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クリエイターのことを考えたら英単語帳に行き着いた理由

中川元太といいます。株式会社wwwaap(ワープ)というSNSで人気の漫画家・イラストレーターを中心としたクリエイターのマネジメント・エージェント事業の会社をやっています。

HP:株式会社wwwaap
http://wwwaap.co.jp/

最近「ぼけーっとながめて覚えるイラスト英単語SNS『ボケ単』」という
SNSメディアを始めたところ、「漫画の会社なのになんでやってるの?」と言われることが多くなったので、まとめてみました。

・ボケ単Instagram
https://www.instagram.com/boketango/
・ボケ単Twitter
https://twitter.com/boketango

はじめて知った方には、なんのこっちゃかもしれませんが
良かったら読んでもらえるとうれしいです。。
・・・ただちょっと長いので気になった章だけ読んでくださるだけでも嬉しいです。

1どんな会社か

上述しましたが、wwwaapはSNSで人気の漫画家・イラストレーターを中心としたクリエイターのマネジメント・エージェント事業の会社です。「インスタグラマーやYoutuberの漫画家版」と捉えるとイメージしやすいかなと思います。

(NHKにも弊社を取り上げていただいたこともあります)

●きっかけ

僕は広告営業→漫画編集というキャリアを歩んできました。2016年の夏ごろ、広告業界ではインフルエンサーの注目度が日に日に上がっていました。そんな中で一緒に仕事をしていたフォロワーが何十万人いる漫画家たちは、数千・数万RTをバンバン出し、めちゃくちゃ面白い漫画を描いてるにも関わらず、漫画業界の慣習的な原稿料で仕事しているのを横で見ていました。 「絶対もっともらっていいはず!」と思い、(エクセルの)資料作って大手広告代理店に売り込んでみたのが始まりです。

そして、初めて受けた大手飲料メーカーさんの案件で、納品した3作家全員が有名女優の15倍以上バズったことで広告主から高く評価されました。

一方で漫画家からは、いつもの何倍にもなった原稿料と、もう一点、「仕事のやりやすさ」を評価してれました。

●思ったこと

漫画経験のない人から仕事を受けた結果、漫画の作法や漫画家の心情がわからず、トラブルだらけで辛い思いをしたという話は漫画家の中ではあるあるでした。

当時からインフルエンサー事業の会社の資料に漫画家が入っていることはありましたが、彼らの能力に見合った条件の仕事を漫画家から聞いたことがありませんでした。

今でも漫画家のことを完璧にわかってるなんて言うつもりは到底ないですが
少なくとも漫画編集と広告の両方の経験を持っていたからこそやれる、そしてそのキャリアを持つ人は世界中でもなかなかいない、そんな思いを持って会社を興しました。

広告事業においては「世界一高い原稿料を払う会社」であるように、クリエイターの持つ価値を適切に広告主に伝え、またその価値を最大化できるよう日々精進しています。

(350社くらいと取引してきました)

余談ですが(読みにくいと定評の)会社名「wwwaap(ワープ)」のW3つは、Win-Win−Win(三方良し)を由来にしており、会社を興すきっかけになったこの思いを一生忘れないように込めました。


SNS×漫画の効果とその理由についてはMarkezine(マーケジン)さんの記事でどうぞ
「エンゲージメント率5倍!SNS漫画家が作る広告コンテンツがユーザーに響くワケ」
https://markezine.jp/article/detail/29370


2なぜ新規事業をやるのか

SNS×漫画による広告事業を2年半やってきて、クリエイターから「wwwaapのおかげでサラリーマンを辞めて独立できた」とか、「結婚できた」「上京できた」と言われることもあり、ほんの少しですが、クリエイターに貢献できているかなと感じています。

それでも、クリエイターの本当の幸せは「お金を稼ぐこと」ではなく「自分の好きな創作をして生きていくこと」です。

クリエイターに貢献するための会社がクリエイターの最大幸福に寄り添えていないなら、いずれ存在価値がなくなると思っています。

だからこそクリエイターが「やりたい」を思いっきり出来る舞台をプロデュースしたいと思い、新規事業をやることにしました。

新規事業を立ち上げるにあたっては海外を狙いやすい事業を作りたいと考えました。もともと僕が前職で漫画という道を選んだのは、日本にとって漫画やアニメが、世界的に優位性のある数少ない産業の一つであるからで、無論それも一つの理由ですが(これはまた別の機会に)

