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【ドラマ感想】コウノドリ(2015)

・ネタバレあり
・おすすめ度★★★★★
・繰り返し観たい★★★☆☆

どうも。好きなショパンの曲はノクターン第5番・嬰(えい)へ長調、ねごとです。
小さい頃この曲のイントロがゆったりしてるところが、ゆったり歩くご老人の姿を連想させて、勝手に「おじいちゃんおばあちゃん」って名前つけてイメージを演じたりしてました。
ちょっとテンポ早くなったり舞踏会みたいな曲調になったりするところが、いるかもしれない老夫婦の日常の出来事や人生の優雅な暮らしを感じさせてくれて素敵だなあと。
実際のところ、ショパンが何を思って作った曲なのかは知りませんが。

『コウノドリ』
>>公式サイト >>amazon prime番組ページ

まず結論から言うと、すごく面白かった。
つらい話も、素敵な話もいっぱいあって、この作品を見られてよかったです。

ドラマの舞台は産婦人科で、主人公は産婦人科医・鴻鳥(こうのとり)サクラ(綾野剛)。
主人公のサクラが働く病院には、毎日様々な妊婦さんと家族がやってきます。
子宝になかなか恵まれず、不妊治療に望みを託す人、
出産間際、不幸な事故に巻き込まれ、助けるのは奥さんか子供か残酷な選択を迫られる父親、
喫煙の危険性を知りながらも、喫煙をやめられない夫婦、そして起きた悲劇など…

そこには知らなかった産婦人科で日常的に起きていることがありありと描かれていました。
目の前の命を必死に救い上げようとがんばる、産婦人科医や外科の先生たち。
高齢出産のリスクやなかなか実を結ばない不妊治療に悩む人がいる一方で、
若すぎる出産や望まれぬ出産で子供の誕生を嬉しく思いながらも素直に喜ぶことができない人もいる。
障害を持って生まれてきた我が子と向き合えないで病院に会いにも来ない親もいて、
無脳症と診断され泣く泣く死産を選択する親もいて…。

去年twitterで、20年前にとある妊婦さんが体験した「直前まで周りの妊婦さんを励ましてた出産3人目の妊婦さんがその直後出産時に亡くなった」的な体験談が話題になっていて、出産が死の危険を伴う大変な出来事だということを初めて知りました。
それまでは何となく、医療も発展してるし出産に伴う死のリスクはそんなにないんじゃないかな、みたいに思ってました。

でもこのドラマを見てみたら生まれてくる赤ちゃんの大きさに驚愕。
でかい…!思ったよりも数倍でかい…。
あんな大きな赤ちゃんを体から出すなんて、そりゃ痛いし死にもするでしょ…。
お産、全然舐めてました…
現代医療はたしかに発展してるだろうけど、そういう次元じゃなくて、
物理的…構造的?にこれはヤバいわ…。

思わず、自分を生んでくれて今も元気に生きていてくれてる親に感謝しました。
一昨年、子供を産んだ妹にも尊敬の念が…!
ヤバい、出産で母子ともに健康に成功するのって、すごい奇跡だ。

また、一般的な年月で生まれた赤ちゃんの大きさに対して、早産で生まれてきた子の小ささにもびっくり。
あれ、どうやって撮影してるんだろう?!
出産のシーンがたくさん出てくるので、生まれたばかりの赤ちゃんっぽい子もいっぱい登場するんですが、新生児の扱いってすごく大変そうだし…それもすごいけど…
未熟児で生まれてきた小さな赤ちゃんも、ちゃんと作り物じゃなくて指先を握ってきてくれたりして、あまりの小ささにびっくりするとともに、どうやって撮影してるのかがすごい気になりました…
保育器?からうかつに出したりできなそうだし、
実際に病院に行って撮影してるのかなー、すごいな…

あんなに小さいとは思わなかった。
早産で、未熟児で生まれてきたけど、こんなに立派に育って…
みたいな話はドラマとかで聞いたことあったけど、ほんとあんな小さな姿から無事成人できた姿見たら、自分が親だったら泣くどころではない…!
すごいことだ…その命を取り上げる人も、きちんと生き長らえさせることに心血を注ぐお医者さんや看護婦さんも、その機器を発明・開発した人も。すごい。

