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ChatGPTに喧嘩の仲裁はできるのか?【ヒーローズリーグ「喧嘩裁判長」の振り返り】

先日のヒーローズリーグでChatGPTによって喧嘩の仲裁や判定をしてくれる「喧嘩裁判長」というLINEBotを作成しました。
機能としては(AとBがペアとすると)、
▶︎Aが訴えると、Bに「何かあった?」と通知がいく(訴えの内容は初めは伝えない)
▶︎Bは「(心当たりがあるため)謝る」「あった(言い分あり)」「思い当たらない」の3択で選択する
▶︎Bが謝る場合は、Aを逆上させないオススメの謝り方を提示
▶︎Bに言い分がある場合は、双方の言い分を聞いた上でどちらが正しいかをジャッジ
▶︎Bが思い当たらない場合はAの訴えをオブラートに包んでお伝え(その先は上記の3択)

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なぜChatGPTに喧嘩の仲裁?

そもそもこれを作った契機からお話します。
私が携わっているチームで今開発中のプロダクトで、「育児サポートLINEBotキクゾー」というものがあります。AIチャットを用いて、育児中の方の孤立を防ぎ、必要な情報を届けるというものです。

これを都知事杯オープンデータハッカソンというイベントでプレゼンした際に質疑応答で、

「お父さん、お母さんが両方登録してお互いがこのLINEBotに思っていることを伝えたら喧嘩の仲裁してくれるとかいいんじゃない?」

というご意見をいただきました。
これは確かにあったらおもしろい機能だなと思い、早速実装することにしました。また運のいいことに、その時ちょうど「ChatGPTオンラインハッカソン」が絶賛開催中でした。

一番慣れた形である、GoogleAppsScript✖️スプレッドシート✖️LINEで作るイメージはできていましたが、重要なのは"きちんと仲裁してくれるのかどうか"というところ。実装にかける時間の中で、プロンプトを練る時間が一番割合として多く占めるであろうという予想でした。
ところがどっこい。ChatGPTはめちゃめちゃ優秀であり、大して工夫をせずとも、

あなたはplayer1さんとplayer2さんの友人です。
player1さんは〇〇、player2さんは△△と訴えています。
どちらが悪いか判定してください。なるべくどちらが悪いか判定しますが、どうしても判定できない場合は解決策を促し、その後においしいものを一緒に食べるよう提案してください。おいしいものは具体的にお願いします。
文字数:300字以内';

この程度の指示で十分な回答をしてくれることが判明しました。

まともな回答が返ってくるとしてAIに相談するか?

実装が終了したところで改めて疑問が出てきました。AIと分かっている相手にみんな相談するのでしょうか?
その前に、この役割を人間に担わせる場合を考えてみます。
この役割を全うするには、
・2人に対して中立的な立場にいる
・2人が納得するまともな回答ができる
・どんな時間帯でも長時間でも対応できる
などの条件が必要になってきます。
これ全て満たせる人間がいるでしょうか?私夫婦の間にはいません。いる方もいらっしゃるかもしれませんが稀有ではないでしょうか。
さらにもう1つ。相談相手が人間だった場合、喧嘩内容によっては「夫婦の恥をさらす」ことにもなりかねません。なんとなく気も使います。
そういったことを一切考えなくてもいいのがAIチャットではないかと考えています。

また、上記のプロンプトに書いているように、喧嘩の仲裁の際に"一緒に何か食べることの提案"をするように指示しています。このようなちょっと空気の読めなさの部分も、これを人間が言うのかAIが言うのかで受け手の印象が変わってくるように思います(対人間だとちょっといらっとする)。

もう1つ相談する醍醐味として、”言葉で伝えることで気持ちが整理され、冷静に物事を考えられる”という面があると思います。対AIだったとしても、LINEに「こんなことがあって、こう考えている」と打ち込んでいる間にその効果はあるんじゃないかと期待しています。
じゃそもそも直接相手に伝えればいいんじゃないか?
・・・それができたらいいんですけどね、できないけど何か伝えたい。
そこを叶えるプロダクトであれと願っております。

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