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Chapter 6  さまざまなテロの手法-1

 テロの種類はさまざまだ。マレー系分離独立派組織はありとあらゆる手法で治安部隊と対峙している。

《バイクからの銃撃》

南部国境県のテロでは、バイクでターゲットに近づいて銃を乱射するという手口が非常に多い。狙われるのはバイクや車で移動中の軍や警察の治安当局、役所勤めの公務員、学校の教師など。通勤時間や通勤路を決めて規則正しく生活していると、より待ち伏せされやすい。公務員、教師、記者なども護身用の武器の携帯が認められているが、許可を得るのに時間がかかり(無許可でも黙認されている)、車の場合はたいていダッシュボートにしまっておくので、銃に手を伸ばす前に撃たれてしまうことが多い。

 バイクからの銃撃は計画的かつ巧妙で、かなり訓練されている。2人乗りバイクで移動し、バイクや車で走行中のターゲットにいきなり近づいて銃撃するのが一般的。道路わきの茂みに潜んで狙い撃ちする場合もある。3台の2人乗りによる犯行も多い。1台目が前方で警戒中の治安部隊の有無を確認、2台目が銃撃を実行、3台目が2台目の支援やターゲットが武装していた場合の武器強奪といった役割を受け持つ。大掛かりなときは2人乗り5~6台での犯行もあるようだ。

 2008年にパッターニー県ヤラン郡で発生した事件の捜査に同行したことがある。前述のコマンドセンター隊員に連れられて現場に急行してみると、マレー系分離独立派組織の武装グループが地元の村長と副村長が乗った車を襲撃、近辺に居合わせた警察に追い詰められて1人が射殺されるという事件だった。村長らは車を運転しながら応戦、負傷で済んだ。

バンコクの日系商社に勤務、研修で日本にも行ったことがあると話していた僧侶

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