見出し画像

【追跡】不正議員を直撃 カラ出張に女性と飲酒…そのウラで

富山市議会の辞職ドミノ、覚えていますか?
議員たちは、やってもいない報告会の費用や買ってもいない物の代金を領収書の偽造などをして「政務活動費」つまり市民の税金で支払っていました。実態をスクープしたチューリップテレビは、富山第二の都市、高岡市の議員たちについても調べていました。カラ出張に女性との飲酒・・・あきれた不正の裏で、市では深刻な事態が起きていました。
(TBS NEWS23 18年1月25日オンエア)

先月、疑惑が発覚したのは、畠起也高岡市議。最大会派の会長で市議会のドンです。

政務活動費の記録によると、畠市議は2年連続で一眼レフカメラを購入。政務活動費は市政の調査・研究などのために交付される経費で原資は税金です。

2年連続で高価なカメラを購入する必要があるのでしょうか?

購入先の一つ、神奈川県の会社を訪ねたところ…会社の担当者は、購入したのは畠市議ではなく別の男性だと説明。

その男性のSNSを見ると気になる投稿がありました。

「新しいカメラ入手に嫉妬したiPhoneが…」

カメラの購入をほのめかす書き込み。さらに調べると、一眼レフカメラを持つ男性の写真がいくつも見つかりました。政務活動費の記録と同じメーカーに見えます。

この男性、実は、畠市議の義理の息子です。男性が経営する商店を訪ねました。

●畠市議の義理の息子
「実際お手伝いするというか、家族なので、お祭りのやつを撮ってくれとか。
●記者
「店の商品を(HPに)UPすることは?」
●畠市議の義理の息子
「実際にあったので個人的に借りている」

男性は、自分が購入したことや店の仕事に使っていることを認めました。畠市議に、説明を求めました。

畠市議は、この1年前にも政務活動費の疑惑で釈明に追われていました。

●記者
「お酒を飲む研修なんてありえない」
●畠市議
「だから、それは研修会終わった後の夕食でございます」

疑惑の舞台は、山あいにある宿泊施設。2012年の政務活動費の記録を見ると、自民系会派の市議10人が研修会の名目で利用していました。

しかし、この施設から明細書を入手すると・・・。

お酒にビール。イノシシ持ち込み料理代と書かれています。

政務活動費の使い道を定めた基準には、こう書かれています。

『研究会・研修会の参加に付随する食事代・飲酒代は、支出できない』

●畠市議
「食事代や飲酒代は認めないといわれているが、(旅費として)1万3500円いただけるなかで、酒飲んではだめとも書いていない」

そして明細書には…

コンパニオンの席料まで。

結局、返還したのは、11万円あまりの研修費のうち、コンパニオン席料4000円のみでした。

相次いで政務活動費の不正が見つかったのは、富山県西部に位置する、高岡市。

人口はおよそ17万人で、『ものづくり』のさかんなまちです。サザエさんの像など、全国各地の銅像の9割がこの地でつくられています。

チューリップテレビは、この議会に不正がないか調査しました。入手した記録は、過去5年分およそ1万5千枚。

不自然な出張の領収書が見つかりました。同じ旅行会社にも関わらず、社印の書体が異なる2種類の領収書があったのです。

その会社を訪ねました。

●記者
「御社で使われている領収証ではない?」
●経営者
「ないですね」

2種類のうち、こちらは発行していないと話しました。その領収書には当時の民進系会派の市議、四十九氏・中山氏の名前がありました。

2人は会見を開き、潔白を主張しました。

●記者「偽造した?」
●四十九市議「調べさせます」

2時間以上に及んだ会見。度重なる追及に…。

領収書の偽造を認めました。

中山氏は責任を取る形で辞職しました。

さらに、この出張に四十九氏は行っていなかった事が発覚。

そのまま議員の座に居座りました。四十九氏の不正は、ほかにもありました。

『プロフェッショナルリーダー』と書かれた書籍の領収書。

書籍コードで確認するとー。 

『大損しない超正統派株式投資法』。

一緒に書店に…。

書店で書籍コードをもとに確認。すると…。株などの投資の本ばかり。3年間で18冊のタイトルを偽っていました。

誤りを認めたものの、任期満了まで務めて引退すると発表。

なぜ、すぐ議員辞職しないのでしょうか?

●記者
「引退の理由を教えてください」

居座り続けた四十九氏。不正発覚後の1年間で、議員報酬1100万円を受け取りました。

そんな中、深刻な事態が発覚。市の財政が火の車だったのです。

毎年40億円の財源が足りず、借金はおよそ1100億円にのぼっています。

2015年の北陸新幹線開業に伴い、周辺道路を整備したり、コミュニティセンターをいくつも作ったりと、大型事業が相次いだためです。

元市議の荒木氏。おととし出来たこちらのコミュニティセンターは
彼が建設の旗振り役となりました。

地元の要望に答える形で議員たちが予算を奪い合い、施設を建てたことが
財政難の一因になったと振り返ります。

財政難のしわよせは市民生活を直撃。市営住宅など、114もの公共施設を廃止や譲渡する方針です。また、19の行政サービスの補助も打ち切る考えです。

お年寄りの足となっているコミュニティバス。

きのう、この路線を廃止することが決まりました。