あと産婦人科の医者が、出産時に母親か子供が助からなくて、訴えられて、やりがいや仕事の大変さに見合わないリスクを押し付けられ、みんなやめていって人手が足りない…みたいな話は噂に聞いていたんですが、実際はこんなにがんばっている一生懸命な人たちがちゃんと大勢いる、ということが知れてよかったです。
でもドラマの中でも人手はたしかに足りてなくて、ずっと病院にいる感じで、こんなに神経をすり減らす大変なお仕事なのに、ずっと休みなく働き詰めだったら長く続かないんじゃないかな…と思いました…。

ドラマでそのお仕事の一端を覗いただけですが、とんでもなく立派なお仕事です…!
私は血や手術を見るのが全然ダメで、頭もそんな良くなかったから医者や看護師さんにはなれなかったけど、血が大丈夫でその方面を目指す方にはぜひともがんばってもらいたいです。
作中に婚約者と結婚を考えているけどデートの度に緊急手術が入ったりして、自分のプライベートを犠牲にしてまで身を粉にして、ついに限界が来ちゃった女医さんが出てきたけど、もっと人手が増えたら受け入れ態勢も安定するだろうし、リスクも減るだろうし、仕事も長く続けられると思うし、お医者さんもプライベートを諦めないで済むし、出産に関わる人すべてが幸せになれる社会になったらいいな…!と思いました。

ほんとすごいドラマだった…

結婚してる人も、結婚してない人も、
子供がいない人もいる人も、
女性も男性も、色んな人に見てもらいたい…。
中学生になったら、できるだけ多くの人にも見てほしい…

出産や性に関することって日本じゃなぜかタブー視されていて、伏せられがちだけど、
本当は体が成長して子供が作れる年齢になった時点できちんと知っておくべきだし、
全然恥ずかしいことじゃなくて、とても大事なことで…

女の子は自分の体を大事にするためにも、男の子は自分の行動に責任を持つためにも、
そしてまだ出産に対して理解や意識がすごく低いように感じる日本の会社や社会にも、
悲しい現実も素敵な出来事も丁寧に描かれたこの作品は(もちろんドラマだから美化されてる部分はあるにせよ)真実を知ることができる貴重かつ必要な作品だと感じました。

そして主人公のサクラ(綾野剛)が、悲しいことや嬉しいことがあるとピアノを弾きに行くんですが、
その旋律が優しくて美しくて…
物語が進むうちに、サクラの出生のエピソードや、一見冷酷な医師に見える同僚が抱えている過去の後悔や胸に秘めた熱い思いなど、医者側の物語も色々と明らかになって行って、本当に面白かった。

綾野剛さん演じるサクラさんが、すごく優しいしゃべり方で、優しい笑顔で。
信頼を勝ち得る人って、きっとこういう人なんだなあと思いました。

どれも心に残る話ばかりなんですが、特に思い出深い話を挙げるとすれば、
・妊娠中にかかった風疹のせいで、目が見えない女の子とサクラが一緒にピアノを演奏する話
・無脳症という、脳が発達しないで生きることができなかった子供と家族の話
・お母さんが助産師さんをやっている姿に憧れて、自分も助産師になったベテラン助産師さんが、自分の助産院を開業する勇気を持てなくて、病院勤務を続けていることに負い目を感じていた話
・妊婦さんがタバコをやめられなくて、旦那さんも吸い続けてて、お腹が堅くなって死にそうな危険な状態で倒れた妊婦さんの話

の4つが特に思い出深かったです。

風疹の話は、実際にニュースになっていた時に知ったんですが、実際にはこういうことになるんだ…と…。多分失明するパターンだけじゃなくてもっと色々な危険をはらんでるんだろうな…
と思って調べたら、やっぱり流産の確率が高くなったり、様々な障害を持って生まれてきたり、奇形児になったりするみたい…
検索トップに出てきた記事を掲載します。

