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「破産」は再起のための手続

「破産」というと、どんなイメージを持つでしょうか。

借金取りに追われて極貧生活、とか。何もかもを失う、とか。破産した事実が一生自分に付きまとう、とか。あまりの辛さに自ら命を絶ってしまう人も…とか。

こういった薄暗い、重苦しいイメージを持っていらっしゃる方もいるかもしれません。

しかし、こういったイメージは、実際の破産とは大きくかけ離れているように思います。

①免責を受ければ借金はなくなる

破産をして借金を免除(専門用語で「免責」といいます)してもらえば、免責された負債について支払いを求められることはありません。

免責されれば、あとは今まで通り、普通に生活することができます(数年間クレジットカードが作れないとか、収入に見合わない支出を控える必要がある、という違いはあるでしょうが)。

借金を無くせる、というのは破産手続の大きなメリットです。

ちなみに、通常の金融機関等であれば、一定割合の方が破産等することを見越して事業を組み立てていますし、破産した方に対して嫌がらせ等をすることが法律上禁止されています。そのため、一般の方が思うほど後腐れはありません(個人の方からの借金だと後腐れがありえますが)。

なお、闇金融は嫌がらせ等をしてでも借金を取り立てようとしますが、弁護士が間に入れば解決可能ですので、お早めにご相談ください。

また、「ギャンブルで借金した人は免責されない」などと言われます。

これ自体は、法律の条文上は正しいです。しかし、実際の運用では、借金の原因となるギャンブル等をやめていることが確認できれば免責を認めることが多いです。

そのため、まずは弁護士に相談することが大切です。

②生活に必要な資産は残せることが多い

たしかに、破産すると持っている資産を売却することになるのですが、手放さなければならない資産というのは不動産などある程度高価な物品に限られています。

そのため、家は借家、自動車は持っておらず株なども持っていない、というような方の場合、手放す資産がないため破産の前後であまり生活が変わらない、ということがあります。

そもそも、法律上、破産しても99万円程度の資産は手元に残せることになっています(破産法34条3項1号)。これだけのお金があれば、生活を立て直すことも難しくはないでしょう。

破産しても意外と十分な資産を手元に残せるということは、もっと多くの方に知っていただきたいです。

③破産した事実は7年くらいしか意味を持たない

1度破産をして免責を受けた場合、その後7年以内にまたしても破産をしようとすると、免責が受けられないことがあります。

逆をいえば、7年経過すれば、破産したことは法的にあまり意味を持ちません

破産したことが戸籍に載るとか、選挙権が制限されるとか、破産にそういった効果は一切ありません。

④借金で悩んで命を粗末にするのはもったいなさすぎる

そもそも破産法自体が、破産してしまった人の生活の再建を目的のひとつとしています(破産法1条)。そのため、誠実に対応すれば、法律は破産する人を守ってくれるのです。

私自身もこれまで100件近い破産事件を扱ってきましたが、破産をして後悔したとおっしゃる方はいませんでした。

むしろ、「こんなにすぐ終わるんですね」と驚かれたり、「破産して良かった」と喜ばれたりする方がほとんどですし、なかには「命を粗末にするところでした。本当にありがとうございました」と涙ながらに感謝される方もいらっしゃいました。

早めの相談が吉

昨今の状況で経済的に苦しいという方が増えてきています。

そのような方は、ぜひ最悪の選択をしてしまう前に、弁護士にご相談ください。

早期に相談していただければ、民事再生といった破産以外の方法も選択することができます。

逆に、ご相談時期が遅れると、民事再生などの再建型手続が利用できず、破産する選択肢しかない、ということになりえます。

また、破産する場合にも、ある程度の費用が掛かります。

具体的には、同時廃止という簡易な手続の場合なら合計2万円程度で済みますが、換価すべき資産があったりギャンブル等の免責不許可事由がある場合だと管財事件というものになって20数万円の費用がかかります。また、これらとは別に弁護士費用が発生します(ただし、弁護士費用については法テラスを利用することで分割払いが可能なことが多いです)。

そのため、本当にお金がなくなってしまうと、破産することすらできないのです。

上記のとおり、破産した場合でもある程度十分な資産を手元に残すことができます。そのため、早めの相談を心がけていただきたいです。

弁護士 永野達也


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