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大好きなものを失ったとき、もっと大好きなものに出会う。ーあのときニューヨークに行けなかったから、今のわたしがある。

わたしは「スティーブジョブズの伝説のスピーチ」が大好きで、ことあるごとにYouTubeで見返しているのだけど、その中で彼が話す3つのストーリーのうちのひとつが、最近しみじみ「その通りだよなあ」と感じている。


………


自ら立ち上げたAppleを30歳のときにクビになったジョブズは、数ヶ月間どうしていいかわからず、シリコンバレーから逃げ出すことも考えていた。けれど時間がたつにつれ、自分のしてきたことが未だに好きだということに気がついた。

イチからやり直し、新しい会社を立ち上げた。それが今のPixerとNeXTだった。

そして数年後なんとAppleがNeXTを買収し、彼はAppleに戻ることになった。NeXTで彼が立ち上げたプロジェクトがその後のAppleでの中心的な事業となり、そして彼は、NeXTで出会った女性と結婚し、家族をつくった。


……


わたしは2016年にニューヨークへ行き、「ここがわたしの居場所だ」と思った。人生で、これほどまで自分らしくいられる場所は他になかった。


必ずここで暮らすと決め、3ヶ月ほど滞在した後ビザを取りに日本へ戻り、お金や必要な書類を用意して大使館へ向かった。



けれどビザはおりなかった。


ビザが発行されない、ニューヨークに戻れないと知ったとき、目の前が真っ暗になった。

ニューヨークへ行くこと以外、わたしの人生の選択肢はなく、ニューヨークに行けないということはわたしにとって、死んだように生きるも同然だった。


しばらくの間、放心状態で過ごした。何もする気にならず、何もすることもなく、ただただ、起きて寝るだけの日々。この先の人生がどうなるのか、見当もつかなかった。


ニューヨークほど心踊る場所やモノに出会える気も、あんな風に自分らしく生きられる日が再び来るのも、まったく想像できなかった。



数ヶ月ほど経って、わたしの心の中にわずかに残っていたのは、「やっぱり海外に住みたい」という思いと「英語をしっかり勉強し直したい」という気持ちだった。


ワーホリを使ってオーストラリアに行くことを決め、2016年12月、シドニーへと渡った。


そこにはニューヨークほどどきどきワクワクする日々は待っていなかったけれど、その代わりにわたしは、生涯大切にしたいものを見つけた。


それが英語だった。


オーストラリアで英語を学ぶうちに、どれだけ自分が英語を好きかということに気づき、英語を学ぶことがどんどん楽しくなっていった。


そして日本に戻ったわたしは、自然な流れで英語を教える仕事に就くことを選んだ。



今考えると、あのままニューヨークに行っていたら、街のまぶしさでかすれて、大切なモノが見えなくなっていたかもしれない。そう思うと、あの絶望と衝撃も、必要なことだったのだと思う。



人生には、ときに頭をブロックで殴られたような衝撃的なことが起こり、目の前の道が閉ざされてしまったように思うこともある。

途方に暮れて、何もする気にならなくなってしまう。


けれど、それでも「自分は何が好きなのか」「本当はなにをしたいのか」を考え続ける。

なぜなら折れたとき、立ち止まったときほど自分の心の根っこと向き合うことができるから。自分の本音に出会えるから。


そしてそれはすべて「未来の大好きなことをして生きる自分」に繋がっている。

後から必ず「そのおかげで今がある」と思えるときが来る。


そのために、自分を見失わず、好きなことをし続けよう。何があっても絶対に大丈夫だから。

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