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『それでも、読書をやめない理由』 デヴィッド・L.ユーリン 柏書房 2012年 978-4760140848

著者は米ロサンゼルス・タイムスの文芸批評・担当記者で2005~2010年に読書欄を担当とのこと。

本書は原著を読んだほうが読みやすいぐらい、日本語訳が苦しい。

著者流の読書論をご堪能あれ。

偏った分野の本しか読まない人にとっては新しい扉を開いてくれる本だと思う。

「文学を発見したその瞬間から、わたしは自分の周りに本の山を築いて生きてきた。」(p17)

「重要なのは、読書を発見への旅ととらえ、自分の内面世界の発掘ととらえることだ。誰の本を読むかはたいして問題ではない。」(p22)

「本を読むにはある種の静けさと雑音を遮断する能力が必要だ。過剰にネットワークが張りめぐらされたこの社会では、それを得ることは次第に難しくなっているようだ。」(p46)

「本好きの読者には覚えがあると思うが、文章が命を持っているように感じる瞬間や、震えるほどの緊張感を持ってページから飛び出してくるように感じる瞬間がある。」(p57)

「どういうことかというと、ひとつには、ひとりひとりの受け止め方はそれぞれ違っていたよいということだ。物語とは、混沌に立ち向かうための装置であり、一連の可能な解釈を認めつつ、いつでも変わる可能性があると認めるための装置でもある。だが、本質的で、重要なのは、物語に向き合ってほしいという、読者への呼びかけだ。結局のところ物語は-芸術的なものであれ政治的なものであれ-持続的な集中を求める。本を読むとき、わたしたちは本と対話しつつ、自分の役割を演じなければならない。さもないと、感情面やその他すべてにおいて、巧みに操作されてしまう。」(p59-60)

「本の場合、あるいはある程度の長さにわたる文章の場合、状況は違ってくる。もっと緩やかで、深く、静かだ。読み手は文章の中に入れ込むことを求められる。するとその過程で、ふいに読み手自身の個性や感じ方が顔を出す。」(p88-89)

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