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令和5年度東京工業大学総合型(工学院)合格体験記



1.はじめに

僕は、高校卒業して東工大受験に失敗した後、とあるS予備校で1年間浪人し、総合型選抜で東工大の工学院に合格することができたので、この度東工大に通うことになりました。
総合型受験に当たって過年度の総合型のnoteによる合格体験記をかなり参考にしたので、僕も次の代への参考になればと思いこの度投稿することにしました。

2.総合型選抜について

一般に総合型選抜と聞くとすごい実績(ex.数理学系のオリンピック、科学の甲子園などで賞をとった)を持ってる方々が受ける試験、という印象が強いですが、少なくとも工学院の場合、予備校で見せてもらった合格者のデータを見る限り、そのような実績を持つ人は殆ど確認しておらず、僕もそれといった実績もなければ、高校生の頃に優等生だったなんてことは全然ありませんでした。なお参考までに僕の評定平均は4.3でした。(この辺の評価は学院によるかも)

工学院の総合型選抜の試験内容は

出願時:志望理由書(800字以内,なお合否に直接の関係なし)
1段階選抜:共通テストで足切り(倍率で切る)
2段階選抜:筆記→数学の大問と物理の大問1題のペーパーテスト
     口頭試問→自己PR+数学or物理の問題が出されてそれに答える

といった感じで、特別な実績は求められていません。
なので、よくある受け方として、共通テストで結構良い点取れる人が東工大受験のチャンスを増やすために出願する、というやり方があります。
また、総合型の出願について、出願のための書類は9月以降にテレメールなどで直接取り寄せる形だったので忘れずに行うようにしましょう。

また、願書の提出期間が12/19~12/21必着とかなり早いので、出願書類の準備や調査書の回収は早めに動きましょう。

3.浪人期ダイジェスト(総合型関連)

①総合型受験を決める経緯

高校卒業後、東工大の前期試験に落ち、色々あって私立の類も受けておらずなし崩し的に浪人が確定したのですが、3月半ば当時の僕は落ちたショックで呆然とし、部屋に引き籠って#春から東工大のツイートをひたすら見る、という虚無すぎる生活を送っていました。そんな時、「総合型受けるとええで」と言った趣旨のツイートをいくつか見つけて、過去問を解いてみたら「これ行けそうだな〜」と物理で雪崩起こして落ちた癖に考えて、「よし、今度は総合型も受けよう」と受験のチャンスを増やすことを目的として決意しました。

②出願

総合型の願書の取り寄せは9月中に済ませましたが、志望理由書は、12月初めに一気に書き上げることにしました。
志望理由書について、僕はPCで一旦下書きして、予備校のチューターの方に頼んで添削していただき、その後所定の用紙にペン書きしました。
主に"工学"を学びたい理由と"東工大"の志望理由について述べました。
試験本番での自己PRとかにも使えますし、清書時に余計にミスしないで済みますので一旦下書きを作って保存しておきましょう。
僕は12/19の朝イチに郵便局に願書を出しましたが、受験番号は後ろの方でした。
(追記)今年から総合型選抜もネット出願になるそうです。
どうやら、ネット出願に変更するにあたって志望理由書なども大学HPからダウンロードする形式になるようです。ちゃんとHPを確認しましょう。

4.一段階選抜

志願者数が学院(環境・社会理工学院においてはAまたはB)ごとの募集人員の約2~3 倍を超えた場合には,本学が指定する共通テスト5教科7科目の成績(得点合計)により第1段階選抜を行うことがあります。

引用元:令和5年度総合型選抜募集要項

例年(恐らく今年も含む)だと足切りラインは730-750あたりと思われます。前期試験に比べると格段に足切りのレベルは高いです。(医学部や東大やより大したことないとかいわない)
僕は、点が稼げてない国語や日本史は12月頭から単語帳、予備校からもらったパック、過去問をひたすら解いてわからなかったら科目ごとにノートにまとめるようにしました。その他(その場のノリでなんとかする科目)は12月終わりから予想問題をひたすら解いてました。あと化学は2次試験の記号対策にも生かすためにこれも間違えた知識問題はノートにまとめ直しておきました。またパックの成績は青が720程度、緑が700程度、桃が800弱でした(時系列順)

