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Chapter 5 独立も当然? 人口の過半数はマレー系

 南部国境県の現地での取材は年に3~4回。鉄道を止めてバンコクから車で取材に出掛けていた頃もあったが、食事とトイレ以外休みなしでひたすら走っても15時間、休憩を取って余裕なんてかましていると20時間もかかるので、そうそう行っていられない。この数年はタイ南部最大の商業都市であるソンクラー県ハジャイまで空路、そこでレンタカーを借りて南部国境県へ、という楽な移動に慣れてしまっている。飛行時間は1時間半、ハジャイ空港からパッターニーまで2時間、あっという間。たまに鉄道も使うが今や3等座席に乗る気力はなく、もっぱら個室寝台だ。

 バンコクでは仕事の間に、というより休みの日にちらほらと、というペースで英語やタイ語の文献を探して南部国境県について調べる。当然のことながら日本語の資料は全くと言っていいほど存在しない。インターネットのウィキペディアなどに少なからず出ているが、他言語を訳しただけのような薄い内容だ。文献といっても統計や時系列はあいまいな点ばかりで、信ぴょう性はとことん未知。ただ全体像ぐらいは見えてくるので、取材の予習復習には役立つ。

ラマダン明けの祈り パッターニー県パッターニー市クルセモスク

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