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Chapter 2 本当にテロ、結局は取材

 「どうしてこんな危ないときに来るのよ」。
旦那の店に行くと、当時はまだ旦那と共に店を切り盛りしていた奥方が呆れながら出迎えてくれた。
「何しに来たの? 取材なの? 遊びなの?」
そもそも外国人にとって、スンガイコーロックは女遊び以外にたいした用はない。もとより取材という気分ではない、ただの物見遊山だ。これから夜にかけての魂胆など、奥方にはバレている。「取材です」と格好つけてみようか、「遊びです」と素直に言ってみようか、と迷っているうちに「おうおう久しぶりだ」と旦那が外から戻ってきた。とりとめのない話をしばらく続け、結局は「今夜はおとなしく過ごします」と取り敢えず奥方には約束し、ホテルに戻る。

 夜7時半過ぎ、バーにでも繰り出そうかとシャワーを浴びて歯など磨いて身支度。もともとアルコールは苦手だからバーに行ってもジュースをすする程度のおとなしさ。奥方との約束を破ることにはならない。でも帰りは夜遅くなるだろうから、翌日のためにカバンやカメラ機材を整理しておく。

警察車両で病院まで運ばれる負傷者たち

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