変わる必要なんてない。このままのわたしでいいんだと、感じさせてくれる街。
日本にいる頃のわたしは、こころのどこかに常に「自分を変えたい」願望があった。
「もっと◯◯な自分になりたい」、「もっと◯◯みたいな人になりたい」と、常に思っていた。
もっと人に優しくなりたい。
もっと気軽に人と話せるようになりたい。
もっとおもしろいことを言って会話を盛り上げられるようになりたい。
もっと痩せたい。
もっとキレイになりたい。
もっと英語ができるようになりたい。
もっと大人な考えができるようになりたい。
もっともっともっと…。
それは「成長欲」「向上心」と呼ぶのかもしれないが、言い換えれば、今の自分に満足していない状態だった。
けれどニューヨークに来てからというもの、そういった願望はほとんどなくなった。それはきっと、ニューヨークがわたしに「このままのわたしでいいんだ」と教えてくれたからだ。
人目を気にせず感情を爆発させたり、とにかく子どもみたいに振舞うニューヨーカーを見て、「大人ぶる必要なんてない。怒りたいときは怒り、笑いたいときは思いっきり笑い、泣きたいときは泣く。それでいいんだ」と思えた。
毎日のように「キレイだよ」「素敵だよ」「セクシーだね」と気持ちをストレートに伝えられ、「キレイになりたいと思っていたけれど、このままでいいんだ」と思えた。
英語があまり話せず、返事に困るわたしをよそにどんどん話しかけてくれる彼らのおかげで、「会話が弾ま無くて申し訳ない」、なんて思う気持ちすらどこかへ行ってしまった。
ニューヨークで出会った人たちのおかげで、「わたしはこのままでいいんだ」。いや、「このままのわたしがいいんだ」と信じることができている。
…
わたしは自分のことを「いい人間」だんて全く思わないし、どちらかというとビッチな部類だと思う。上から目線で自分本位だし、気分の浮き沈みは激しいし、意見はコロコロ変わる。
頑張ろう!と意気込んでも何も続かないし、そんな自分に飽き飽きすることも少なくない。昔に比べたらだいぶ自分を認められるようにはなったけれど、それでも変身願望はなくなかった。
けれど、欲望と感情を丸出しにして、恥じること無く自分を生きる彼らの姿に本当に励まされ、自分のいいところも、ダメなところも認めることができたように思う。
はちゃめちゃで愛すべきニューヨーカーたち。いつも本当にありがとう。
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