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九州北部豪雨 避難所の“食”を救え

九州北部豪雨は7月19日で発生から2週間が経ちました。行方不明者の捜索が続くなか、避難所では体調の悪化を訴える人たちも出ています。
その原因の1つとなっているのが食事です。 
(TBS NEWS23 17年7月19日オンエア)

7月19日現在、700人以上が避難生活を送っている福岡県朝倉市。保健師らが毎日すべての避難所を回り、被災した人たちの健康状態を調べています。避難生活が長引くにつれ、高血圧や胸焼け、胃の痛みなどを訴える人が現れ、医療機関の受診を進めるケースが出ていました

●市の保健師
「食事面では塩分が多いとかカロリーが多いとか。病気を持っている人もいるので弁当で調整できないという人はいます」

●避難所で暮らす男性
「市が送ってくるお弁当。1~2回ならいいけど朝昼晩になるとちょっとしんどい気はします」

食事は、市が複数の業者から購入した弁当が中心です。しかし献立の管理まで手が回らず、同じメニューが続くこともあるといいます。
さらに、同じ市内でも避難所によって食生活に差があることがわかりました。

この避難所の食卓には、弁当以外にも酢の物や漬物が。なぜ、市が支給していないものを食べられるのでしょうか。

地域の人などの差し入れを使い、避難所内の調理室で調理。しかしこれは、避難者40人という比較的小さな避難所だからこそできたといいます。

●避難所で暮らす女性
「50人が限度。初めは60何人かだった。(50人で)プラスマイナスゼロになっている。」

食事は避難所にいる人全員に公平に行き渡らなくてはいけません。そのため、差し入れや炊き出しはどうしても小さな避難所に集中しがちです。

100人以上が暮らしている避難所では・・・

●避難所で暮らす女性
「野菜が少ないでしょうお弁当に。野菜が食べたい人が多いです。」

●避難所で暮らす男性
「私は腎臓病。(医者は)「塩分控えめ。食べ過ぎないように」と。色々な病気が再発する。」

ついこぼれる、食事の悩み。しかしたとえ体に合わなくても食べ物の要望は伝えづらいと話します。

●避難所で暮らす女性
「野菜どうだこうだと言うより、食べさせてもらうからありがたい」

●避難所で暮らす男性
「みんなにこれだけのメシ作ってくれて。迷惑かけてるよ。やっぱり(要望は)言えないな。」

こうした状況について、栄養士の災害支援チームの責任者をつとめる笠岡氏は・・・

Q栄養バランスの悪い食事が続くとどうなってしまうんでしょうか?
「災害関連死のリスクが高まることにもつながる。たんぱく質やビタミン類の不足が目立つのでしっかりとってもらうのが必要」

そこで…弁当を充実させるため、日本栄養士会は去年「災害弁当」の見本となるレシピを作成。

栄養バランスを整えるだけでなく、こんな工夫をしていました。

カレー粉など風味が強いものを使うことで塩分が少なくても食が進むようにしているといいます。

また、生野菜を食べたいという声が多くあがることから酢の物を選択。念入りに水分を切ることで食中毒対策をしているといいます。

甚大な被害を出した九州北部豪雨。避難生活が長期化するなか、被災した人の視点に立った、きめ細やかな支援が求められています。