歴史に法則はある

 「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という。前もって備える側と、備えずに失敗し後で悔やむ側と。


 では歴史の何を参考にするか。個々のエピソードもよいが、ここではもっと大きな視点で見る。歴史の流れ、興亡の法則、循環史観といったものである。


 例えば簡単なものでは「長期政権は必ず15代で終わる」というものがある。自民党政権の場合、今の自公連立ではなく、自由党と民主党が合体して初代総裁となった鳩山一郎から数えて15代目が宮沢喜一。ここでいったん政権交代が起きて細川連立内閣ができた。江戸幕府の徳川家も初代家康から15代目の慶喜の時に大政奉還した。室町幕府の足利家も初代尊氏から15代目の義昭の時に織田信長が終わらせた。鎌倉幕府の北条家は初代執権時政から16代目、平安時代の藤原氏も良房から摂政関白の座を数えるとそのようになる。


 この話は他にも注目すべきポイントがあり、ざっと挙げると「3代目で新制度が出来る」「5代目が最も安定している」「8代目で改革が始まる」「11代目で最後の安定期があり、次第に小者化する」「長期政権の次は短期政権がある」等があるが、学校で学ぶ知識で十分理解できる。


 そもそも日本史の教科書自体、いわゆる直線史観(アウグスティヌスの終末救世主論や水戸光圀の大日本史)ではなく、幕末の歴史家・頼山陽による循環史観に基づいている。

 著書「日本外史」は徳川氏や足利氏、北条氏という分類で書かれており、これを読んだ人たちは「徳川家とて永遠絶対ではないんだ」と気付き、相対的だからこそ新しい明治の世を切り拓いた。


 では今の安倍政権をどう見るか。自公連立政権になるだろうとの予言は、元駐日大使のライシャワー氏がはるか昔に予言して当たったが、その後のことは書かれていない。安倍の次の首相候補すら見当たらない。


 次節では、歴史上の法則から、今後何が必要なのかを述べていきたい。



 

 


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