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【ICARUS】栄光なき開拓者あるいは繰り返される黄金の6時間

我々プロスペクターは常時監視されている。
我々プロスペクターは技術資源の使用を厳しく制限されている。
我々プロスペクターは使役者から全く敬意を払われない。
我々プロスペクターは賃金以外の報酬を受け取れない。
我々プロスペクターは禍々しいタトゥーや傷跡を持つものが多い。

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これらから導き出される仮説。おそらく、我々プロスペクターは囚人もしくは罪人である。

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プロスペクターは未開の惑星の最初の(最初でなくてもかなり初期の)探索者であり開拓者であるはずなのに、その切り開いた土地はおろか、先遣隊の名すら与えてもらえないのだ。我々が整えた拠点にあとから来る者たちが「先遣隊」なのだ。ヒマラヤのシェルパの歴史を思い出す。彼らは罪人ではないけれど。山頂を踏むのは登山家だけではないのに。栄光の光に照らされた濃い影の中に生きていた、名を知られない無数の栄光なき開拓者たち。

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アアアアアアーーーーたのしいいいいいいいい

たのしいです。ジャンルはオープンワールドのサバイバルクラフトです。まず石の斧とツルハシを作って木を切り石を砕いておうちを建てて武器を作り食べ物と水を確保し暑さ寒さに対抗する装備を作り、という生存のためのあらゆる衣食住タスクを次々とこなしていくやつです。たのしいです。FPSとTPSあります。PvEのみです。PvPはないですというか、殺し合いもできるけど殺し合っている場合ではない。マップは固定です。たのしいです。2021年の12月に出たばっかのタイトルなので攻略情報とかないに等しいですが、先行してる人はめちゃくちゃ先行している。あとプレイ環境の要求PCスペックがかなりそれなり高いです。たのしいです。身一つで宇宙ステーションからテラフォーミングに失敗した惑星に投げ落とされ、徒手空拳でそこを生き延び、拠点を建て、与えられたミッションを遂行します。ミッション報酬は小銭です。たのしいです。小銭は次のミッションがほんの少し楽になる(かもしれない)装備などを買うためにしか使えません。たのしいです。ミッションのために建てた拠点は嵐や落雷などでたやすく吹き飛んだり燃え落ちたりします。ICARUSはこのジャンルでおそらく現状最も過酷なやつかもしれん。たのしいです。たのしいです。たのしいです。

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最大の特徴はミッション形式であることだろうか。広大なサンドボックスでありながら、そこで遊べる期間は限られている。いや遊んでいる場合ではない、経験値とレベルの概念があり、作れるものとスキルはポイント制で、気象はあまりにも荒々しく、敵対生物はアホかと言うほど強力なので。やはり銃を持たない人類に熊や狼はあまりにも脅威。

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さらに死ぬと(他プレイヤーに蘇生されない限り)レベル間経験値は全ロストだ!!!!!!!全ロストだよ????!?!?!!
そしてミッションクリアのたびに築いた建築物はリセットされ、集めた資源も無に帰る。ミッション完了したらまた走って着地地点に戻らなければいけない。レベルとスキルのみを引き継ぎ、次のミッションを受けて、プレイヤー(プロスペクターと呼ばれる)はまた惑星イカルスに投げ落とされる。なんでこんなに過酷なの????!?!?!?!!?!?!このご時世に??!?!?!?!!

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と考えて冒頭の仮説にたどり着きました。ゲーム内では一切言及されないが、敬意を払われず常時監視されミッション報酬はとことん渋い。これら過酷な仕様を裏付けているのは、プロスペクターは使い捨ての囚人もしくは罪人ってことになっているからでは?というのが自分の中では割と辻褄が合ってしまったので、そういうことにして遊んでいます。私は模範囚Uzme、タフで優秀な奴隷です。どうぞよろしく!

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しかしこの過酷な仕様は、やってみると妙な清々しさがあるんですよ。私はこの手のゲームでは(まあどんなゲームでもそうですが)黙々と素材を集めてビルド&クラフトハイになってるタイプのプレイヤーですが、ICARUSで自分の作ったものが無に帰るのは、別にそんな辛くないんですよね。むしろ楽しい。何度でも掘っ立て小屋を建てたい。6枚床でどうにかなるのは木工台までだな!!!

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ビルドが楽しいサンドボックスタイプのゲームは、往々にして中盤くらい、資源や安全が安定してくるあたりから楽しさの質が変わってくるんですよね。「手探りの試行錯誤と発見」から「緻密な計画とその遂行」に変化する。「緻密な計画とその遂行」もそりゃ大好物ですが「手探りの試行錯誤と発見」は賞味期限があるんですよ、生鮮食品なんです。限られた時間でしか味わえない。時間にして最大6時間くらいでしょうか。未知の地形を走り、未知の脅威に怯え、とりあえずの目的と目標を自ら定め、何に使うかもわからない素材を集めまくり、重量制限で身動きも取れなくなって、突如現れた崖から落ちて足を折る、興奮と集中とアイディアと発見に満ちた、生き延びる最初の、あの濃密な黄金の6時間!

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ICARUSは時限ミッション形式により、この黄金の6時間を何度でも繰り返せるゲームです。積み上げたものが無に帰る虚無より、新しいスケッチブックのページを開く喜びの方が圧倒的に大きい。少なくとも私にとっては。今のところは。
あとビルド&クラフトマニアあるあるだと思うんですけど、最初に設置や建築をよく分かってなくて、後から修正するには微妙ーーにめんどくさいけど気になっちゃう小さいミスとかあるじゃないですか、1マスだけ床の向きが違ってたとか。ICARUSではそれは無視できるんですよ!また新しいのを建てればいいんだから!建てるしかないんだから!何度でも!清々しい!なんと清々しいことか!そう、ICARUSは分厚いスケッチブック!ページを埋めたら心置きなくバリッと破って次のまっさらなページに行けるんだ!普請は三代と申しますが、待ってられるかそんなもの、もうこの6時間で何度でも!お絵かきに没頭する子供のように、建て散らかせる何度でも!天井に床を流用した豆腐小屋も、ポーチを設けた水辺の漁師小屋も、崖の斜面を利用した狩猟櫓も、回廊式2階建てのタタラ場も、橋でつなげた湖に浮かぶ要塞も!その全てが、生き延びるために必要だったから建ててきた!

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何なら洞窟の中にも足場を組めます。超えられない崖はスロープや階段をかけて超えられる。(そういうミッションもある)
藁の建材は、3匹の子豚の故事曰く(いや3匹の子豚は故事ではない)藁のおうちは風で吹き飛ぶぞという教えの通りの最弱建材なので、効率的にはポイントの無駄ではあるけど、こういう時に生きるので(軽いことは大事)個人的にはアリだと思います。

まあ例によってヨダレ垂らしながらこういう遊び方を喜んでるのは少数派だろうなとは思うんですけど、私はめちゃめちゃ楽しいです。しばらく惑星イカルスを這いずり回ると思います。今は農業に手を出しています。問題は前述の通り、要求スペックが結構高いので、配信するとカックカクになってしまうんですよねー新しいPC欲しいなあ…(危険な兆候)


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