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Lil かんさいの『Lil miracle』ってメンバーからファンへのプロポーズソングだよねって話

 突然ですが、関西ジャニーズJr.のユニット、Lil かんさいをご存知ですか?2003年生まれと2004年生まれの同世代5人で結成された今まさに進化を続けているグループです。
 今日は彼らにとっての初めてのオリジナルソング『Lil miracle』に関する私なりの考察を書き記したいと思います。

※楽曲に対する一ファンの考察のため、こんな考えもあるんだなーくらいの温かい目でご覧頂けますと幸いです※

○初披露時、まだ中高生だったLil かんさいだからこそ誕生した『Lil miracle』だと思った話

 初めてこの曲を聴いた時、自分より年下の小さな男の子たちが背伸びした歌詞を歌っている姿が可愛いなぁという印象でした。
 Aメロ冒頭の「白馬なんて乗れないけど」は「18歳になってないから車を運転出来ない」=まだ子どものようなニュアンスを感じるし、サビでは「何十回何百回何千回」や「もう一回もう一回もう一回」、「何回も何回も何回も」という繰り返しを表す表現とともに「その唇にkiss」「迎えに行くから」「抱きしめるから」という言葉が続けられていて、王子様の方から動いてくれるんですよね。
 特に曲中何度も登場する「いつも僕はキミだけの王子様」という歌詞も個人的には幼さを感じるポイントで、「キミ」を「僕だけのお姫様」のように「キミを僕だけのもの」と言い切れないあたりに、幼いからこその未熟さというか、「キミを僕だけのものにするには力不足だけど、でも僕をキミだけのものにすることなら出来るよ!」というメッセージ性を感じました。実際、Lil かんさいより平均年齢の高いなにわ男子は『ダイヤモンドスマイル』で「僕だけのキミでいてね」と歌ってるんですよね。とても個人的な解釈ですが。
 なにわ男子の例にもあるように、これが例えば20代後半の王子様だったらきっとどっしり構えて、迎え入れてくれるような歌詞になっていたような気がするんです。例えば「僕はいつでもここにいるから辛くなったらおいでね」のような。つまり「待つ」って余裕がないと出来なくて、それこそが「大人」の構成要素のひとつなのかなと。
 でもこの曲を歌うLil かんさいは当時14〜5歳。その幼さゆえの一生懸命な感じに、まだ10代の男の子だからこそのアイドル像が詰まっている気がしました。
 また、このグループにとって初めてのオリジナルソングということで、楽曲のキャッチーさと王道アイドルど真ん中な歌詞が、単純に彼らの王道路線を指し示す楽曲でもあると感じました。(←ここ伏線)

○この曲ってLil かんさいからファンへのプロポーズソングでは……?

 ある日いつものように『Lil miracle』を聴いていると、突然落ちサビの「いつも君は笑ってて」という歌詞が心に引っかかりました。その直前では「もう1回もう1回もう1回その唇にkiss/世界で一番愛してる/何回も何回も何回だって抱きしめるから」という言葉。

あれ?この曲ってもしかして盛大なラブソングでは??(今更)

ということで私は再度『Lil miracle』の考察を行いました。

【タイトルの意味】
 多くの人が歌詞を見て感じるように、この曲は所謂恋愛ソングです。この点については言及するまでもないと思いますが、ここで鍵になると考えたのが「白雪姫」「キス」です。
 まずそもそもこの曲って白雪姫がモチーフになっていますよね。「この世界で一番美しいのは鏡に聞くまでもないんじゃない」と「毒林檎なんていらないよ」という歌詞がそれを物語っています。そして間奏部分の「Chu! Chu! Chu!」やサビに登場する「その唇にkiss」など、キスを連想させるワードも多く登場します。
 ここで白雪姫のあらすじを思い返しました。白雪姫の物語は毒林檎を食べて命を落としてしまった白雪姫が王子様のキスによって生き返り、ハッピーエンドを迎える……これって冷静に考えてめっっっちゃ奇跡ですよね。
 ん?ということはこの『Lil miracle』=「小さな奇跡(直訳)」も「キスで小さな奇跡を起こそう」という意味合いなのでは??
 その意味では間奏と後奏で歌われる「Chu!Chu!Chu!Lil miracle!」という歌詞がダイレクトにそれを表現しているようにも思えます。

【サビから読み取れるこの曲のメッセージ性】
 さて、上述の「白雪姫」と「キス」というキーワードにかけて、もう一つ考察を展開したいと思います。ずばりサビの話です。

  何十回 何百回 何千回 その唇にkiss
  毒林檎なんていらないよ
  何十回 何百回 何千回 迎えに行くから
  いつも僕は君だけの王子様

 繰り返しにはなりますが、白雪姫は毒林檎を食べて命を落とした白雪姫のもとに王子様が現れ、キスによって命を吹き返し、2人が結ばれるという物語。つまりこの白雪姫の物語において、毒林檎がなければ白雪姫と王子様が出会うことも、もちろんキスすることも、結ばれることもなかったわけですよね。
 でも『Lil miracle』では「毒林檎なんていらないよ」と毒林檎の存在を拒否してるです。毒林檎という理由がなくても何度だってキスするし、迎えに行くだからこそ「いつも僕は君だけの王子様」なんですよね。
 冒頭ではこの「いつも僕は君だけの王子様」というフレーズについて、「キミを僕だけのものにするには力不足だけど、でも僕をキミだけのものにすることなら出来るよ!」というメッセージ性を感じると述べましたが、別の角度から見ると「理由なんてなくたって、どんな時でも僕は君だけの王子様だよ」という明確な決意を読み取ることが出来るのではないでしょうか。これってなんか、プロポーズみたいじゃありません?