Σ743です(調整後)。Twitterで情報を漁った限り足切りギリギリだと思われます。自己採点してから去年の悪夢みたいな共通テストを実際に受けてるにも関わらず何この微妙な点数…とか考えてました。
また、僕は一段階選抜の発表日、理科大の試験を受けていたので、試験終わってから結果をみようとか考えてたら予定(17:00"頃")より発表が2時間程遅れたので、無駄に足切りに怯える時間を過ごす羽目になりました。

5.試験について

僕が総合型の対策を本格的に始めたのは一段階選抜後でした。
現役浪人問わず、予備校に通ってる方で総合型選抜を受ける場合、なるべく
塾のチューターの方にその旨を報告しておきましょう。
そうすると、過去の総合型の合格者による情報がわかることがあるので、より総合型受験のイメージが明瞭になります。

過去問について

筆記試験の過去問は、大学のHP、または赤本経由で入手できます。

僕は模範解答を気軽にきける人間が周囲にいなかったので赤本を買いましたが、問題自体はなるべく実際の試験の時の雰囲気を知るため大学のHPから印刷してました。(直近の過去問演習もそうしてた)個人的には模範解答にこだわりがないのなら大学HPの分で十分だと思います。

試験本番

午前中は筆記試験ということもあって、大学まで家から1時間半はかかることから、朝6時半手前に出発しました。腐っても一回入試は受けてるので、これといったトラブルもなく大学本館の試験会場(講義室)までたどり着きました。前期試験より誘導雑だなあとか考えてました。試験当日は、何があるか分からないので、時間に余裕を持って出発するのは鉄則かと思います。

そして会場inするのですが、僕は筆記試験は私服で受けました。面接があるから正装しなくては…と考えもしましたが、それよりも普段から気慣れてる格好で筆記試験を受けた方が集中できると思ったので、教室では少数派の私服受験をしてから、昼休憩中にスーツ着替えました。大半の人は制服やスーツを着てました。(浪人が制服着るの嫌じゃん)

9:30~11:30 ;筆記試験
僕が解いた問題は先ほど載せた大学HPのリンクの先にあるpdfファイルから見れます。

数学パート:様々な関数の処理についての考察
物理パート:複数の波の合成

解答用紙を見たらほぼ全問題導出過程必須だったので、2時間ひたすらシャーペンを動かしてました。説明するスペースは十分にあると思いました。
数学パートは設問に従って処理していたらあっさり終わってしまったので、ミスしてないか不安になって考察をやり直す余裕はありました。
物理パートは、予備校で講師の方がたまたま任意課題で出してた問題の考察の類題だったので内容理解は問題なかったのですが、三角関数の合成時に位相の値を1/2し忘れてることに途中まで気づかなかったので、それに気付いたときに「これ多分最後まで終わらないな」と悟って一番最後の問題は少しだけ解いて他の問題でミスしてないか確かめ直していました。

11:30~12:30 ;昼休憩

昼休憩です。僕はおにぎりとチョコを食べてここ数年ずっとお世話になってる魔剤を摂取し、スーツに着替えたのち正門付近を散歩しながら予備校の物理のテキストの問題を見て、問題の説明のシミュレーションをしてました。

12:30~16:30 ;口頭試問

その後、試験監督の誘導に従って、本館から石川台地区の建物に移動したのち着席します。なお、ここから16:30まで電子機器の使用は一切禁止なので本当に気をつけてください。

受験番号順に10人単位でそれぞれ個別の口頭試問を行う教室に、誘導の方と一緒に向かいます。向かうまでは、自習などして待機するように指示されました。僕は、自己PRで何をいうかまとめてきた紙を一旦見直して、その後は昼休憩の時と同じように口頭試問のシミュレーションをしてました。
前述の通り、僕は受験番号がまあまあ後半だったので待機時間は結構長かったです。(口頭試問開始が15:00過ぎた辺りでした)