クリエイターのヒットは、評価者に出会えるかどうかがある意味全てで、
価値観が異なる人に評価される機会が増えることで、理論上ヒットの確率が上がると考えられます。

ゴッホが生前に1枚しか画が売れなかったのは(諸説あるけど)、評価者に出会えたのが死後だったから。

「日本ではさっぱりだけどアフリカでは大人気」というクリエイターは絶対もっといてもいいはずで、クリエイター1人では評価機会の創出に限界があり、特に海外では尚更だからこそ、サポートをすることに意義があると考えています。

極論を言うとクリエイターの代わりにニューヨークの道端で画を売ってくるとか、やってみたいと思ってます。

3なぜキャラクターなのか

新規事業は、キャラクターをテーマにしています。
その理由をまとめてみました。

(画像はTOKYOMXで放映中のwwwaap初のオリジナルアニメ「カエル王子といもむしヘンリー」です。)

理由1)クリエイターの得意領域が重なっているから

wwwaapが契約するSNSで人気のクリエイターにはLINEスタンプで実績があるクリエイターも多く、キャラクターは得意領域と重なってると感じたことがきっかけです。そしてキャラクタービジネスはLINEスタンプという収益源が出来たものの、それで生計を立てられるクリエイターはごく一部です。

一般的にはキャラクターが一定の認知(と好意度)を獲得して初めて収益が生まれるため、個人では限界があります。だからこそ、プロデュース領域が大きいジャンルと感じました。

理由2)既存プレイヤーの課題に応えられると考えたから

一方で、キャラクタービジネスの業界側もご多分に漏れずデジタルシフトが進んでおり、SNSやLINEスタンプ攻略は重要課題となっていました。

SNSで人気のクリエイターに対して注目はしているようでしたが
業界の大手企業でも、その開拓方法には課題を持っていることが多いことを知りました。

だからこそSNSやLINEスタンプに強いクリエイターたちと関係を築き、実績や能力、性格を誰よりも理解し、選択肢を提示できる僕らの存在にはニーズがあり、キャラクターに関して実績もなかった状態でいきなり地上波でオリジナルキャラクターによるアニメ放映(上述の「カエル王子といもむしヘンリー」)やバンダイの公式オリジナルキャラクター(「DJマロンとMCズイミー」)を制作させて頂くことが出来ました。

理由3)キャラクターも世界的に日本が強いジャンルだから

キャラクターも、ハローキティやマリオなどのように、日本が世界的にプレゼンスを持っているジャンルであることも新規事業に選んだ理由の一つでした。まだ実績の少ないwwwaapへも「日本のキャラクリエイターにキャラクターを作って欲しい」と海外の大企業から仕事が来ることもあります。


理由4)キャラクターは成長産業だから

世界的に経済はどんどん発展していますが、経済発展をすると機能的付加価値から感情的付加価値の必要性が増すため、(ボールペンが世の中に行き渡ったら、次はおしゃれなボールペンが売れる)そこに付加価値を作りやすいキャラクターの活用は世界的に増えると考えています。

もう一つ、これまでキャラクターはコミュニケーションの「相手」でしたが、今後、個人も企業も複数の人格を持つことが当たり前になっていくと、
複数の「自分」を表現するための「キャラクター」が必要になっていきます。そこにキャラクターのノウハウは活躍するチャンスがあると考えています。

4その中でなぜ英単語だったのか

そんな中で「ぼけーっとながめて覚えるイラスト英単語SNS『ボケ単』」というSNSメディアを始めました。現状開始二ヶ月でTwitterフォロワー3万、Instagramでは2万フォロワーを超えました。

この「ボケ単」を作った理由もまとめてみました。

理由1)キャラクタービジネス=認知×好意度

前にも触れましたがキャラクタービジネスは、基本的に認知度と好意度を上げることで収益化することが出来ます。つまりリーチ(接触人数)×フリークエンシー(接触回数)※とも言えます。※単純接触回数により好感度や評価等が高まる(ザイオンス効果)

これまで最もリーチを生み出せるのはマスメディアであり、数多くのキャラクターがテレビから生まれてきました。が、言うまでもなく人が時間を使うものが多様化し、リーチを生み出せる場所が広がり、LINEスタンプ発など、
キャラクターの人気に火がつく発火場所も増えました。

