今までの人生で演歌を歌うほど
苦しかったことってあったかなと
記憶を遡ってみたけど
幸いそれほど辛い目にも遭ってないし
喉元過ぎれば熱さを忘れるタイプなんで
大概のことはネタにして笑って生きてる

だとしたらワタシの抑揚のない人生で
演歌バッグを買うことなんてないかもな
ありがたいことだなとしみじみする
苦労は買ってでもしろとか言う人もいるけど
しないでいい苦労ならしないほうがいい

あと子育てなんかで
「痛い目を見ればわかるよ」
というのもよく聞くけど
忘れものや遅刻ごときで後悔する子は
もともと繊細で真面目な性格なんだと思う
子どもって意外といいかげんで逞しい

ならばワタシのバッグは自己紹介だと思う
とにかく身軽なことが最優先
両手はぜひとも空けたい
近所の買いものくらいなら手ぶら
ポケットのある服しか勝たん
荷物はできれば少なくしたい

ずっとショルダーバッグにもなる
ナイロンのミニトートを使ってた
でもナイロンだと気楽でいいけど
ちょっと都会とか素敵なランチとか
美術館なんかに行くには気が引ける
なんて言うのかな？場違い感？
なんかご近所感出してすみませんってなる

それでちょっと可愛い手提げとか
ぺったんこになるバッグとか買ってみたけど
なんでも入る大きめのバッグは
中身がぐちゃぐちゃになるか
入れるものがなくてスカスカになるかで
けっきょく電車の中でも
おばちゃん持ちになりがちで嫌になった
アレね
ハンドバッグとかお買いもの籠とかの持ち方
コントのおばちゃんみたいになるやつ
マダムになるならまだしも
井戸端会議おばちゃんみたいになっちゃうから

そんな失敗も経験した上で
びっくりするほど軽いレザーバッグ
バッグ自体が重いとかありえない
サイズも重さもチェックするタイプ

ギリギリペットボトルが横向きに入る
日傘は入らないからサブバッグ必須
サブバッグも軽いほうがいい
大きすぎず小さすぎず
ワタシが一番好きなサイズ

最初はペットボトルが縦に入れられる
縦型のクロスボディバッグにしようと思ってた
だけど縦型のバッグを掛けてる自分の姿が
どうしても思い浮かばなかった

この舟型のクロスボディバッグを見つけて
こっちのほうがしっくりくると気づいた

柔らかい素材
シンプルすぎるほどの軽さ
ほどよい艶
外側にステッチがないところ
カッチリしすぎないフォルム
杜撰なくらいフラップもファスナーもない
すぐに中身が見えるおおらかさ

これがワタシだとしたら
散歩も買い出しもドライブも美術館も
いつもと変わらないスタンスで
どこにでも気負わず行けたらと思う

この子のテーマは

どこにでも連れてゆけるバッグ

今年は自分をいろんなところに連れてゆきたい
おみくじにはことごとく
「旅行…利なし。控えよ。」
とか書いてあったけど知るか

子どもは逞しいと言ったけど
自分だってなかなか逞しいなと思ってる
嫌なことだってなかったわけじゃない
ただそのときをやり過ごすことしかできなくて
やり過ごした結果
笑い話になっただけ
おかげさまで子どもたちもワタシも
すっかり逞しくなった

その時々で今が楽しければ勝ちだと思ってる