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ゆったりまわる仙台散策

転勤族だった私は、東京、横浜、博多、札幌、仙台で生活しました。
なかでも仙台はお気に入りの街です。

東北随一の大都市ながら自然が豊かで、通りには青葉が茂り、街なかから少し歩くと鮎が泳ぐ川が流れています。

奈良時代から和歌に詠まれ、みやこびとも憧れた「宮城野」のイメージがいまでも残っているように思えます。

秋の季語、宮城野の萩。「秋はなほ 夕まぐれこそ ただならね 萩の上風 萩の下露」藤原義孝。

仙台は、とても住みやすい街です。
は湿気の抜けた涼しい風が通り、は根雪にならないので雪に悩まされることはありません。
新緑の・紅葉のは、街全体がとても美しくなります。

コメの一大産地でありながら、近港の海産物も豊富で、季節ごとにさまざまな「酒と肴」を味わえます。

今回は、仙台の魅力を一日かけて味わえる散歩コースを考えてみました。


【ずんだシェイクを片手に】

東京~仙台間は、新幹線「はやぶさ」で1時間半です。
まずは新幹線改札付近にある「ずんだ茶寮」で「ずんだシェイク」を。

つぶ感があるえだ豆のシェイク。甘さが残らないキレがあるサッパリしたのど越し。ずんだ茶寮は銘菓「萩の月」を製造する菓匠三全が展開しているお店です。「ハイキュー!!」は仙台が舞台ですね。


【名所、ペデストリアンデッキ】

仙台駅を特徴づける網の目状の高架をペデストリアンデッキと呼びます。
この難しい言葉を仙台市民は日常用語として使っています。

作家の司馬遼太郎は「仙台の名所ともいうべき歩行者回廊」と述べている。戦後の復興計画では狭い駅前を拡張させるため、駅を160m後退させようとしたが、頓挫。苦肉の策としてこの名所ができた。


【高層ビルからの展望】

ペデストリアンデッキを北に歩き、高層ビル「アエル」に。
ずんだシェイクを味わいつつ、屋上から仙台の街を堪能します。

360度の展望。北は蔵王連山、東には松島が見えます。写真は南側で七ッ森という低山帯が見えます。


【活気あるアーケード】

アーケードから街なかに入ります。
仙台はアーケードが元気で、とても賑わっています。

仙台七夕祭りではアーケード内に「七夕飾り」がぶら下がることになります。
この写真は2021年3月11日の14時46分です。サイレンが鳴ると、行き交う人が一斉に立ち止まって黙祷をしていました。


【お昼は軽めに蕎麦】

早めの昼食は仙台三越前にある「全国新そばの会」の名店「おそば さん竹」で。

冬限定メニューの「すだちそば」。ほのかな酸味が麺にからむ独特の味わい。からだが暖まるつゆはすべて飲み干してしまいます。


【定禅寺通り】

並木通りの美しい定禅寺通りを西(写真奥)に向かいます。

「ジョジョ立ち」する銅像がある定禅寺通りの遊歩道。ジャズの演奏会などさまざまなイベントが開催されます。


【唄われる広瀬川】

坂を下ると目の前に広瀬川が現れます。
鮎を釣る釣り人の姿は夏の風物詩です。

1978年にヒットした歌謡曲「青葉城恋唄」の情景が浮かぶ風景です。

広瀬川流れる岸辺 想い出は帰らず
早瀬踊る光に 揺れていた君の瞳
ときはめぐり また夏が来て
あの日と同じ 流れの岸
瀬音ゆかしき 杜の都 あの人はもういない

「青葉城恋唄」星間船一、佐藤宗幸


【青葉城址】

橋を渡って、坂を登ると青葉城址に着きます。

仙台藩六十二万石の城。 

作家の司馬遼太郎が仙台藩について語っています。

この大藩の経済活動は単純すぎ、徹底的に米に立脚しつづけたのである。
仙台平野という肥沃な穀倉地帯のおかげで、腹は十分養えるのである。しかも政宗以来、営々と新田を開拓しつづけ、実高は百万石をこえるといわれた。さらに江戸に近いという有利さがあり、仙台藩は余剰米を江戸送りして売った。江戸送りの米は、江戸中期には三十万石前後になった。巨大な米穀商ともいうべき藩だった。
(中略)「江戸三分の二は奥州米(注・仙台米)の由なり」とあり、仙台藩の豪儀さをしのぶことができる。

司馬遼太郎「街道をゆく」嵯峨散歩、仙台・石巻
伊達政宗が自分が築いた街を見おろしています。マサムネキャラは「ねこまさむね」のほか、おにぎりや地下鉄車両の正面顔など多岐にわたる。わたし的にはガンダム前の初期富野作品「ザンボット3」に見えます…。


【カフェと文学】

川沿いの珈琲店でひと休み。

「珈琲まめ坊」の窓からは広瀬川が見下ろせます。この日の午後は、竹林の新緑によって店内が緑色に染まっていました。

仙台を舞台にした青春小説を読みながらゆったり過ごします。

教室の窓際の一番後ろの席で屈辱感に耐えながら、そっと、「loose」という単語を辞書で引いてみた。すると、「しまりのない」「だらしのない」「道徳感のない」「不身持な」「ずさんな」…などといった否定的な意味ばかりの羅列の中に、意外にも、「自由な」とか「解き放たれた」というような意味も混じっていることにぼくは気付いた。

佐伯一麦「ア・ルース・ボーイ」


【美術館でこけし】

カメイ㈱は仙台に本社を置く年商5500億円超の総合商社です。
カメイ美術館には三代目社長だったの亀井昭伍氏が収集した絵画やこけしが展示されています。
東北独特の文化を味わうことができます。
左上のモノクロくんと、左下のマスクちゃんが気になります。

宮城県内だけでも「鳴子系」「作並系」「弥治郎系」「遠刈田系」「仙台系」「秋保系」など豊かな個性がある。尚、牛タンの原料肉のかなりはカメイが扱っているそうです。


【おすすめの夕食】

おすすめを下記します。
・肉とワインを味わうカジュアルフレンチ
    アンブロジア
・火入れの技の本格フレンチ
     ナクレ
・地場食材の居酒屋、冬のセリ鍋は抜群
    北の一
・本格日本料理
     日本料理e.(イーピリオド)

地元の食材を使った絵になるナクレの一品。
仙台名物になりつつある「セリ鍋」。根っ子が旨いのです。


【光のページェント】

食後は前述の定禅寺通りへ。
いま時期は光のページェントが開催されています。

定禅寺通りの並木が数百mにわたり電飾されます。


以上、一日でゆったりまわれる散策コースでした。

少し足をのばせば、景勝地の松島、松尾芭蕉が訪れた山寺、秋保や作並の温泉地、なども楽しめます。

私はリタイアしても地元の関東には帰らずに仙台に住み続けています。
終の棲家をどこにするか考えている最中ですが、この街の都会と自然のバランスや気張らずにゆったり過ごせる雰囲気は稀有な魅力だと感じています。

みなさんに「仙台に行ってみたい」という気持ちになってもらえると嬉しいです。

それではまた・・。

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