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そろそろ緊急時の物資支援は卒業しませんか

熊本日日新聞の29日の記事、「支援物資 飲料水130トンが未使用のまま 賞味期限切れ」強烈な見出しですが、ある意味被災地あるあるだよなと思います。そこで今回は、被災地に物資は送るなよ、という話です。

一度災害が起きると、色々なものがダメージを受け麻痺し、支援を必要とする場合があります。交通インフラのダメージや被災の混乱により、物流も大きく影響を受けます。昨年の西日本豪雨でも、車で20〜30分の所まで数時間かかるような大渋滞が毎日続きました。

上下水道・電気・ガスの生活インフラがストップすると、飲み物や食べ物の確保が難しくなります。近くの商店もコンビニも品切れで手に入りません。いろいろな要因が重なり、発災直後から数日間は水や食料、衛生用品などの物資が大きく不足します。

そんな状況をマスメディアが報道したり個人のSNSなどで、物資の不足情報が全国に拡散されます。学校のグラウンドに椅子を並べて大きくSOS、水、と書かれた映像などは記憶に新しいはず。SNSで物資支援を呼びかける投稿を見た方も多いでしょう。

しかし数日経つと、道路が復旧、物流が復活し、商店に品物が並びます。行政が要請した必要な支援物資も届くようになり、もしかしたら早い段階で生活インフラも復旧が始まるかもしれません。

でも復旧した、◯日までに回復する等の安心材料となる情報は、「足りない、危ない」と危機感を煽る情報ほど大きく拡散されません。現地以外のメディアは特に。

そして、状況が安定しても#物資不足 の情報が拡散され続け、被災地に物資が過剰に届く事態が起こるのです。
これは、一つの被災地の話ではありません。何度も、色々な被災地で似たような状況が発生しています。

被災地はナマモノです。日々刻々と状況が変わり、必要な物資も変わっていきます。よほどの瞬発力がないと、必要とされているものを届けるのは難しいのです。

別に余計にあるぶんにはいいじゃない

そう思われるかもしれません。
ちょっと余分は問題ありませんが、一つの行政人口分のちょっと余分、は相当な量になってしまいます。

過剰に届く物資のためにわざわざ倉庫を借りるなど、行政の出費が発生する場合があります。
お金だけではありません。
集まる物資の受け入れや整理、数の管理などに人手が必要です。行政職員が何名も駆り出され、対応に追われる。本当は物資整理より、地域の状況把握や被災者の対応に時間を割きたいはずです。

更に、発災から数ヶ月が経ち、例えば避難所が閉鎖になったり、緊急期ではなくなったりします。そうなると臨時で使わせてもらっていたスペースや、借りていた倉庫などを返さなければなりません。
(今回の熊本市の事例でも、施設の関係で一度置き場所を変更しています。これにも一定のコストがかかっているわけで…)

いつまでも非常事態だからは通用しません。
善意が形となり各地から集まる物資ですが、大抵の場合、緊急期が終わるタイミングで物資倉庫が空にはなりません。飲料水やタオル、マスク、紙おむつ、など様々な物が残ります。そして担当者や関係者はその置き場所を確保するために苦心します。

今回の熊本市は、その保管場所に困った結果、最終手段として市民に打開策の提案を求める事態になってしまいました。
きっと、そうなる前にどうにか対処しろよ、と批判する声もたくさんあるでしょうが、「善意で送ろうとしている方々に『必要ない』と言えば、失礼に当たる」とあるように、早々に断れば、それはそれで一定の非難を受けていたはずです。
また、断ることで、支援がなくても大丈夫だと思われてしまうリスクもあり、物資受け入れの判断は簡単なものではないのです。

被災者に届けたり、活用してもらえるように、色々な工夫をしていたんだろうと思います。肩を持つわけではありませんが、今回の件は、一つの行政では対応できない規模の物資が集まってしまった結果ではないでしょか。
どうにか良い解決策が見つかるといいのですが。


残念ながら解決策が見つからなかったことも

例えばある地域での水害。着の身着のままで逃げてきた、持ち物が全て泥水に浸かった、等で発災直後は着替えがない状況でした。
それが広く知れ渡ったのか、全国から大量の衣料品が送られてきましたが、その中には個人の方が送ってくれた古着が大量に混ざっていました。

ダンボールに詰め込まれた古着は、性別やサイズ毎に仕分けしなければ配布できません。
仕分けに時間と人手をかけ(一部ボランティアも動員されたと記憶しています)、配布を試みましたが、結果として大量に残ってしまいました。

そして残った古着は、被災した地域が“お金をかけて対応”しました。
全国からいただいた気持ちだけれど、ずっと倉庫を借りているわけにもいかない…もちろんこれは、関係した誰もが、不本意ながら選んだ答えでした。

これを読んでいる方には、善意で送った物資とて、時には被災した自治体の負担になる可能性がある、と頭の片隅にメモしていただきたいのです。

最後の一マイル

「物資は送るものじゃない、届けるものだ」と、どこかで聞きました。まさにその通り。
なぜなら、一部では過剰に在庫があるが一部では不足する事態は、物資を送るだけでは解消できないからです。

行政に届いた物資でも、行政職員やスタッフが一軒一軒配るなんて現実的ではありません。それでなくても災害対応で長時間勤務に次ぐ長時間勤務です。

結局、困っている人に誰が届けるのか、この問題が解決されないと、物資の不足はなくなりません。


下世話な話ですが、やっぱり最後はお金です

もし被災した地域の知人から、直接〇〇が無いから送ってほしい、と相談があったなら物資を送る方が正解でしょう。しかし、現地に行けないけど何か協力したい、そんな場合は、義援金や支援金としてお金を送るのが一番です。

お金は万能です。どんな物資にも形を変えられます。困っている人へ届けるためのガソリン代にもなります。
さらに被災地域の商店で物資を調達すれば、現地でお金を循環させられるのです。

もし、家にある物を送って現地で活用してもらおうと思っているなら、現地へ送る送料分を募金してはどうでしょうか。もしくはその物資をフリーマーケットなどでお金に変えて、現地に送金する方法もあります。
過剰な支援物資は、被災地の民業も圧迫します。頑張って営業を再開したお店があっても、ただで配っている所があれば、どうなるでしょうか。

もしどこかで大きな災害があって、物資不足の情報を見た時、リツイートや物資を送る前に、ちょっと考えてほしいなと思います。

物資にまつわる混乱を起こさないために

もし今、まさに今、大きな災害に見舞われたら、どうなりますか?水道や電気ガスが止まったら?あなたは「物資」を必要とする立場になるかもしれません。

少しでも混乱を小さくするために3L×人数×数日分の水、カセットコンロとガスボンベ、などが備えてあるか確認してみましょう。

また、どうしても〇〇が足りない!
と発信する時は、
【いつの情報で、いつまでに、何個必要なのか】
などを全て具体的に表示する必要があります。

そうしないと、いつまでもいつまでも誰かからの善意が届いて、部屋が物資で満杯になる可能性もあるのです。

毎年災害が発生する日本だからこそ、みんなでノウハウを共有して、備え上手、支援上手、支援され上手に成長していかなくては、と思います。

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災害NGO結

東日本大震災以降、国内の災害地で緊急支援〜中長期支援として、ボランティアコーディネートや地元支援団体育成などを行っている団体。「0から1を作る」を大切に、長期的な目線で地域と一緒に復興を模索しています。過去事例の紹介や、現在の制度解説などを災害現場から発信。 中の人募集中。
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