個性的な図書館

武雄図書館が本の分類方法を変えて、利用者にとって探しやすい本の並び方を採用した。他の図書館も見習うべきである。ただ図書館の最大の価値は、本との偶然的な出会い(セレンディピティ)が起きる確率の高さであり、その並び方が偶然的な出会いの確率を最大化させているとは言えない。

一つの手段として、著名な作家や編集者に本の並び方を完全に一任することである。例えば村上春樹大先生が図書館の本の並び方を決めるのである。大先生の書斎に紛れ込んだという錯覚を覚えさせる並び方を提示する。

「大先生がこの本をここに置いたのか。これはどういう意味だろうか?」と考える機会を提供する。そして「この本自体にあまり魅力を感じないが、大先生が選んだので、いっちょ読んでみるか。」という流れを生み出すのである。

料理本の隣に小説が並んでいたり、自動車の本の隣に哲学書が並んでいるかもしれない。そのためこの方法の弱点は、予め借りたい本の分野を決めていても関連書籍を探しにくいということである。つまり、図書館のITシステムで本を検索するという手段に馴染みがあるということ(予め借りたい本は効率的にサクッと借りられるという能力)とITシステムが各本の置かれた位置を正確に示すことが前提となる。

残念ながら、あまり著名ではない作家や編集者が本の並び方を決定しても、多くの人を惹きつけることは難しい。「何か変な図書館」と思われるだけだろう。

1年に1度か数年に1度、大先生に足を運んで頂き、本の並び方を再考して頂く。それが継続すれば、ただの図書館が「〇〇大先生の図書館」として認知され、半世紀間はその図書館が洗練された文化財として存続できる。

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