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まさに「越境」!Next Commons Labのネットワークを海外に展開!

日本と酷似する社会背景。だからこそ挑戦するフィールドがある。

「台湾」と聞いてあなたは何を連想するだろう。東京から飛行機でおよそ4時間弱、地方空港からの直行便も多く、日本からのアクセスは良好だ。その手軽さから、時間とお金をあまりかけずに異国情緒を味わうことができるとして、多くの日本人が台湾へ観光に訪れる。その数は毎年100万人以上と言われており、今や米国、中国、韓国に次ぐ人気の観光スポットとなっている。

しかしそんな私たちのイメージとは裏腹に、最近の台湾社会には陰りが見え始めている。実質GDPはマイナス成長が続いており、個人消費の伸びも減速傾向にある。タイやマレーシアなどアジア各国の人口増加が著しい反面、台湾はほぼ横ばい状態が続き、近いうちに日本同様の人口減少のステージに突入すると予測されている。現に台湾では急速に高齢化が進み、そのスピードは世界一になるとも言われている。まさに数年前の日本を見ているかのようである。

地理的な観点から見ても、両者とも地震多発地帯に属するという大きな共通点がある。震災時の日本-台湾間の義援金についてはニュースでも取り上げられ話題になった。このように社会的・地理的に近しい日本の生々しい現状を間近で見て、台湾国内においても早急に手を打たなければいけないという気運が感じられる。

今回、Next Commons Lab加賀では「HUB台湾」プロジェクトが始動する。加賀を玄関口として日本-台湾間での人材・情報・文化の交流スキームの確立と同時に、Next Commons Lab初の対海外事業という意味合いも持つ。国を「越境」するこのプロジェクトでは現在、共に事業を創造する起業家を募集している。

Next Commons Labのネットワークを海外に展開する

今回Next Commons Lab加賀の一環としてプロジェクトを設計した理由について、プロジェクトパートナーである一般社団法人Next Commons Lab代表の林篤志さんは語る。

「もちろん地理的な要因は大きいです。石川県の小松空港から台北桃園国際空港までダイレクトで3時間かからないですしね。すでに多くのパイプができていることは容易に想像ができました。ただそれ以上に、Next Commons Lab加賀のテーマがすでに「越境」と決まっていたし、そもそも加賀という土地が北前船の寄港地であったこともあって、多様な文化が交差する場所であったという歴史的背景がある。その脈々と受け継がれた風土を無視することはできませんでした」

加賀において長い年月をかけて醸成された交流文化がまさに今アップデートされようとしている。海外というフィールドは当初から視野にあったのだろうか。

「今後Next Commons Labが国内にさらなる拠点を増やすことで、人・情報・文化の交流はどんどん活発になっていきます。その動きを国内に留めておく必要はなくて、国境さえも越え、海外とスムーズに繋がっていく仕組みができてもいいのではないかと考えていました。そうであれば、過去に北前船という文化の交流体験を積み重ねてきた加賀というフィールドが、まさにこの仕組みをスタートするのに適しているのではないかと感じましたね」

このプロジェクトを進めるにあたって行政の存在は非常に大きい。

「ありがたいことに、加賀市の方にも非常に興味をもっていただいています。そもそも加賀市は台湾に4つ(台南市、高雄市、高雄市鼓山区、桃園市)の友好都市があります。行政レベルでもパイプがあり、すでに文化交流は盛んでした。そこにNext Commons Labのような「よそ者」の視点を加えることで、一歩踏み込んだ新しい貿易が生まれるのではないかと考えています」

台湾高雄市の行政(文化局)との打ち合わせの様子

自由な行き来のHUBとなるプラットフォームを構築する

ではNext Commons Lab全体にとって、台湾に拠点を作ることに一体どのような意味があるのだろうか。

「加賀を玄関口にして、人材や情報を台湾に発信します。将来的には、加賀以外の場所で生まれた新しい事業、そこで活躍するキーパーソン、その人たちが創る文化なども台湾へ伝播させたいと考えています。このプロジェクトはそのためのHUB拠点の整備を行います」

人・情報・文化の発信の中心となるHUB台湾拠点。それによって日本と台湾社会にもたらされる未来像とは。

「日本全国のNext Commons Labの拠点が各地で集めた海外展開可能なリソースを、ワンストップでスムーズに台湾に展開することを想定しています。交流点としての機能だけでなく、Next Commons Labのプラットフォームを台湾で展開するための出発点の役割もあります。これからの台湾はまさしく今の日本と同じく、人口は減少局面に突入し、高齢化社会を迎えます。それに伴い経済は停滞し、実質賃金の低下や失業率の増加が課題となってきます。これらを打破するためにも、社会のインフラそのものが少し変わる必要がある。Next Commons Labが掲げている「ポスト資本主義」の具現化が台湾でも必要であると感じています」

台湾ではすでに起業家が動き始めている

今回のHUB台湾プロジェクトにおいて、台湾で共同創業することになるパートナー起業家Yen Ju Tu(杜晏汝)さんは次のように話す。

「台湾では近年、不動産価格の高騰を背景に、働けど働けど豊かになれない、いわゆるワーキングプア層が増えています。こうした社会情勢の中で、息苦しさや将来に対する不安を感じる若者も少なくないですし、みんな『何かできることはないのか』と真剣に考えています。私自身もそのひとりです。社会に変化をもたらしたくて、3年前に台北から高雄に移住し、仲間と一緒にコワーキングスペースやシェアオフィスの運営を始めました。しかし、やってみて改めて感じたのは、個人レベルで社会問題を解決しようとするのにはやはり限界があるということでした。それぞれの思いを糧に行動を起こしている人はたくさんいますが、どれも点での活動が精一杯で、まだまだ線としてのつながりや面での広がりに欠けるのが現状のように感じます」

今回、YenさんがNext Commons Labと共に事業を起こす決め手となったのは何であったのだろうか。

「Next Commons Labの仕組みやビジョンを聞いて、台湾のニーズとマッチしていると感じました。日本が直面している少子高齢化や都市一極集中などの問題は、台湾にとっても今から考えなくてはならないこと。だから日本で今行われている取り組みは非常に参考になります。台湾には日本の地域おこし協力隊のような制度はないですが、今回のプロジェクトで自分がインキュベーションを始めることで、行政も動き始めるかもしれない。トップダウンなやり方ではなく、ボトムアップで台湾全体を動かしていく、そんな流れをNext Commons Labと一緒に作っていきたいですね」

新規事業の立ち上げ・確立に海外という要素が加わるこのプロジェクトには、参画する起業家にバイタリティとフットワークの軽さの両方が求められる。何も決められていない未開の地で、エネルギッシュに、持続的なイノベーションを起こせる人材にぜひ応募してほしい。

Yen Ju Tu(杜晏汝)さんの雑貨屋が出店する高雄のコンテナハウス


プロジェクト「HUB台湾」について


【説明会】

2017年8月25日(金)18:30〜21:30 (東京)合同会社パラミタ 東京都渋谷区南平台町12-13 秀和第二南平台レジデンス1104号室
2017年9月2日(土)14:00〜17:00 (大阪) ハローライフ大阪 大阪府大阪市西区靭本町1-16-14
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