建設業法上の建設業を営む上での書面の保存義務について


建設業法上どのような書面を保管しておく必要があるのか


(以下、建設業法から抜粋)
(帳簿の備付け等)
第四十条の三  建設業者は,国土交通省令で定めるところにより,その営業所ごとに,その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え,かつ,当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
第五十五条  次の各号のいずれかに該当する者は,十万円以下の過料に処する。
五  第四十条の三の規定に違反して,帳簿を備えず,帳簿に記載せず,若しくは帳簿に虚偽の記載をし,又は帳簿若しくは図書を保存しなかつた者



建設業者は,国土交通省令で定めるところにより,その営業所ごとに、国土交通省令で定める必要事項を記載した「1.帳簿」及び「2.規定の添付書類」を保存しなければなりません。
この「1.帳簿」及び「2.規定の添付書類」の保存期間は,建設工事の目的物の引渡しから5年間(住宅を新築する建設工事に係るものにあっては10年間)です。


「1.帳簿」について
帳簿には下記の事項を記載する必要があります。

①営業所の代表者の氏名とその者が営業所の代表者になった年月日

②注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項
・請け負った建設工事の名称及び工事現場の所在地
・注文者と請負契約を締結した年月日
・注文者の商号・名称(氏名)、住所、許可番号
・請け負った建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日
・工事目的物を注文者に引き渡した年月日

③発注者(宅地建物取引業者を除く)と締結した住宅を新築する建設工事の請負契約に関する事項

・当該住宅の床面積
・建物瑕疵負担割合(発注者と複数の建設業者の間で請負契約が締結された場合)
・住宅瑕疵担保責任保険法人の名称(資力確保措置を保険により行った場合)

④下請負人と締結した建設工事の下請契約に関する事項
・下請負人に請け負わせた建設工事の名称及び工事現場の所在地
・下請負人と下請契約を締結した年月日
・下請負人の商号・名称、住所、許可番号
・下請負人に請け負わせた建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日
・下請工事の目的物について下請負人から引渡しを受けた年月日

⑤特定建設業者要件での発注の場合は支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段


(以下、建設業法施行規則を引用)

一  営業所の代表者の氏名及びその者が当該営業所の代表者となつた年月日

二  注文者と締結した建設工事の請負契約に関する次に掲げる事項
イ 請け負つた建設工事の名称及び工事現場の所在地
ロ イの建設工事について注文者と請負契約を締結した年月日,当該注文者(その法定代理人を含む。)の商号,名称又は氏名及び住所並びに当該注文者が建設業者であるときは,その者の許可番号
ハ イの建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日及び当該建設工事の目的物の引渡しをした年月日

三  発注者(宅地建物取引業法 (昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号 に規定する宅地建物取引業者を除く。以下この号及び第二十八条において同じ。)と締結した住宅を新築する建設工事の請負契約に関する次に掲げる事項
 当該住宅の床面積
 当該住宅が特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律施行令 (平成十九年政令第三百九十五号)第三条第一項 の建設新築住宅であるときは,同項 の書面に記載された二以上の建設業者それぞれの建設瑕疵負担割合の合計に対する当該建設業者の建設瑕疵負担割合の割合
 当該住宅について,住宅瑕疵担保責任保険法 人(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律 (平成十九年法律第六十六号)第十七条第一項 に規定する住宅瑕疵担保責任保険法 人をいう。)と住宅建設瑕疵担保責任保険契約(同法第二条第五項 に規定する住宅建設瑕疵担保責任保険契約をいう。)を締結し,保険証券又はこれに代わるべき書面を発注者に交付しているときは,当該住宅瑕疵担保責任保険法人の名称。

四  下請負人と締結した建設工事の下請契約に関する次に掲げる事項
 下請負人に請け負わせた建設工事の名称及び工事現場の所在地
 イの建設工事について下請負人と下請契約を締結した年月日,当該下請負人(その法定代理人を含む。)の商号又は名称及び住所並びに当該下請負人が建設業者であるときは,その者の許可番号
 イの建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日及び当該建設工事の目的物の引渡しを受けた年月日
 ロの下請契約が法第二十四条の五第一項 に規定する下請契約であるときは,当該下請契約に関する次に掲げる事項
(1) 支払つた下請代金の額,支払つた年月日及び支払手段
(2) 下請代金の全部又は一部の支払につき手形を交付したときは,その手形の金額,手形を交付した年月日及び手形の満期
(3) 下請代金の一部を支払つたときは,その後の下請代金の残額
(4) 遅延利息を支払つたときは,その遅延利息の額及び遅延利息を支払つた年月日