だからこそ、キャラクター事業をやるにあたり人が時間を使っていて、リーチとフリークエンシーを効率よく最大化できる場所でチャレンジしたいと思いました。

ちなみに余談ですが上述の「カエル王子」は、今は1.3万フォロワー程ですが
二頭身VTuberである特性を生かしてtiktokを頑張っています。(このキャラにも色んな仮説が詰まってますが、またどこかで)

理由2)大ヒット「うんこ漢字ドリル」

そんな中で「うんこ漢字ドリル」の大ヒットから、教育とイラスト(キャラクター)は相性が良いという点に目をつけました。生物学的にもイラストが学習効率(記憶定着率)に貢献することは証明されています。

もちろん「イラスト」は魅力的であるほうが良く、面白くてSNSでウケるイラストを作るのは弊社のクリエイターの得意分野であることから、教育×イラスト(キャラクター)×SNSは面白いのではと考えました。

理由3)やりたいと思ってるけど実際は何もしてない=英語学習

教育の中で「英語学習」は市場が大きく、また日本人には「学習に興味はあるが具体的には何もしていない」層が最も大きく、その層と「普段使うSNSで気軽にイラストで学習ができる」ことは大変相性良く、フォローモチベーションを生み出せるのではと考えました。(そしてこの「学習潜在層」は教育業界がアプローチしにくい層でもあり、既存事業者との相性も良いのでは)

また英語学習は小学校教育での導入や、高校受験制度の変更など、グローバル化する社会での成長市場でもあります。

理由4)ユーザーに「実利」があるものを作る

作る際には「本当に学習として役立つもの」を意識しました。おもしろ×英語のようなものは既にSNS上にも存在しましたが、ユーザーに永続的に活用される実利あるコンテンツを作らなければ、花火のように消費されやすい現代では消えるだけだと思ったためです。

「語呂ゴルゴ」や「マドンナ古文」のように(パッと見はカジュアルで気軽に始められるが学習に役立つと評価された結果)20年、30年残る学習サービスを狙っています。

そのため特許庁での翻訳経験のある翻訳家にお願いし、今では翻訳ダブルチェックもいれています。

理由5)クリエイターにとっても魅力的な仮説を作る

SNSで何かをやる場合、弊社のクリエイターは自身だけで十分に1つのメディアと遜色ないくらいの発信力を持っているのため、良いクリエイターが乗っかりたくなるような、単なる「おもしろ」だけではないクリエイターにとっても魅力的な仮説(コンセプト)が必要だと思っていました。

各キャラの設定については、僕が上海に視察に行った際に考えたヒットキャラの仮説をベースに各作家にリクエストし作ってもらいました。(想像してた何倍も可愛くて良いキャラになりました)


●反応
実際ユーザーからも好評で、キャラクターやネタの面白さへの評価もありますが、なにより学習ツールとしての評価が高いことに、とても手応えを感じています。

またサービス開始時に読売新聞都内版での短期連載をさせてもらいましたが、企業側からも評判が良く、今後コラボなどをいくつか予定しています。(早く言いたい!)

●海外
また、中国やタイなど、英語学習意欲が高い非英語圏でもチャレンジしてみる価値があると思っています。

5今後について

(オフィスの入口です。右はクリエイターのトミムラコタ@cota0572さんに描いてもらいました)

イラスト英単語SNS「ボケ単」はチャレンジの一つであり今後もクリエイターの「やりたい」をプロデュースできる事業をどんどん作って行きたいと思ってます。

最終的には世界中のあらゆる場所で、あらゆるジャンルのクリエイターを育成・マネジメントする「クリエイタープロデュース集団」を目指しています。MoMA(ニューヨーク近代美術館)で個展をするクリエイターを輩出したいです。

基本的にはクリエイターの「やりたい」をもとに事業を作ります。チャレンジしたいことがあるクリエイターはぜひ気軽にご相談いただけるとうれしいです。

人の情熱こそが、最高の源泉だと信じています。


SNS等で実績がなくとも、特にキャラクター作りたいという方は是非ご連絡ください。もちろん企業の広告の漫画制作をしたいというクリエイターも大歓迎です。

また同時に新規事業を担当する中途採用も積極的に行っています。弊社のチャレンジにご興味を持った方は、ぜひご応募お待ちしております。必須条件は「クリエイターに対してリスペクトがあること」です。

株式会社wwwaap
http://wwwaap.co.jp/

しかしまぁほんとに長いですね、、、我ながら。。。
長々とお読み頂いた方、少しでもお読み頂いた方、本当に本当に嬉しいです。ありがとうございました!


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