「何もしなくていい日々」のつらさ
わたしが人生でいちばん辛かった時期は、仕事が忙しすぎて疲れ果てていた時期でも、鬼上司に相当詰められていた時期でも、兄が突然死んで毎日裁判所に行っていたときでもなくて、
何もやることがなかったときだ。
朝起きてから寝るまで、一つも予定がない。
仕事もなければ家事もしなくていい。すべきことがひとつもない日々。
意外に思われるかもしれないけど、それがいちばん辛かった。
フルタイムの仕事からの自由な日々だったので、もちろんはじめは「何にもしなくていいんだ!やっほーい!」と開放感を味わいまくっていた。
けれど1ヶ月もすると、「何もすることがない」というのが辛くなってくる。
確かそれは29歳くらいで今よりも若かったのだけど、あまりにも「力」がなく、リアルに家の階段を上がるのさえ辛かった。
やることがなさすぎる日々が、わたしから体力も気力も、生きる活力さえも奪い取っていた。
今はというと、週に数時間働く日々で、やることがない日もあればある日もある。
やることがあるって楽しいし、やることがあると、何にもやることがない日も楽しめる。
要はバランスだ。
毎日やることがなかったら、わたしはダメになってしまどころか、廃人になるんだとわかった。でもフルタイムで働くのが合わないのも経験してわかった。
だから今は、週に数時間、自分の心地いいと思える範囲で働く。
そうすることで、やることがある日もない日も楽しむことができる。
そしていまはなんだかそんな日々が楽しくて、無駄に階段をダッシュで駆け上がっている。それができるのがすごくうれしいのだ。
「やることがある」って、よろこびだ。
でもそれは、一旦すべてを捨てて、何もない日々を味わったから思えることなんだと思う。
両極端に触れることで、自分のバランスが見えてくる。
だからどっちも経験してみるのもいいかもしれない。
自分の心地いい生き方を探そう。
いっぱい失敗して自分を知ろう。
そうすれば楽に楽しく生きられる。
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