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沖縄戦を歩く

一週間ほど沖縄に行ってました。

アーリーリタイア生活で培った自炊能力と健脚を活かし、ウイークリー・マンションで自炊生活をしつつ、基本的に観光客がいかない場所へ毎日10kmくらい歩いてきました。

沖縄には何度かリゾート気分の観光旅行で訪れましたが、旅行の間はずっと沖縄戦のことが気がかりでした。
素通りしてきた沖縄戦について、一度自分の足で歩いてみたい、じっくり考えてみたいと思っていました。

観光旅行の参考にはならないと思われますが、お付き合い頂けたら幸いです。


【沖縄戦を歩く】

今回は米軍の進軍ルートに沿って「嘉数高地」→「前田高地」→「シュガーローフ」→「首里」を歩きました。


【沖縄戦の概要】

大東亜戦争において硫黄島とともにただ二つの国土戦となった沖縄作戦は、昭和二十年四月一日から六月二十六日の間、牛島満陸軍中将麾下の第三十二軍将兵約八万六千四百名と、バックナー陸軍中将麾下の米軍第十軍将兵約二十三万八千七百名とが沖縄の地において激突し、戦死者は日本軍約六万五千名、日本側住民約十万名、米軍一万二千二百八十一名に達する阿修羅の様相を呈した。

「失敗の本質」戸部良一ほか

それほど広くもない「20km×15km」の沖縄南部エリアで18万人のほとんどが亡くなり、しかも56.5%が住民だったという事実に愕然とします。

【嘉数高地】

無血上陸した米軍はこの道を南下。嘉数高地(中央の丘陵)に防衛ラインを敷いた日本軍の主力と初めて激突した。
米軍は歩兵を伴わず戦車30両で接近。日本軍の激しい砲撃と歩兵の自爆肉薄攻撃により22両が破壊された。
山の背面にある日本軍の「反斜面陣地」壕。米軍の正面からの猛撃を避けることができた。米軍が近接するとここから飛び出して戦った。その後日本軍は撤退した。

【前田高地】

嘉数高地の山頂から後方の前田高地を望む。嘉数の数倍規模の丘陵帯だ。前田高地を米軍はHacksaw Ridge(金属切り用ノコギリの形状をした尾根)と呼んだ。左空中に漂う小さな点は前日に飛行を再開したオスプレイで、私の上空を抜けて普天間飛行場に降りていった。
うららかな陽気のなか、住宅地を歩く。前田高地までは2kmの道のり。
高地に近づくと垂直の崖につきあたる。米軍の苦戦ぶりが想像できる。
急峻な崖下から90mの高さがある前田高地の山頂。奥には米軍が上陸した読谷・嘉手納の海岸線が見える。
この崖は衛生兵が主人公のアメリカ映画「ハクソー・リッジ」の舞台になった。劇中に登場した垂直の崖を見たときは、演出上の誇張だと思っていたが、そうではなかった。

【シュガーローフ】

前田高地から5km後方の新都心エリアに「慶良間チージ」= シュガーローフはある。となりには高層のツインマンションが立っている。
園内にあった碑文。園内の隅にキャンプ椅子で読書をしているホームレス氏がいた。まわりには小鉢に植えた花がたくさんあり、彼が手入れしている様子だった。声をかけ、首里城の場所を教えてもらう。「あそこの丘に切り妻の形の屋根が見えるでしょ。火災で燃えたから、あの屋根の中で修復中です」。説明に「切り妻」というワードを使うあたりにインテリジェンスを感じます。

【首里】

首里城は日本陸軍の最大の拠点。城の地下に第32軍の司令部があった。大規模な攻撃により首里城の貴重な歴史的遺構はすべて灰塵となってしまった。
首里城は米軍上陸が想定された東西両方の海岸線など、360度を見渡せる小高い丘に位置していた。岩盤も固かったので、ここに地下陣地が作られたらしい。写真中央奥の高層ツインマンションの下にシュガーローフがある。
首里城の第一正門「歓会門」は
外国人観光客でいっぱいだった。
そこから10mほど坂を降りた場所に第32軍の司令部の壕入口がある。ここは閑散としている。
司令部壕は首里城の真下を横断していた。歓会門の真下には参謀室があった。
壕の入り口。米軍が間近に迫るなか、第32軍司令部は「玉砕」ではなく南部への撤退を選択した。しかし、もはや組織的な戦いはできない状態で、多くの住民を巻き込むことにつながった。

【歩いてみて】

今までの観光旅行とはまったく違った体験ができたと思います。
自分の足で歩いてみて、「激戦地の地形や大きさ」「その場所の戦略的な意味合い」「各拠点との距離感」をよく理解できました。

私が歩いた公園や住宅地は、どこも破壊されたり、人が亡くなったりした、大変な犠牲の跡地なんだと言うこともよくわかりました。

【ドライブへ】

その後、解放的な気持ちになりたかったので、天気のよい日にドライブに出かけた。海辺にそびえる勝連城跡。
3月の沖縄の気温は20℃くらい。海風が心地よく、ここで1時間くらいボーッとして気持ちを整えた。
穏やかで美しい海。親子の姿。


次回は「沖縄ウイークリー・マンション生活編」です。
では…。




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