面接の部屋に入ると、椅子と机、後問題用紙(裏返し)と大学仕様のボールペンが置かれており、3人の面接官(誘導していただいた人、司会進行する人、ひたすら採点してる雰囲気の人)がいました。

自己PRを危なげなく終えたのち、いざ口頭試問の問題を出されるのですが、
僕の場合は物理の問題が出題されました。
あまりネットで大っぴらに問題を再現して載せるのも不安なので、大雑把に問題について述べるのに留めますが、

・物理の問題で、壁に立てかけた棒の振る舞いについての類題で、
 5問の小問に分かれていた
・問題文(状況説明)が長くて表現が回りくどい
・過半数は力の釣り合い、モーメントの和が0になる条件といった簡単な問
 題

といった感じでした。

考える時間が7分与えられて、後ろにあるホワイトボードに書いて説明する必要があります。また、その後5分間で面接官に問題について説明する必要があります。
僕は、最初1分ぐらい問題の内容が全然わからなかったのですが、分かれば多分一気にいけるからもう少しじっくり考えようと開き直れたので、2分経過したあたりで、方針がわかって一気に小問4つ処理して、1つはもうどうせ終わらないと捨ててました。ですが、後で振り返ってみると、うでの長さを求める際に焦ってsinとcosを逆に取ってしまうという暴挙を犯してたことがわかりました。(なぜこれで理系に行こうとしたのか)

説明する時間が終わると、面接官から補足程度に質問が聞かれるのですが、僕はここ本当に動摩擦力ですか?といった内容だけで、すぐ終わりました。
試験後、面接室から一旦中継地点に移動したのですが、しばらく誰もいなかったので、追加質問の内容は説明の時間での説明の内容によって変わってくるのではないかと考えました。(憶測)

その後は、また別の教室に移動して16:30まで待機しました。勉強してる人もいましたし寝てる人もいました。
そうして、16:30になって皆面接が終わったらその場で解散となりました。

その後~合格発表(2/14)

試験終わったのち、精神的に疲弊し切った状態で電車に乗り、見事に電車の乗り換えを間違えて40分ぐらい帰宅が遅れたりしました。

僕は試験の手応えをある程度感じてしまってたので、合格発表までの2日間が精神的に大分キツかったです。
試験の次の日は、滅茶苦茶不安な心を強引に沈めて早稲田理工の過去問をひたすら解いてましたが、かなり気が散った状態での演習となりました。

試験の二日後、つまり合格発表日も、予備校で早稲田の数学、英語を解いていました。そして昼12時手前、僕は某国立大学の推薦入試の結果待ちだった友人と一緒に結果を確認してました。前期試験の受験票が通知されずに前期足切りの紙が届いたので実質合格通知となり、大学HPから合格者の番号を友人と見て正式に合格が確定しました。当時の僕は「一足先に予備校という監獄から抜けてシャバに出られる」とか考えてました。(予備校自体を貶す意図は全くないです)

6.最後に

総合型受験を、特に工学院を受験する人に申し上げておきたいのですが、あまり総合型対策に固執しすぎないことをお勧めします。
総合型に気持ちが偏っていると、総合型に落ちた僅か1,2日後に行われる早稲田理工の入試、下手すると東工大の前期試験まで失敗をひきずる恐れがあるためです。

余談ですが、僕が受けた年は、慶應理工の入試と総合型入試の日程が重なって、僕は慶應理工を受けられませんでした。今年の場合、特に何浪もできない人的には、私立が受けられないのも総合型のリスクの1つである、と言えます。

