日本の食品をフランスで売りたいと思ったら

1月26日ー30日にかけて、リヨンのシラ国際外食見本市に行って来ました。その時にちょっと感じたことがあったので、「日本の食品をフランスで売りたいと思ったら」した方がいいこと…について私の知見を述べたいと思います。

シェフに対するアピールはB2Bではありません
まずはじめに、普段ちょっと(かなり?)不満に思っていることから書かせて下さい。
パリを中心に、日本から生産者がいらっしゃり、料理人さんや小売店さん、食品関係者、現地日本人コーディネーターや料理アドバイザーをゲストとして、イベントやプロジェクトが多く開催されています。そしてこれを「B2B展示会」と称する主催者がいるのですが、私はこれは間違った名称だと思っています。日本からの商品を購入する直接のお取引先は輸入元です。上記ゲストの方々は、その輸入会社のお取引先、またはそのまた先のお取引先であって、日本の食品会社のお取引先ではありません。上記のような活動は、私にとっては「販売営業活動」ではなくて「マーケティングPR活動」と位置づけるべきものなので、「B2B展示会」というのは間違った呼称で、「PR展示会」が正しいのではと思っています。
実はこれらのイベントでは正真正銘の輸入元もゲストとして招かれているのことが多いのですが(招いていないのにB2Bと名乗る悪質なものもあります)、フランスでは実際輸入元は数える程しかいません。そのためイベントとして盛り上げるためには、PR活動も一緒に兼ねている…と理解した方が正しいかと思います。
日本同様、欧州でも食品について多くの規制があり、その規制をきちんと守っていることに対して責任を持つのが製造元、輸入元です。この輸入元は欧州に設立されていることが条件で、レストランや小売店での販売、食品製造にあたっては、輸入元がはっきりしている食材を使うことが義務付けられています。もちろん、シェフ自身や小売店自身が輸入元になることは可能ですが、一般の輸入業者と同様の所定の輸入手続きが必要です。例えばスーツケースに自分で持って帰って来たものを使って料理をしたり販売をしたりすることは、所定の輸入手続きをしていなければ法律違反になります。
食料品の規制は実に複雑です。また、輸送にかかるコストを抑えるためには、一定量の動きが求められます。よって、例えば私のようなフリーランサーが思いつて始めようとしても、なかなか難しいものがあるのです。実は当方、元々EU規制を調べて報告することが仕事だったので、規制・手続き関係は得意だったこともあり、自ら輸入業をやってみたいと色々調べてチャレンジをしたこともありました。しかしその輸送コストの高さと賞味期限の短さというハードルの高さで、今の所このプロジェクトは一旦スタンバイにしています。
こういった自らの経験も含めて書いていますが、扱い量が少ない会社は立ち上げすぐか、PR会社かのどちらかである可能性が高いので、その点を事前に見極めて協働のあり方を考えることをお勧めします。他方、小売店が直接輸入販売する場合もあります。この場合卸を通す場合との価格の整合性があるように注意を払う必要があります。

B2B商談の売り先とは?
それではこの「輸入元」とは誰なのでしょうか?そもそも売り先を知らなければ商談の機会すら見つかりません。どうやって見つければいいのでしょうか?
まずはインターネットで検索をするとお分りなると思いますが、JETROが良質な報告書を作成しています。こちらに輸入元リストがありますので、参考にされてください。
もしも渡航されるチャンスがありましたら、商品に貼り付けられているラベルを自ら手にとって確認してみて下さい。輸入品であれば、流通先の国の言語で輸入元、製造国、原材料を記載したラベルを添付することが義務になっています。この作業をしていると、実は商品によってはフランスではなくて、ドイツやベルギー、オランダ、スペインなど、他の国が輸入元になっていることに気がつくことがあります。これは根気良く探すしかありません。
ただ、具合的にどういう店舗で自社の製品と似たものが売っているのか?ということは、現地在住者ではないとわかりにくいかもしれません。効率化・より精度を高めるためにサービス業者に事前調査・同行を依頼するといいでしょう。あるいは自ら渡航しないで信頼できるサービス業社に作業を依頼するのも良いかもしれません。

業者のリストができたら、具体的にどう言った商品がいくらで売れていて、どう行った売り場で提供されているのかをチェックしてみて、自社の製品とのポジションを考えてみましょう。通常日本からの輸出食材の末端価格は、2.5−3倍となります。そのような値段をつけた際にどの輸入元の扱う商品群に入れるのがふさわしいのかを検討してみてください。
また逆に、小売店で自社製品のコンセプトが合いそうなところを見つけたら、そちらに卸元はどこかを聞いてみるのも一つの手かと思います。

こうしてピックアップした輸入元にはアポの依頼をします。多くの輸入元は日本へ商品発掘のために来日しますが、自治体、国の事業として招聘されることが多くあります。その機会を利用して御社の訪問をしてもらうのが理想的でしょう。
輸入元にはあくまでも卸売業しか行っていない企業、小売店も併設している企業、個人向けネット販売も行っている企業等があります。また、直接販売しかしていないところ、ディストリビューターを通すところ、客先が和食レストラン中心、フレンチ中心、小売店中心等、色々ありますので、そう言った販路についても確認すると良いでしょう。

事前に済ませて置くこと
まだ輸入元が決まっていない状態でB2B展示会(またはPR展示会)に出展されるのであれば、それが輸入元への営業のチャンスです。展示会出展含め、渡航営業前(もっと言えば出展・渡航決定前に)規制についてだけはきちんと調べておくことを強くお勧めします。
日本と欧州では使って良い添加物やパッケージ素材が異なります。また、水産物の場合にはその複合割合によってHACCPの認証を要求されるもの、お茶であれば残農薬の証明書を求められる等あります。もしかしたらそもそも御社の商品を輸出するのは不可能なのかもしれません。こう言ったことは、最寄りのJETRO事務所に相談をされると、無料で基本的な情報提供をしてくれるはずです。

参考になりましたら幸いです。

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NHP BRiDGES

フランス食市場

フランスへの食品の輸出を考える際に役立つ情報を思いついた時に綴ります。

コメント1件

「EU規制を調べて報告すること」。「今回のEPA協定」でどう変わるかnote読みたいです ♪
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