「2.規定の添付書類」について
規定の添付書類については下記の5種類です。

①契約書
②完成図
③発注者との打合せ記録
④施工体系図・台帳
⑤下請負人に支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段を証明する書類(領収書等)またはその写し

なお,
③施工体系図の保存が必要となるのは,作成建設業者[*1]のみです。

[*1] 「特定建設業許可業者」が
「発注者から直接建設工事を請け負った場合」において,
当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額が4000万円以上(建築一式の場合には,6000万円以上)となり,
施工体制台帳を作成する建設業者の事。

(②完成図の具体例)

設計概要書、各種設計図(電気設備設計図,給排水衛生設備設計図,空気調和設備設計図,昇降機設備設計図,その他設備設計図)
附近見取図、配置図,平面図等その他各種図面等
各種構造概要書,鉄筋詳細図,鉄骨伏図,鉄骨軸組図、そのほか各種伏図等
基礎リスト,柱リスト,大梁リスト等
鉄筋詳細図,鉄骨伏図,鉄骨軸組図等

(③発注者との打合せ記録の具体例)
質疑応答書,指示書・連絡書(発注者・設計・諸官庁),総合定例打合議事録,社外打合せ記録(諸官庁)

なお,①完成図,②発注者との打合せ記録,③施工体制図の保存期間は,建設工事の目的物を引渡したときから10年です。


施工体台帳について

工事完成後に施工体制台帳のうち以下に掲げる事項が記載された部分の添付が必要です。
・工事現場に置いた主任技術者・監理技術者の氏名及びその有する主任技術者資格・監理技術者資格
・主任技術者・監理技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容・その有する主任技術者資格
・下請負人の商号・名称・許可番号
・下請負人に請け負わせた建設工事の内容・工期
・下請負人が工事現場に置いた主任技術者の氏名・その有する資格
・下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容・その有する主任技術者資格


(以下、建設業法施行規則から抜粋)
2  法第四十条の三 に規定する帳簿には,次に掲げる書類を添付しなければならない。
一  法第十九条第一項 及び第二項 の規定による書面又はその写し
二  前項第四号ロの下請契約が法第二十四条の五第一項 に規定する下請契約であるときは,当該下請契約に関する同号ニ(1)に掲げる事項を証する書面又はその写し
三  前項第二号イの建設工事について施工体制台帳を作成しなければならないときは,当該施工体制台帳のうち次に掲げる事項が記載された部分(第十四条の五第一項の規定により次に掲げる事項の記載が省略されているときは,当該事項が記載された同項の書類を含む。)
イ 監理技術者の氏名及びその有する監理技術者資格並びに第十四条の二第一項第二号ヘに規定する者を置くときは,その者の氏名,その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
ロ 当該建設工事の下請負人の商号又は名称及び当該下請負人が建設業者であるときは,その者の許可番号
ハ ロの下請負人が請け負つた建設工事の内容及び工期
ニ ロの下請負人が置いた主任技術者の氏名及びその有する主任技術者資格並びにロの下請負人が第十四条の二第一項第四号ヘに規定する者を置くときは,その者の氏名,その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
3  第十四条の七に規定する時までの間は,前項第三号に掲げる書類を法第四十条の三 に規定する帳簿に添付することを要しない。
4  第二項の規定により添付された書類に第一項各号に掲げる事項が記載されているときは,同項の規定にかかわらず,法第四十条の三 に規定する帳簿の当該事項を記載すべき箇所と当該書類との関係を明らかにして,当該事項の記載を省略することができる。
5  法第四十条の三 の国土交通省令で定める図書は,発注者から直接建設工事を請け負つた建設業者(作成建設業者を除く。)にあつては第一号及び第二号に掲げるもの又はその写し,作成建設業者にあつては第一号から第三号までに掲げるもの又はその写しとする。
一  建設工事の施工上の必要に応じて作成し,又は発注者から受領した完成図(建設工事の目的物の完成時の状況を表した図をいう。)
二  建設工事の施工上の必要に応じて作成した工事内容に関する発注者との打合せ記録(請負契約の当事者が相互に交付したものに限る。)
三  施工体系図
6  第一項各号に掲げる事項が電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され,必要に応じ当該営業所において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは,当該記録をもつて法第四十条の三 に規定する帳簿への記載に代えることができる。

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