メガソーラー_00000000

【追跡】トラブルの背景は/“メガソーラー”地元は「反対」でも…

大規模な太陽光発電施設「メガソーラー」。2012年に再生可能エネルギーを電力会社が買い取る制度が始まってからその認定件数は急増しています。クリーンなエネルギーとして注目される一方、設置をめぐっておきているのが住民とのトラブル。その背景を取材しました。
(TBS NEWS23 17年8月22日オンエア)

次々と目の前に現れる、色鮮やかな魚の群れ。海底では、ウツボやイソギンチャクなど、様々な生き物が出迎えます。ダイビング客が年間およそ7万4000人訪れる、静岡県伊東市です。

こうした自然が破壊されるのではないか。住民達に今、大きな不安を与えているのがメガソーラー。つまり大規模な太陽光発電施設を作る計画です。

●駒田健吾キャスター
「うっそうと木が茂っています。建設予定地がこの森の中にあります。この先は私有地でどんな場所なのかうかがい知ることは出来ません」

建設予定地はどんな場所なのか。空から撮影してみると・・・

スキマが見えないほど生い茂った無数の木々。計画では、この場所で東京ドームおよそ9個分もの森林を伐採。ソーラーパネルおよそ12万枚を設置することになっています。クリーンエネルギーのために森林を伐採するという事態になっているのです。

計画を進めている事業者は、日本と韓国系の企業。大分県杵築市の山では、おととしからこの韓国系の企業によるメガソーラーが稼動しています。

その広さ、東京ドームのおよそ6個分です。今回、それをさらに上回る規模で計画されている伊東市のメガソーラー。

4月、事業者が住民らに内容を説明しましたが・・・

建設を進めるには「説明会」を行わなければいけませんが、その開催をめぐっても意見が対立。

メガソーラー反対の理由について住民は・・・

「近年想定外の雨が降ることも多いし/メガソーラーパネルを設置する開発をした時に土砂災害が起きない保障はない」

さらに別の心配も・・・

地元漁師の稲葉さん。以前から雨が降ると山の泥が川から港に流れ込んでくるといいます。川はメガソーラー予定地と繋がっているため、工事で泥水が増えれば、海の生き物に悪影響が出ると考えています。

●地元漁師の稲葉さん
「山を切ったら、はかり知れないというか恐ろしい。あの計画が実際に行われると、漁師できないんじゃないかと地元は思っています」

6月、伊東市の市長は事業者に対し計画の中止を要求。しかし・・・

多額の投資をしてきたとする事業者側は、メガソーラーの継続を宣言。伊東市には、太陽光発電事業を規制する条例がなく、例え住民が反対しても建設を進めることができるのです。

こうした中、先週開かれたのが・・・

●駒田キャスター
「これから伊東市、住民、事業者3者がはじめて集まった会合が行われます」

事業者側は法人税など、税収面で町に貢献すると説明。その金額は20年で14億円に上ると話しました。

終了後、事業者の代表を直撃すると、質問に答えず無言で会場をあとにしました。漁師やダイバーの代表として参加した稲葉さんは・・・

こうした中事業者側の担当者が後日、インタビューに応じました

●伊豆メガソーラーパーク合同会社 担当者
Qここまでの反対は想定していた? 
「してなかったです/地元の方の伊豆高原、伊東市を愛する気持ちが強いのかな/少し心が痛むところもある」

事業者は、現場に調整池を作ることで土砂崩れ対策をするといいます。また、港へ泥水を運んでいた川を改修することで海の状況は今よりも良くなると訴えます。

●伊豆メガソーラーパーク合同会社 担当者
「毎年地元が要望書出したり計画出すけどなかなか八幡野川の改修になってないのが事実/これは地元に対する貢献だと思う」

地元の協力が得られるよう努力を続けたいという事業者。メガソーラーの手続きは現在も進んでいて年末をメドに着工したいと話しています。

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●駒田キャスター
「再生可能エネルギーを生み出すのだから、メガソーラー施設はどんどん作ればよい、というわけにはいかない。こうしたトラブルは全国的に広がっていて、今回でいえば、広大な土地を切り開くわけですから住民側は、不安が募る。事業者側は川の改修を行ったり、地元への貢献をアピールしているが妥協点は今のところ見つかっていません。『環境アセスメント法』という、大規模な開発事業では環境にあたえる影響を評価しなくてはならない、という法律があるのですが、太陽光発電所の建設については法律の対象外。既存の法律のもとでは事業の規制をどうするのかというのは自治体任せになっているのが現状です。」
●星キャスター
「メガソーラーが増えてくると、悪質な業者が出てこないとも限らない。業者の善意に頼るわけにもいきませんから、全国的な法規制が必要な時期になってきている。」