東京五輪二十二

走って考える東京五輪 連日猛暑に不安の声

猛暑のなか、よろめきながらランナーがゴールするというロサンゼルス五輪でのシーンをご記憶の方も多いと思います。東京オリンピックは、開幕まであとちょうど3年になりました。記録的な暑さが続くなか、はたして無事に競技ができるのでしょうか?皆川キャスターが取材しました。
(TBS NEWS23 17年7月24日オンエア)

東京オリンピック・パラリンピック開幕までちょうど3年。都庁では小池知事も交え、東京オリンピックへの機運を盛り上げようと、職員らがラジオ体操を行うプロジェクトが始まりました。

オリンピック競技の花形とも言えるマラソン。このところの猛暑で、競技運営を不安視する見方も出ています。大会期間は7月24日から8月9日。去年、東京はこの期間、最高気温が30度を超えた日が12日間もー。

選手たちはどのような環境でレースに臨むのでしょうか。

スタート予定時刻の午前7時半、想定されているコースを走ってみました。スタートはメインスタジアムの新国立競技場。

皇居、東京タワーなどの観光名所を通ります。浅草を折り返し地点として、コースを戻り、新国立競技場でゴールです。

午前7時半にスタートした場合、トップ選手たちは、午前9時すぎに再び皇居付近を通過することになります。

この時間帯の気温は…。

●皆川キャスター
「選手が通過してくるであろう今の時間は9時を回ったところですが、気温が35度、湿度は57%。気温も徐々に上がってきまして、日差しも出てきました。暑いです」

午前9時を超えた時点で、すでに30度を大きく上回りました。

選手のパフォーマンスを維持するにはいかに体の熱を逃がすかが重要になります。体の機能をつかさどる人間の脳は暑さに弱く、脳に熱が溜まると思考能力や運動機能に支障が出てくるのです。

通常、体温は36度ほどですが、外気に触れる皮膚の表面温度は、33度から34度。気温が33度以上になると熱を逃がすことが難しくなっていくといいます。

●同志社大学 石井好二郎教授
「“33度を超えた気温”になりますと、ほとんど熱は外から体に入ってくる状態になります。熱を逃す方法が、汗の蒸発の気化熱なんですが、これも高温多湿の日本では難しい。」

これは、7月25日の東京・浅草の温度を示した画面。赤くなっている地面は35度を越えています。

●同志社大学 石井好二郎教授
「照り返しというのが結構ダメージを受けます。アスファルトの路面だけでなくビルの壁面から照り返しもあり、太陽の赤外線を大量に浴びて 熱線として暑さが入ってくる」


東京都は、道路の温度上昇を抑えるため、特殊な舗装などを行うとしているほか大会組織委員会は、7時半のスタートを早めることも検討しています。

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●皆川キャスター
「取材中に出会った皇居ランナーたちからは"暑ければ記録はでない"とか"ホノルルマラソンみたいに朝5時スタートにすれば"という声もありました。私たちの観戦の楽しみもありますけど、選手の体第一に考えて欲しいと思います」