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椎名林檎と私

卒論でアーティストのことを探していくうちに自分の好きなアーティストの曲や視聴者がどう聴いているのか気になってそういう記事を読み漁っていた。

人は想像力豊かで、自分が考えもしないことを考えて、悩んで、迷って、生きている姿が垣間見えて、自分と同じ人間なんだと思えて、とても楽しかった。
私もいずれかはそのアーティストのことについて熱をぶつけようと思っていたが、自分が思っている熱をすべてぶつけきれるか不安で中々できずにいた。
これを機に記していこうと思う。

というわけで、参考文献として、マガジンに勝手にさせて貰った。
できれば卒論の引用文献にもしたいけど、著作権やら何やらの都合で許可を取らねばならないけど、日酔ってしまって読むことしかできないでいる。

最近のあの騒動もあってか、記事の大半はヘルプマークについて色々記されいるものが多かった。
私もその騒動をSNSで目の当たりにしたけれど、「紛らわしいからやめた方がいいかも」「色とか変えたり(紫とか)したら、まだ今よりも炎上しなかっただろうなぁ」とかしか思わなかった。

私はヘルプマークをつけている当事者ではないし、いかにも正論を言いたくてその怒りをぶつけるのもなんか違うなぁと思ってノーコメントで人の意見をさっと見て閉じた。

最近、すぐに炎上することが多くなって、日本の治安が悪いことや、世界中が不安定で余裕のない人たちで溢れかえっていることがSNSを見てよくわかるなぁと思った。
私は何かがバズっていたり、炎上したりしても、あんまり気にしないというか大体終わってから知ることが多くて、そういう情報を人はどうやってすぐに手にするのか知りたいくらい鈍感だ。

私が彼女を知ったのは、紅白だった。
ギターを持った着物姿でNIPPONを歌っている彼女の独特な空気が一瞬で虜にされた。
年を越した後にTSUTAYAへ駈け込んで数枚のアルバムを借りて、様々な曲を知るとともに、彼女の世界観にどっぶりハマった。
通学中も、悲しくなった時も、孤独を感じる時も、怒りを爆発したい時も、愉しい時も、いつ如何なる時も彼女の曲に救われていた。

私は当時彼女が世間体でどう見られているかすら知らなかったとき、母親に彼女が好きなことを打ち明けると、子どもがヤバい歌手を好きになってしまったというような口調で私と彼女を批判した。
椎名林檎のアルバムに「勝訴ストリップ」というのがあって、それを買って欲しくて父親に頼んでいるところを母親に見られて、「あんたよく頼めたね」と言われた。
私はアホなので、ストリップが何のことが分かっていなかったし、よく言葉と意味が一致しないことは私の中で日常茶飯事だった。

あまり彼女の受けが悪かった時、「コスプレイヤー」とか「病んでいる」とか「エロいことに惜しまない」とかマイナスでイメージがあることにその時気づいた。
自分の好きなものを貶されたことに対して、彼女の魅力を対して知らないくせに罵倒する人たちを軽蔑した。

そう、彼女のことを自分が一番知っているかのような錯覚に陥っていた。
愛好家なら一回くらいは経験する道だと思っている。
それくらい彼女にはコアファンが存在していて、みんな懸命に彼女の作詞した難解な歌詞の解釈をしたり、彼女の難解なメロディーを楽器で演奏したり、彼女の理解を深めようと必死だ。
それくらい愛好家は、彼女に没頭するくらい魅力的な存在であることが分かる。

そんな唯一無二な彼女に酔って、自分の世代より上というのもあって、他とは違う感性を持っているとも錯覚していた。

なんだかマイナスなことをツラツラと書いてしまったので、舵を切らせてもらう(こんなつもりじゃなかった……)。

私は、椎名林檎>東京事変を好んで聴く。
最近は色んなアーティストの曲を聴くのもあって、彼女の曲はあまり聴いていなかったのだが、暗い気持ちになったときに聴く「帰る場所」として聴くようになった。
より一層暗い気持ちを共有できるのは、椎名林檎の初期の曲だと思っている。
特にSSやMM、加爾基といった初期の頃の、彼女の世界観が一番自由に放たれていた頃の曲が好きだ。

彼女の凄いところは、「似たような曲」が存在しないことだ。
すべての曲が違う曲に聴こえる。
どんな曲を聴いても飽きないし、だからこそもっと彼女の引き出しを知りたいとも思えた。
しかもアルバムで聴いてもらうとわかると思うが、曲間が繋がっていて、アルバムが一つの作品になっている。
それがよく分かる「勝訴ストリップ」(MM)というアルバムを最初から順番に聴いてほしい。↓から聴けるようにした。


バラバラな曲たちが一体感して一つの作品になって居たり、曲名もシンメントリーになっていたり、歌詞も統一的な文字数でとても美しい。
今の文化には歌詞カードを見ることは途絶えて来てしまっているのかもしれないけれど、これを機に彼女の歌詞を見て欲しい。
箸休めの曲が言葉遊びしていたり、全曲時間をゾロ目にしたり、彼女の創る作品はストイックで、色んなところに伏線みたいなものが張り巡らされていて、それを一つ一つ知っていく作業がとても楽しかった。

他にも、カバーではあるが「白い小鳩」のようなドスの効いた声で歌ったり、「jazz a go go」「Σ」といったかっこいい曲に仕上げたり、英語で歌えたり、「女の子は誰でも」「熱愛発覚中」「カプチーノ」「プライベート」といったかわいい曲が書けたり、「旬」のMVで艶やかな演出が出来たり、何者にでもなれる椎名林檎に憧れた。

あとは的確な言葉遣いに救われた。
私が救われた歌詞がいくつがある。
それは長くなりそうなのでまたの機会に記す。

椎名林檎と事変とで分けているのは、
個人的にざっくりと、
椎名林檎が暗い時や怒りを感じた時に聴く曲で、
事変が明るい時やテンションを上げたいと思う時に聴く曲だと区別している。

事変はバンドメンバーも作詞作曲に加わっているため、明るい曲調が多かったりする。
でも初期の頃の曲はたまに聴いたりする。
初期とその後でメンバーが入れ替わっていることも関係しているのかもしれない。
暗い時は初期の曲が多いのかもしれない。
あのレトロな感じが好きだ。
ちなみに事変のアルバムは新聞記事のトピック欄で集まっている。
「スポーツ」とか「娯楽(バラエティー)」といった感じで。
そこも面白いところだ。

事変も色鮮やかな曲が多く、聴いていて飽きない。
その魅力も後々記していこうと思う。
今日はこの辺にしておく。
一刻も早く感銘した歌詞たちについて語りたいから。

椎名林檎


東京事変


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