現代思想の崩壊

  「現代思想入門」には、現代思想の3つの源流として、ニーチェ、フロイト、ソシュールの3人を挙げていた。従来の伝統思想に対し、現代的価値観が上に立った。

 ニーチェ哲学の「超人」は、学歴やスポーツの入賞者など。フロイトの「カウンセリング」や「トラウマ」は従来の悪霊の憑依を完全に否定した。ソシュールの「言語」はキャッチコピーを重視させた。

 そんな3大潮流が徐々に崩れていきつつある。長崎県佐世保の高1女子殺害事件の加害者は、長崎新聞社主の祖父を持ち、早大卒の弁護士を父に、東大卒の母、義母も慶大卒、幼い頃からスポーツや音楽で県内の優勝や入賞を果たし、学業も百点ばかりだったという。

 各専門筋の分析によると親による今までの事件の隠蔽が悪いとか、カウンセラーの忠告を無視したことが悪いとかあるが、いずれも現代思想的価値観を庇いたいがゆえのものである。

 確かに、うまいキャッチコピーが今後も活き、カウンセリングの治療がうまくいき、高学歴や入賞者が安定した人生を送る社会が続けば良いのであろうが、現実は変わってきている。変わってきているが見たくないため目を背けている。ネットコメント者も皆。

 そもそももう一度、原点に立ち返れば、素直で明るく、そんな事件など起こらない社会の方が良いに決まっている。だったら、ニセモノのキャッチコピーは必要ないし、憑き物を払い落とした方が良いし、学歴やスポーツが中くらいでもそこそこ生きられた方が良い。

 それらを支える思想哲学こそが今求められている。しかし、たとえ「それ」が存在しても、現代思想的価値観に固執したいお歴々やネットコメント者にウケるはずがない。

 したがって、今後もどこかで事件は起きる。今年は何故か想像を絶する事件事故が多い。ニュースがドラマを超えている。飛行機の不明や撃墜、誘拐事案、大手教育産業の情報漏洩、理研のSTAP騒動。驚き続けながら、次第に現代思想的価値観が崩壊する。

 哲学の基本に立脚すれば見えてくる話。



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