【NHKニュース】妊婦が風疹 赤ちゃんに障害 去年から続く風疹の大流行が止まりません。(2013) http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/144996.html

【DAILY INFO】風疹が妊婦に及ぼす影響は?奇形児の確率は?感染してしまったら? http://daily-info.xyz/archives/6003.html

過去のニュースによると、風疹の予防接種にはブランクの世代があって、特に2013年当時の20代男性に受けてない世代があるとか…
当時かなり話題になりましたが、飛沫感染で感染する病気なので、自分だけじゃ防げないのが怖いですね…こういう危険性があるものは、やっぱり義務として適当な年齢の時に集団接種しておくことが必須なのかなと思いました。
漏れてしまった世代でまだかかってない人には、自分のせいで見知らぬ誰かや、もしくは自分の大事な人が不幸になるのを防ぐためにもぜひ意識を高く持って接種を受けに行ってもらいたいです…!
私は小さい時に羅患しましたが、一度かかったらもうかからないとは言われてるけどもっと調べてみた方がいいかも…。

喫煙の話は本当にショックで…
サクラさんが倒れた妊婦さんに話して聞かせたエピソードに出てきた、昔担当した子供が大好きなお母さん妊婦さんの話がすごいショックでした。
子供が大好きで、すでに二人生んでて、もう一人が生まれそうで、でもどうしても喫煙がやめられなくて…
結局喫煙してたせいで死んじゃったんですよね。その妊婦さん…

私はタバコ吸わないし、息が苦しくなるから受動喫煙も可能な限りお断り派なんですが、
タバコって中毒性があるから一度「吸える」ようになっちゃうとなかなかやめられないみたいですよね…。
最近は電子タバコのiQOS(アイコス)に切り替えてる人もだいぶ普及してきてて。
もちろん意思を強く持ってタバコを止められる人はほんと素晴らしいなって思いますが、やめるまでいかなくても、吸わない人にとって受動喫煙のリスクが減ってきてるのはすごくいいことですね。
でも相変わらず意識低く、路上で喫煙しながら歩いたり、決められた以外の場所でも無神経に吸っている喫煙者を見ると、すごい憤りを感じます…。

特に妊婦さんの前で無神経に吸う人は、もう意味が分からない…。
自分ではかっこいいつもりかもしれないけど、タバコってお母さんのおっぱいを忘れられなくて口さみしくて吸ってるみたいな話聞いてから、ちゃんと決められた場所でルール守ってる人は別だけど、ルールも守れず意思も強く保てないで無神経かつだらしなく吸ってる人見るとめっちゃダサ…って思ってます。
そういう人は、自分が駅前など人が大勢いるところで刃物を振り回しているようなヤバいことをしてる自覚を持って、自分の行動を改めてほしいです…。

話逸れたけど、お腹に赤ちゃんいる妊婦さんはへその緒通じて毒も赤ちゃんに渡っちゃうから吸っちゃダメだし、妊婦さんがいる家庭の家族も受動喫煙で赤ちゃんに毒を与えることになるから吸っちゃだめだし…、
医者にダメって言われたらなんでダメなのか、どうなるのか、どういう影響や理由があるからだめなのかしっかり突き詰めて考えて、少しでも不幸な事故が起きる確率が減ればいいなあ…と思いました。

私は女性で結婚してるけど、自分がどうやら子供ができない体質らしいと気付いたからかもしれないけど…出産の苦しみや苦労、嬉しさや素晴らしさを感じることができなさそうなのは本当に残念だけど、
だからこそ赤ちゃんを授かった人には新しい命を大切にしてほしいなあ…。
外野からの無責任な言葉、願望かもしれないけど。

自分も、風疹やインフルエンザなど、予防できることは予防して行きたいです。
つらい展開もあって、気軽に何度も見返せるような内容じゃないので、「繰り返し観たい度」は★3で。
でも本当に、色々と現実を知ることができたし、いいドラマでした!!
原作は漫画で、ドラマの二期も昨年末に放送されたとのこと。
そちらも機会あったらぜひ追いかけてみようと思います。



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