【僕とキミの約束】
 プロポーズに関連して、曲中に登場する愛を示す表現をみていきたいと思います。
 ストレートな表現を抽出するとすれば落ちサビ直前の「All I need is you(キミが僕の全て)」や落ちサビの「世界で一番愛してる」がありますが、その中でも個人的に胸を打たれたのが落ちサビの最後にある「いつもキミは笑ってて」という歌詞でした。

 もう1回 もう1回 もう1回 その唇にkiss
 世界で一番愛してる
 何回も 何回も 何回だって 抱きしめるから
 いつもキミは笑ってて

 ここ以外の部分の歌詞って、例えば「恥ずかしがるその姿が夢中にさせるんだ」も、「この世界で一番美しいのは鏡に聞くまでもないんじゃない?」も、「誰よりもキミを知ってるから」も、王子様から「キミ」への思いの吐露が中心ずっと王子様が「キミ」を好きだという気持ちがいろんな言葉で表現されてる。でもこの落ちサビはそれだけじゃなくて、「世界で一番愛してる、何回だって抱きしめる『から』いつもキミは笑ってて」と、「キミ」への願いが歌われているんですよ。
 落ちサビ以外のサビは「何十回何百回何千回迎えに行く『から』いつも僕はキミだけの王子様」と、理由に対する結果をもたらす主語が僕=王子様で、落ちサビも「(僕は)いつもキミに笑ってて(欲しい)」という省略された部分も読むと主語は僕=王子様なのですが、落ちサビ以外は「キミ」が存在しさえすれば王子様一人で完結する結果なのに対し、落ちサビは「キミ」が存在して、かつ「笑顔でいる」という行動をしないと王子様の願う結果は達成されないんですよね。
 で、この部分ってこうとも読めませんか?つまり「何回でもキスをするし、抱きしめる=そばにいるから、愛してるから、僕(=王子様)には笑顔を見せて」っていう王子様とキミとの間の約束=プロポーズに……

 以上の3点+冒頭で述べた「この曲は単純にグループの方向性を指し示す曲でもあるのでは」という私自身の解釈を踏まえ、僕=王子様=Lil かんさい、キミ=ファン、キス・抱きしめる=アイドルとしての活動そのものと読み替えた場合、この曲は以下の2点が言えるのではないでしょうか。

「Lil かんさいはいつも、どんな時だってファンのみんなだけの王子様としてステージに立って愛を伝えるから、ファンのみんなも笑顔でいてね」

『Lil miracle』=「キスで小さな奇跡を起こそう」
 =「僕たちの歌とダンスで小さな奇跡を起こそう」

 この解釈に辿り着いた時、私にはこの『Lil miracle』というタイトルがLil かんさい自身の秘める可能性を指し示すものに、この曲がアイドルユニットLil かんさいからファンに向けて自分たちの進む道を誓ったプロポーズの歌に思えてならなかったのです。

○10年後、彼らが歌うLil miracleはどんな小さな奇跡を起こしてくれるだろうか

 メンバー5人が自分より年下というのもあって、当初この曲のポイントは10代の男の子だからこそ表現出来る無垢な可愛らしさにあると考えていました。でも一連の解釈を経て、むしろこの曲は年を重ねるごとに彼らの「愛」の表現の変化を存分に楽しめる曲なのでは?と考えています。
 例えば今の私には凄く真っ直ぐな気持ちが伝わってくる「いつも僕はキミだけの王子様」も、数年後には大人の余裕も感じられるような表現が生まれるのかな、とか。これはどっちが良い悪いでは全くなくて、むしろその変化の過程を一緒に辿れることこそ、彼らを応援する醍醐味だと思っています。
 そもそも既にジャニーズJr.の公式YouTubeチャンネルで公開された2本の『Lil miracle』によって約1年半の変化を楽しめるわけですよ。一つは2020年8月に開催された「Johnny's DREAM IsLAND 2020→2025 ~大好きなこの街から~」から、もう一つは2022年1月に開催された「関西ジャニーズJr. LIVE 2021-2022 THE BEGINNING~狼煙~」から。
 後者が公開された当時、SNSでは声変わりによってメンバーの声が低くなっていたことも話題になりましたね。声だけでなく、顔つきやダンスからもその変化が窺えると思います。
 Lil かんさいからファンに向けたプロポーズソング、なんて表現をしましたが、これってある意味めちゃめちゃ一途な愛ですよね。初披露の2019年からは既に3年が経とうとしていますが、今後20代、30代……と歳を重ねた時、彼らはどんな表情で、どんな歌声で、この『Lil miracle』を表現してくれるのでしょうか。
 何年、何十年先も彼ら5人が5人のままのLil かんさいとして『Lil miracle』を歌っていることを願って―――


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