見出し画像

12号車沈んでた?

 涼しくなってきた。毎年、体感先行で秋が始まったことを知り、気付いた時には冬になっており、どうしてもおろそかになる秋も、今年は引越しというイベントを挟ませてもろてるのでしっかり実感している。半袖でも寒くないし、汗はかかない。引越しの秋。この時期に引越しを選んでいることを誰かに褒められてもいいしみんながこぞって真似していいと思う。
 かと言って芸人的には、人生変わる大大会の真っ最中であり、家も頭脳も疲弊してぐらつく恐れのある引越しをこの時期に持ってきたのはマイナスポイント。罰として腕に抱えている松茸、毬栗、柿没収。ナス、オクラ、トマトからやり直し。

 今ちょうど新幹線で上京中である。行楽日和でもあるこの時期は、新幹線の中で修学旅行生が1秒も無駄にはしない思い出作りに勤しんでいる。その、「1秒も無駄にはしなかった」ということ自体も思い出になるんだから学生はイカつい。余白は不要。余白は大人になってから。

 私が乗っている車両も行楽だらけ。1列目からA行楽B行楽C行楽D行楽E行楽。2列目A行楽B行楽C行楽D仕事E行楽。仕事なのに行楽にコンセントが取られている。行楽優先車両である。行楽も充電が必要。
 ちなみにわたしの列は5列目A行楽B行楽C行楽D行楽E上京。まいど、この車両のマイノリティです。帰りの切符を買う必要のないのはこの車両で私だけで、その分の切手の重さ分軽いのだと思いきや、それに比にならないほどの「成功しなければ」という責任感が重さを増している。12号車沈んでないですか?と問い合わせる。その沈みは若者の夢のせいなのでJRは応援する所存でございます。と返答をもらう。ありがとうございます。

 今、上京を選択してスタートラインに立っただけである。ここから成功するかどうかは全て私次第である。むごい話である。何%は他人が責任持ってくれていたらいいのに。でもここからは本当に自分達の価値や力量がそのままお仕事に繋がっていく。自分というものに価値があるなんて思ったことのない人生だから、不安が勝ち帰りの切符を買っちゃおうかななんて思ってしまうこともあるかもしれない。

 しかし上京を選択したのは私である。大阪で売れたかったけど、いっぱい悩んでこれでいいんだと決めた結果だ。上京を選択したときの私を裏切らないようにしたい。泣いてしまう。

 大阪で私がやってることが間違いじゃないかと悩む日があった。悩み過ぎたり、逆にへらへらしたりと忙しかった。でも絶対間違いじゃなかったということは、上京を発表して今日までで、た〜くさんのお客さんから教えてもらった。ライブの感想をたくさんいただいて、応援してくださる方が増えていって、私は間違ってなかった、頑張っていたんだと実感することができた。

 不安なことも多いけど、10月もライブが大阪時代と変わらないくらい入った。11月もまだ埋まりまくってはないが、新しい試みのライブや、初めていくところに行く。東京には、「飲みに行こうな」と言ってくれる先輩がいて、飯連れてってくださいと後輩がいて、仕事を振ってくれる作家さんがいて、うちらの上京を待ちくたびれた山田がいる。大阪にも先輩後輩同期スタッフさんとわんさかいる。周りに恵まれる環境で本当に良かった。みんなどうやら力持ちだそうで、おんぶに抱っこでたくさんお願いしようと思っている。

 東京に着いた。最寄りの銭湯の位置は把握済み。サウナも水風呂も外気浴もあるらしい。勝ちやんけ。この調子でいきたい。

にぼしいわしです。いつもありがとうございます。みなさまのサポートが我々にライブを作らせ、東京大阪間を移動させます。私たちは幸せ者です。