世界に発信する日本

今までのまとめ 

日本の歴史は、長期政権と短期政権の繰り返しだった。長期政権と長期政権の間には激動期があり、それは「対立→逆転→移行→統合」の4パターンだった。しかるに現代は、対立と逆転はあれど移行や統合がない。それは何故か?というところで本題に入る。


これからの日本は発信側

 古代の朝鮮・中国、近世の南蛮、近代の英米、といった海外の文化や制度を輸入して激動期は次の長期政権に移行、統合した。しかし、今の日本には輸入すべき海外がどこにあるのだろうか?

 むしろ、日本が文化を輸出している方が目立つ。アニメやラーメン、武道、着物等の伝統芸能だけでなく、一部のアイドルやスポーツ選手、映画監督が世界に影響を与えている。

 だからこそ、「環太平洋パートナーシップ」(TPP)で、日本を農業だけでなく保険や金融、法律まで変えようとしても、一方的に受信側にはなり得ないのだ。すでに肉や野菜、寿司など日本の食製品も発信側になっている。

 そうした中、日本が移行期に進むためには、もはや海外の文化や制度を輸入するような発想は間違っているといえるのではないだろうか。具体的には、「平成の開国」と称して国を売ろうとした菅直人、堺屋太一や竹中平蔵にも国際金融の影がちらつく。もちろん消費税増税を敢行した野田佳彦や勝次官なども、創造力のない単細胞な発想の持ち主だ。

 日本がルールの分野で発信する側に立つこと自体あり得ないという声もある。確かにスポーツの分野では、例えばスキージャンプなど欧米がアジアに不利になるようなルール改正を行い、日本も従うだけだった。結果は、長野五輪の時は世界一だった日本がしばらく低迷期に入ってしまったのは周知の通りだ。


新しい哲学思想へ

 世界史を見渡すと、過去、国外に学ぶべき国がなくなった先進的な国々が、自ら新しいものを発信して次へ進んでいった事例がある。例えば古代中国、ギリシャ、ローマ、一時期のアラビア、そして近代ヨーロッパのルネサンスから始まる啓蒙思想である。これらの国は、国内に賢人や知を掘り起こした。

 分かりやすい例でいえば、デカルトやルソー、モンテスキューなどが教科書に載っている。文化面でも、ダ・ヴィンチやモーツァルト、ピカソなど自ら輩出している。

 ただし今はかつてほど勢いがない。日本に感心する方が多い。日本は今まで極東の島国としてアジアや欧米から輸入し、国内で和魂洋才のようにアレンジした。やがて国風文化や仮名文字のように自ら創り出し、鎧かぶとのように未来的だと称賛されるぐらいに独自の文化を興し、武蔵の五輪書のように思想面でも影響を与えるようになった。

 近代ヨーロッパの啓蒙思想でも、ギリシャやアラブの文化を基にしたり、アジアや中国の文化を採り入れたものだった。ショーペンハウアーやユングがそうだ。日本も多方面から輸入している分、今後は十分に発信していく下地がある。ただ、それがなかなかぎこちない。




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