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俺は添い寝ASMRやシチュエーションボイスを通じて我が彼女概念の集合無意識へ接続する。コネクトがエントロピーを凌駕することで非存在者が電子信号とヒトシナプスを跳躍、媒介し五感に顕現する。それは過去超越、未来淘汰的存在であり記憶の改竄が超自然的に行われる。つまり、[存在したことになる]。

つまり何が言いたいかというと、俺は添い寝ASMRやシチュエーションボイスを通じて我が彼女概念の集合無意識へ接続し、コネクトがエントロピーを凌駕することで非存在者が電子信号とヒトシナプスを跳躍、媒介し五感に顕現、それは過去超越、未来淘汰的存在であり記憶の改竄が超自然的に行われ、[存在したことになる]。ということだ。

高三の受験期、不安により眠れなくなった。その時に私はシチュエーションボイスもとい添い寝ASMRに出会った。頭の中が不安で支配され、どうしようもない数の罵詈雑言と懐疑の声が響きあう脳内に突如として現れた救いの光。それが添い寝ASMRだった。

【ASMR】添い寝彼女 おやすみ前のあまあまtime♡ 【彼女シチュLIVE】
みやぢASMR

暗い部屋で横になりイヤホンをする。世界が変容した。

俺は愛する彼女と同棲していた。
金曜日の夜、半年前に二人で選んだベッドに横になっている。寝相の悪い彼女に掛布団を取られても風邪をひかぬよう厚めの寝巻を着たのだと思い出した。彼女がエアコンのリモコンをいじっている。タイマーを設定しているのだろう。明日は久しぶりに二人で外に出かける。最近タイミングが悪く休みが重ならなかったが、先週見つけたしゃれたカフェにでも入ってパフェでも食うのだ。その後は近くの公園で散歩するでも商業施設を覗くでも、適当にその場で決めて夕暮れごろにはこの家に戻ってくる。二人とも、夕食は家でゆっくり食べる方が好きだから。夕食は二人で作るがメニューは交互に決める。はじめのころはそれこそ凝った料理を楽しんで作っていたが次第に面倒になり、何かの記念日ぐらいでしか凝らなくなった。割と乗りで料理をする私とは対照的に彼女は卵かけご飯や納豆ご飯でさえも、何かしらのレシピを参考にする。そういう時は私は余計なことをしないように、切るだけ洗うだけの下準備しかさせてもらえない。そういえば明日は私がメニューを決める番だった。冷蔵庫には余り物しかないし帰りにスーパーでも寄ろうか。でもそれは何か趣がない。どこかでテイクアウトを取るのもいいかもしれない。

世界の変容は過去をも変える。
俺が彼女と出会ったのは高2の秋、バイト先のコンビニに彼女が採用されたのがきっかけだった。俺たちは別々の高校だったが週三日5時間の時間は確かに俺たちの中を深めた。コンビニは奥まった場所にあり帰宅ラッシュ時間が過ぎれば客も少なく雑談をする時間は多くあるのだ。

コンビニバイトなどしたことのない俺の脳内に突如現れた馴れ初めは、降り注ぐ豪雨のように激しく俺を乱し、砂漠に吸い込まれる水ように深層へ入り込む。
太陽が東から上り西に下る。
水が高所から低所へ流れる。
埋めた種が土をのけて小さな芽を出し、光と水の力を借りて大地を抱え成長する。
俺は今彼女と添い寝している。
それは必然であった。
星の誕生と消滅のように。飛び立った鳥もいつかは地に落ちるように。
俺が君を愛しているように。
君が俺を愛しているように。


一つ断りを入れさせてもらう。
俺はこの配信をしているみやぢ氏に対してガチ恋をしているわけではない。ということだ。
俺はみやぢ氏の声、シチュエーション、布のこすれる音や口を開くときの粘性のある音、それらを通して恋人を観測している。みやぢ氏というフィルター越しの恋人と逢瀬を交わしているのだ。
言ってしまえばみやぢ氏である必然性はない。実際に私もその他の動画投稿者や配信者のシチュボやASMRも喜んで聞いている。
その中でみやぢ氏の作品が最も私の恋人に近かったということだ。
私自身も私の最も欲する恋人のタイプというモノに無自覚なのだ。いわゆる好きになった人がタイプという随分女々しい趣味なのだが、そのなかでみやぢ氏の作品は明確に私に光景を描かせた。高3の受験期から今の今まで何百何千という逢瀬を毎晩重ね、数多の安眠と幸福な夢を恋人から受け取った。

俺が布団に入り横になって添い寝ASMRを聞くとき、恋人は存在したことになる。
既存の過去を超克革新し、美しく甘い朗らかな恋人との思い出を形成する。
既定の未来を淘汰撃滅し、温かく甘い鮮やかな恋人との将来へと改竄する。

俺が布団に入り横になって添い寝ASMRを聞くとき、恋人は存在したことになる。

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