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【モンスターハンター】獣脚亜目・ドス古龍・廻龍亜目・戟龍亜目同根説【前編】

 この文章は、CAPCOMの展開する「モンスターハンター」シリーズにおけるその世界観の設定について、多少の前提知識を要求する。

モンスターハンター:ワールドとの邂逅

 2018年1月26日、モンスターハンター:ワールド(以下、「MH:W」)が発売された。シリーズ初となるフィールドのシームレス移動、明らかに向上したグラフィック、より繊細でリアルな環境描写、そして何より、まるで現実に存在することを信じてしまいそうなほど生々しく、生命力溢れるモンスター達――発売前からPVやイベントなどで開示される情報や映像、実機デモプレイなどを通して、モンハンファンは落ち着いて眠れない日々を過ごしたであろう。かく言う私もその一人である。

 MH:Wの発売前情報はどれも刺激的で新鮮な要素があったが、今までのモンハンに通じる部分もあり、当時の私はまぎれもない期待を抱いていた。その中でも、一番関心を抱いたのは、PV第一弾をはじめとして様々な媒体で、メインモンスターであるネルギガンテよりも早く、多く露出していたアンジャナフというモンスターである(上に載せたベータテストの画像の左のモンスター。ティラノサウルスを始めとする現実の古生物たる大型肉小恐竜:獣脚類テタヌラ下目に姿形が酷似している)。

PV第一弾

 アンジャナフの背中から翼が生えているではないか!
 正確には腰の部分から、時折翼を広げ、ハンターを襲っている……しかし、どうもこれで飛翔するわけでもなさそうだ。獣竜種と見受けられるが、こんなものは他の獣竜種にはない。一体何なのだろうか……
 私はこのようにして、「アンジャナフの翼問題」について興味を深めていった。

翼を広げて日向ぼっこをするアンジャナフ。
日に三度ほど行うらしい。

蛮顎竜アンジャナフ・翼の機能

 結論から言うと、アンジャナフの翼の機能は現在のところ、体温調節に使われているということでほぼ確定している。

 リンクした動画は、「たきえい」様のMH考察を主に上げているチャンネルで、アンジャナフの翼の機能について動画でまとめているものである。
 私も概ねこの動画内容に同意であり、主に高くなり過ぎた体温を放熱するために翼(の被膜。血管が張り巡らされていると予想され、実際に肉質は柔らかい)は用いられていると考えられる。
 アンジャナフは火炎を扱うこと、そして体格が大きいこと、生息地(古代樹の森、大蟻塚の荒地)が軒並み温暖であることから、普通に生活していく上で体温が低すぎてしまう状態になることは考えにくい。
 戦闘時において翼を広げるのも、怒り状態になって炎熱を武器として扱い始めてから暫くしてである。大きな火炎を放つ大技や頭部の怯みによって、この炎熱を纏う状態は解除され、翼は再び格納される。
 また、遭遇時の威嚇咆哮でも一瞬翼を広げることから、副次的に体を大きく見せるのに利用されているようだが、雌雄による差異は見受けられず、生殖におけるディスプレイとは考え難い。そしもちろん、飛翔は出来ない。
 しかし、それだけでは疑問に残る部分もある。それは、上掲の画像のように、なぜ戦闘も起きていない平時にまで翼を広げて日向ぼっこをするのか、である。

日光浴の目的

 これは完全な私論かつ仮説だが、この翼を広げる日向ぼっこは、衛生維持なのではないか。
 勿論、上述の体格(基本的に体積の大きいものほど体積に対する表面積は少なく、熱が逃げにくい)や生態、環境といった理由だけで「体を温めるため」という仮説が全否定されるわけではない。アンジャナフが現実の獣脚類のように爬虫類的な生体機構を持っているならば変温動物である可能性もあるため、少なくとも活動を始める朝の時間帯などは体温が低い場合もあるだろう。しかし、恐竜は恒温動物であるという説もある。アンジャナフにも同様の仮説が成り立つであろう。そして何より、炎熱を扱うはずのアンジャナフが、自分に必要な体温程度も創出できないとは、考えにくいのだ。
 どちらにしても、巨体を持ったアンジャナフには、汗をかく可能性が浮上する。全身とは言わずとも、翼膜の部分だけに汗腺を発達させればいい。しかし、恐竜が汗をかくのかと言えば、その可能性は低いだろう。近い種類で考えると、鳥類が挙がる(現生の鳥類は、今のトカゲなどの爬虫類よりも恐竜に近く、獣脚類が祖先と言われている)が、彼らは汗をかかない。口を開けて呼吸をしたり、気嚢を用いて放熱しているらしい。アンジャナフは飛ぶ必要はないため、気嚢をわざわざ発達させて体を軽量化する必要性は薄いが、可能性がないわけでもない。
 では、仮に汗をかくとして、なにが衛生とつながるかというと、それは翼格納時の発汗に関連する。翼の周囲は羽毛で覆われており、翼膜に比べて汗が蒸発しにくい。当然、蒸れるであろう。日中定期的に翼を広げるのは、このときに蒸れた翼部を日光に曝露することで、高い湿度による菌類の発生や湿疹などを予防するためではあるまいか。引き続き検証を重ねたい(といっても、これ以上の情報を得るのは難しそうだが)。

そもそも、なぜ翼は存在する?

 今までの議論で、アンジャナフにとって翼は、大まかに言えば体温の放熱を行う器官として働いていることがわかった。
 しかし、そもそもなぜこのような形状の器官が発達しているのか、それについては何も解明されていない。今まで話してきたのはあくまで翼の機能についてであって、翼それ自体の発生原因・由来については、私が知る限り他のどこにも考察や研究は記されていない。前置きが長くなったが、ここからが本論の主題である。
 思いのほか長くなってしまったので、続きは後半に任せるとしよう。出来次第投稿するので、そのときはまた読んでいただければ幸いである。

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