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日本でここだけ!現存する唯一の関所、新居関所とは

移動の自由に制約があった江戸時代において、通行人を取り調べたのが関所だ。
最も関所自体は時代劇などでも目にすることが多いので、大抵の人はその存在くらい知っているだろう。
箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」の歌で有名な箱根の関所などはその最たるものだが、その箱根の関所は現存しない。
建造物としての関所は、箱根に限らずその殆どが現存していないのだ。
ただ一つ、新居関所のみを除いては。

そんな貴重な現存する関所を観るために敢行した日帰り旅行の記録であり、今回もショッピングセンターマニアに同行してもらっている。
ただし、今回は時間の都合もあってショッピングセンターは1箇所に留めており、訪問したのは豊橋市にあるアピタ向山店だ。
ここのアピタは旧来のトリコロールカラーの外装が残る貴重な一軒だそうで、到着するやいなやマニアの彼は興奮した面持ちだった。

地元のアピタも昔はこんな色をしていたな…

せっかくなのでリンクを貼っておこう。



二川宿本陣

東海道の宿場町の一つである二川宿には、現在もその本陣として使用された建物が現存している。
正確には現存していた建物を解体して修復したものではあるが、いずれにせよ現存している貴重な本陣であることには変わりない。

梅の咲く時期だった
関札(宿泊者を示す立札)

この時期はちょうど雛祭りの時期で、例年立派な雛人形が大量に展示されるのが恒例行事だそうだ。
しかし、その反面本来の建造物としての本陣を十全に堪能することが出来ないので、建物を目当てにして訪れる場合は注意が必要だ。
一度来訪したことがあるとはいえ、やはり建物の部分が見えにくいのは残念だった。
小さい子供連れ、家族連れに取っては雛人形だらけの方が良いだろう。

「この部屋に入らないでください」という口上は、冗談ではありません。
上段だけに…
遠目から見ると一瞬本物かと見紛う人形
正面玄関

勢川 大岩店

麺類を中心とした東三河のローカルチェーン店の勢川で、ご当地グルメである豊橋カレーうどんをいただいた。
この豊橋カレーうどんの特徴は、なんといっても底にとろろご飯があるという不思議な構造にある
なぜこのような構造にしたのか知らないが、最後はとろろご飯カレーという未だかつて食べた事がないものを食べていた。
意外とイケる。

ごちそうさまでした

道の駅潮見坂

国道1号潮見バイパスの沿線にある道の駅で、東海地方でも随一の眺望の良さを誇っていると言っても過言ではない。
遠州灘を望むその立地の良さから多くの観光客で賑わっており、足湯などもある。

潮見バイパス

新居関所

ついに本日一番の目的地、新居関所へやってきた。
新居関所は正式には今切関所といい、今切いまぎれとは浜名湖と遠州灘をつなぐ浜名湖の切れ目のことを言う。
現在こそ国道1号浜名バイパスの浜名大橋により接続されているが、当然ながら江戸時代に架橋などされているわけがない
ここは江戸時代は今切の渡しと呼ばれる渡し船により通行しており、この船着場に新居関所(今切関所)はあったのだ。

手前は船着場で、水底に埋まる棒は波除けのための棒である。
現代で言えば河川の護岸に配置される消波ブロックと同様の役割を果たしているものだ。
この多数の棒は波の影響による護岸の侵食を抑制する目的で埋められていたもので、この他に有名なものとしては隅田川にかつて存在した百本杭が挙げられよう。
なお、江戸時代には水死体などが頻繁に百本杭に引っかかっていたそうである。

捕具
出張中という表現が面白い
またしても…
門は復元

女改之長屋(復元)

女性の身体検査は男性がやるのではなく、改婆あらためばばと呼ばれる女性が担当していた。
人権などという考え方がない時代でも、女性は女性として尊重されていたとも言えるだろうか。
女性へのセクハラで言えば関所などよりも川越人足などの方が酷かったらしく、川を越す際にわざと揺らしたり濡らしたりしていたらしい。
いつの世も、男は男だということだ。

建物は復元されたものだ

高札場(復元)

法令、触書、その他幕府からの連絡事項などが掲示された木札を高札といい、これがある場所を高札場こうさつばと呼ぶ。


Galaxy!

旅籠紀伊国屋資料館

新居といえば関所が有名であるが、ここはそもそも新居宿という東海道の宿場町だ。
当然、ここにも宿泊施設が多数あったが、現存する貴重な一軒がこの紀伊国屋だ。
江戸時代からの建物が現存しており、これもまた一見の価値がある。
なお、旅館業としては昭和まで営業していたそうで、存外息が長かったようだ。

ここにも雛人形が…

水琴窟

水琴窟すいきんくつの説明は下の写真のとおりなので省略するが、これの音色がとても良い。
非常に心地よい音が聴こえてくるのだ。
江戸時代版ASMRのようなものだと言っても差し支えないだろう。


飯盛女

飯盛女めしもりおんなの語感から、飲食店の女性従業員のようなものを連想する人もいるかもしれない。
写真にある説明書きには「旅人の接待を行う」などとぼかした書き方がされているのは、おそらく意図的なものだろう。
ここまで書けば既に分かると思うが、飯盛女とは売春婦(遊女)の事である

接待というのは、取りも直さず性的サービスという意味の接待に他ならない。
旅籠屋の経営維持や宿財政の助成のために飯盛女を抱えたいと申し出たという趣旨の記載がされているが、つまりは性風俗で経営を立て直したいという意味だったのである。

お子様への配慮かな?

江戸時代の固い木製枕で寝ることが出来たので、横になってみた。
やはり固いが、思ったよりは気にならなかったような気がする。
ここでしばらく横になって体力を回復させていたのだが、私たちはあの時まさにこの場所を旅籠として利用していたとも言えよう。

少し眠くなってしまった

弁天島海浜公園

浜名大橋をバックに鳥居が映えるこの場所が弁天島で、夏には海水浴客で賑わう他、遊覧船なども出ているようである。
しかし、この日は生憎冬(2月)で船も運行しておらず、観光客はまばらであった。

ゆるキャンの聖地でもあるらしい
浜名大橋
そう、ここはガブリールドロップアウトの聖地なのだ

舘山寺温泉

旅の終わりということで、温泉にやってきた。
舘山寺は浜名湖パルパルやかんざんじロープウェイなどがある観光地であり、温泉地でもある。

舘山寺温泉ではサゴーロイヤルホテルというホテルの日帰り入浴を利用したのだが、ここの露天風呂は何とホテルの屋上にあるのだ。
浜名湖を一望できる素晴らしい場所なのだが、高所かつ湖の横ということで強風が吹き荒んでおり非常に寒いので、冬に利用する場合は相応の寒さを覚悟する必要がある

なお、屋上露天風呂は男女入替制で昼間は男性しか利用できず、女性の利用時間は就寝前と起床後の時間帯に限られる。
つまり、女性が屋上露天風呂を利用したい場合は宿泊しなければ利用できないので、予め注意が必要だ。


帰りは浜松名物、浜松餃子を食べて帰宅した。
浜松餃子の特徴はキャベツが中心のさっぱりした味わいで、ちょっと多めに食べてもあまり脂っこく感じないのだ。

ごちそうさまでした

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