パスタや和菓子なんかも良いですね」と内村さん。想像するだけでなんだかワクワクしてきます。

画像6

「九州テーブルとしてだけではなく、今は九州地方の製造メーカーが一同に介して九州産の素材の魅力を伝える“九州アイランド”プロジェクトも実施しています。九州地方は幸いにも諸外国の貿易起点となる立地でもあるので、国内外を問わず多くの方に愛される製品を生み出していきたいですね」

「九州パンケーキ」はすでに台湾、シンガポールにもオフィシャルカフェをオープンするほどの盛況ぶり。本当に良いものは、国境や言語の壁を超えて、海の向こうまで遠く届いていくものなのでしょう。今、その片鱗を垣間見れたような、そんな気がしています。

画像7

10月8日(金)〜10日(日)の3日間、渋谷・MIYASHITA PARKで「NEW POINT〜FACTORY〜」と題したポップアップイベントを開催します。「九州パンケーキ」「九州チーズタルト」の他、九州アイランドプロジェクトに参画中の「MATCHA MODE」なども販売を予定しています。

製品の魅力はもちろん、おいしく食べるためのレシピや作り方のコツなどはぜひ会場にて尋ねてみてくださいね。ご来場、お待ちしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?