また、工学院(+物質理工など)を志望する方は、こういう選択肢もあるよということも記憶に残してくれると嬉しいです。僕も当然2次対策に力を入れてましたし、一年の勉強時間の大半(少なくとも9割強)は東工大対策に費やしています。ただ、一部のバケモノみたいな成績の人でもない限り、試験で発揮できる実力は水物なんじゃないのかなと思います。
そんなときに自分が大学に受かる可能性を高める選択肢として、志望校を複数回受けてしまえばいいというのも人によってはアリだよ、ということもわかっていただけると良いのではないかと思います。

僕が受けた現行制度での試験は、女子枠施行の関係で次年度の入試が最後となってしまうので、(追記:続行するらしいです、詳細は後程)この体験記が役に立つ人は多くないと思ってます。ですが、東工大の総合型選抜を受ける方がいたら、この投稿だったり他の方の投稿だったりを参考にしておくといいと思いますし、個人的には嬉しいです。もしさらに聞きたいことがあればTwitterのDM(@Rivert85432473)に来てくだされば可能な限り返答しますので、是非ぜひ来てください。あと開示でたら多分追記します。

7.追記:開示+総合型継続の知らせを受けて

皆様、お久しぶりです。中の人は期末とサークル関連のタスクで早くも忙殺気味な状態です。そして線形の中間で大コケしてかなり凹んでいます。
GWが明けたころに大学側から開示が届きました。それが以下のような感じです。

受験番号の隠し方がアナログ過ぎるんだよなあ…..

総合型に関しては大学サイドから合格者最低点等が提示されることはないので、多分得点だけ見ても塩梅がわからないと思います。
で、周辺の工学院の総合型受かった人と話していてわかったのですが、まあ僕より開示得点が下の合格者の存在を一切聞いてないんですよね。
得点分布は、60点台の人が多くて中には7割、8割の人がいた感じです。
一体どこでやらかしたんだろうと考えてましたが、思い当たる節があるとすれば、筆記の物理で中盤で解いてて違和感を感じて一旦詰まったあたりでいくつか議論間違えていたってオチですかね。
また、これはただの感覚ですが、浪人して総合型で入ってる人の開示が明らかに低めな印象がありました。案外下駄あるかもしれないですね。

話していた限り、筆記は、8割がたいけたみたいな旨の人が多かったと思います。なので、どうせ本番は練習よりもうまくいかない可能性が高いことも加味すると、過去問などを解くときは可能な限り全問題取りきることを意識してみるといいんじゃないのかなと思います。

ちなみに、口頭試問の出来について話す機会も多少ありましたが、追加質問までかかった人もいましたが例外ほとんどなく3問目までは到達していた印象です。その一方で口頭試問全完答は一切聞いてないので、あまり全問題解ききることを意識しないで過半数とれれば何とか受かるやろぐらいの精神で行ってみるのはありだと思います。以上、開示を受けたうえでの所感でした。

そして4月にこんなニュースが来ましたね。

女子枠の関係か定員は17人と現行制度の半分ですが、男子学生にもある程度チャンスが増えたままのようで見ててほっとしたような気がします。
とはいえ2025年からは少なくとも自分が受けた時より色々シビアな戦いになるのかなと思います。そもそもあの大学は足切りが倍率ベースなので定員減ったらそりゃ足切りで残留できる人数も減るからその時点で大変ですし、(そもそも新課程の共通テストが過酷すぎるような気がする)残ってもそれなりによりできる人があつまるわけですから、勝ち残るのはもっと大変にはなるんだなと思います。
僕は女子枠について意見を述べる気はないですが、少なくとも男子学生は相対的に不利になるのは事実なので、頑張って対応するしかないとは思います。

と、以上が追記でした。
記事を執筆してて、もはや入試に懐かしさすら感じ始めているような現状ですが、総合型で入った他の人とかと話すネタができたりと、意外と大学生活をうまく過ごせるようになることもあったりします。改めて、工学院の総合型受験を、候補に入れるのもアリだよ、と最後に提案して〆ることにします。
ここまで閲覧いただきありがとうございました。受験生の方は特に応援しています。


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