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大工さんは死ぬのか?危ないのか?[36歳からの大工さん見習い日記 三週目]

36歳からの大工さん。三週目でございます。

三週になると、いくらかは仕事にも慣れてきて、エアーの釘打ち機や、マルノコなんかの危険な工具にもいくらか慣れてきました。
文明の利器ですよね。片手で一瞬で釘が打てちゃうってスゴイ。片手で釘が打てるってことは、片手で木材を抑えながら打てるってことで、これ、結構すごいことなんですよ。
とはいえ、大工さんって本当に一軒の家が完成するまでにやることが多くて、全然、仕事を覚えてないんですけどね。笑
まあ、焦らず、ぼちぼちやっていきます。

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慣れてきたと思っていたら。
ロフトから一階まで落っこちて死にそうになった。

夕方で疲れていて、足が思ったより開かなくて、ハリまで届かなくて。お尻から安全な床のある方に尻もちを付くように動きましたが。
周りから見ていると、完全にヤバい動きだったようで、気を付けろよと。
実際、そのまま下に落ちていたら2階のロフト、つまり3階の高さから、1階の床まで落ちていたので、多分、結構な大けがだったでしょう。あるいは死んでいたかもしれません。

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仕事で死ぬのは嫌だなー、死にたくないなー。
やっぱり高いところの作業は命綱付けたいなーと思うんですけど。
問題は命綱を付ける場所がないんです。
まあ、僕の場合、まだ見習いなのでハーネス持ってないのですが。

ただ、ここで詳しい人は、
「2022年から、高所でのフルハーネスの着用義務化されてるだろ」
って思うかもしれません。

そう、一応は義務化されてるんです。
フルハーネスっていうと、命綱を取り付けるための全身のベルトみたいなものですね。

ただ、木造住宅の大工さんくらいの作業の高さって、二階くらいまでだから、すごい微妙な高さなんですよね。
それで、みんな使わないんです。
みんな使わないもんだから、命綱をかけるところがないわけです。
はたまた、命綱をかけるのに良い所がないからみんな使わないのかもしれませぬ。

一応、義務化されてるからハーネスは持ってるけど、命綱をかける場所はないので、完全に格好だけなんですね。
もっと高い場所で働く職種の人はちゃんと命綱を使うのかもしれませんが。
二階建てくらいまでの一般住宅って、現実問題としてほとんど命綱は使われません。

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でも、個人的には、命綱って上手く使えたら安全はもちろんですが、効率良いんじゃないかと思ったりします。

高い場所で不安定なところでも、ちゃんと力を入れて作業しやすくなるような。
スパイダーマンや進撃の巨人みたいに、ロープでビョーンって飛んだり出来たら、作業効率ってめちゃ速くない?って思うんですけどね。
まあ、ビョーンって飛ばなくても良いけど、高いところで命綱で体を支えながら作業出来たら、安全で効率も良いんじゃないの?って思うわけです。

クライミングなんか、下でロープ持つ人がいて、ビレイ取るじゃないですか。
なんか上手いこと、上に吊られている人を、下の人が上下に操作して作業したら、これ、すごい効率良いんじゃないかって。

でも、現状は、命綱をかける場所すらロクにない。
現場によりけりですが。

もっと正確に言うと、作業しやすい命綱をかける場所がないんですね。そんなところに命綱かけたら、作業できないじゃんとか。
もう、そもそもにそれすら外してあったりすることも。

命綱自体も、重かったり、絡まって使いにくかったり。
フルハーネスなんかにしても、結構重くて動きにくい。
現実問題として、フルハーネスに命綱なんか付けてたら仕事にならない。進まない。
いろいろ微妙です。

AIとかいろいろ開発されているのに、意外と命がけの部分、命綱が進化してないって、なかなかシュールだなって思います。

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それにしても、フルハーネスの問題って、本当に日本だなーって思う。

とりあえず、お役所は命を守るために着用を義務にする。
住宅会社なんかも、着用が義務化されたので現場は付けて下さいって話になる。
でも、現場は使いにくいから付けてるフリだけする。

問題に対して、解決のアプローチがない。
問題は回避するものであって、解決するものではない。
解決なんてしようものなら、
「いやいや、面倒くさいことに足を突っ込まないで下さい」
なんて煙たがられたりする。

当たり前だけど、現場で働く人間も死にたくない。
使いやすいハーネスや命綱があれば使いたい。

だけど、国の方は、使いやすさよりも、確実性を重視するから、重くて使いにくいようなものを義務化する。

落下を検知したら、エアバックが開くとか。
頑丈さが落ちて、確実性は落ちるけど、着用しやすくて、使い勝手が良いとか。途中で切れてしまうけれど、衝撃をいくらか緩和してくれるとか。

問題点をしっかりと検討して、解決の方法を一緒に作るとかってしない。
でも、そんな不確実な方法じゃ、責任取れないからダメとかって話になるだろうし。

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ハラキリ、カミカゼじゃないけれど。
タテマエのために命をかけられる国民性ってのは、案外、今の時代でも変わってないのかもしれない。

令和の時代でも、高いところから落ちそうでも命綱は付けないで仕事をするし、実際に落下事故ってそれなりに発生する。

ちなみに、大昔、東京タワーの建築は足場もなしで命綱なしで、材料ぶん投げて、工期カツカツで作ったそうです。
さすがにそんな危険な作業は今の日本ではないですが。
根本的には日本人って、そういう精神性の国民ってのは変わらないのかもしれませぬ。
作業のしやすさ優先で、毎日、かなりの件数の落下事故が起きています。

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でも、別に現場で落下しなくたって、サラリーマンはサラリーマンで日々ストレス抱えて、命を削って生きている面はあるんじゃないかなと僕は思ってます。

まあ、自分が営業時代にウツになったこともありますが。

ウツに限らず、出産なんかでも、僕は男だから自分は体験してないけど、妻なんかを見ていて、本当に命がけ、死ぬかもしれないことなんだな、と。

令和の時代とは言ったって、案外、人間生きているのって、命がけだよね、なんて思ったりします。普段はあんまり意識に登ることはないですし、オブラートに包まれているというか。
死ぬとか怪我とか危険とかって、普段は隠されてますよね。でも、実際には、そんなに遠いものでもないのかな、と。
大袈裟だと思われるかもしれませんけど。
逆に死なないのが当たり前なんて感覚はちょっと不自然な気もするわけです。

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そうは言ったって、大工さんは、そんなに高いところの作業は多くないので、
実際には、そう滅多に落ちるものじゃないのですが。

気を付けて仕事します。

でも、やっぱり、なんかびよーんって伸びて簡単に安全確保出来るような方法ないかなーって。
クライミングの用品とかでも探してみようかな。
自分の安全もだけど、やっぱりこれって、みんなにとって大事だよねって思うから、なんか良い方法が見つかれば良いのになって思ったりしつつ。

怪我せず、元気に仕事ができるっていうことはありがたいことだなと思いました。

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