これから投資を始めるなら日本国債への投資も有益かもしれない

インフレ率にも負けそうな債券に投資する

今回は円建ての生債券への投資について考えていく。特に格付けが高く利回りの低いものの話題。

結論から言えば、手元にリスクにさらしたくないまとまった資金を持っているのなら、日本国債などの安全な債券を投資対象に組み入れるのは有益だと私は考えている。
分かりやすさのために本記事では日本国債と今後表記しているが、格付けの高い円建て債券であれば同等の結論なので適宜読み替えていただきたい。

日本国債の現状

個人向け国債5年満期の物でみると利率は0.36%(税引前)、昨今の実績を見るにインフレ率にも負けている。また、今後金利が下がるということは考えにくく、金利が上がれば既発債の価値は下がる。少なくとも、資金を増やす目的で投資をしようという気にはならない。

そのような条件の中で、なぜ投資対象として検討するのか?
今回のポイントは要するに「1度にリスク資産に投じるには大きすぎる資金の置き場所としての円建て債券」の提案である。

なお、今回の考察は、ポートフォリオ戦略において常にある程度の部分を債券で持つという考察ではない点ご注意を頂きたい。ポートフォリオに債券を常に組み入れるべきか?という議論も重要な論点であるため、詳しく知りたい方は下記の本などがおすすめ。

どういうときに債券が役に立つか

この議論のためには投資戦略の前提を確認しておく必要がある。
ここでは簡単のためにこれから投資を始める人をモデルに考えていこう。

この投資家は当初の預金1000万円と毎年100万円の追加資金を投資に回すことができるとしよう。
次に投資資金はすべて株式に投資したいと考えているとする。
そして投資スタンスは長期保有を基本とする。

この条件の下では、毎年の追加資金は淡々と株式に投資をすればよい。
問題は、当初の預金1000万円を一括で投資するか否かである。

それなりの金額が手元にあるならば入金タイミングも分けた方が良いというのが私の考えだ。上記の条件を見ればざっと10年近くかけて作ったお金である。一括投資をして株価が上昇すればよいがたまたま下落にあたってしまったらと考えるのに難しい理屈はいらないと思う。

もう少し理屈っぽく考えていくと

  1. 1000万円は今後10年間で投資する資金の50%である。それだけの金額を今投資すべき理由はないたまたま投資を始めようとしたタイミングでそれだけの金額を1度に投じるのは合理的とは言えない。

  2. 市場や株価の予想は難しく、プロでも誤るものである。投資初心者の予想が正しいと考えるのはご都合主義すぎる。

ということだ。
ここに納得いただけるなら対応する手段は次の方法のどちらかだと思う。

  1. 数年単位の期間に分散して投資をする。投資の時期が訪れるまでは預金など元本が保証された方法で保持する。

  2. 絶好の投資機会のための資金として位置付ける。最高と思える投資対象を見つけた場合や大暴落などが起きた場合の追加資金として保持しておく。

そしてこのどちらの方法を採用しても、投資するときまで現金が寝ている状態になる。ここで安全な日本国債の出番になる。定期預金より利率が高く、ドル建て債券の様に為替リスクもない。受け入れる必要のあるリスクはインフレだけである。悪くない考えだと思うのだがどうだろうか?

今から投資を始める人に薦める理由

ここまでの議論はすぐに必要でなくリスクいさらしたくない資産を持っている人には共通して薦められる内容だが、特にこれから投資を始めようという人に薦めたい。

まとまったお金を作れる程度の堅実な生活をしているのだから、急いでリスクを取る必要はないし、リスクを取るのに今が最適なタイミングと考える理由はない。
今始めようというのだから投資にこれまで積極的に関心を持ち機敏に行動してきたわけではないだろう。いきなりハイリスクに飛びつく必要はない。株式以外の選択肢もあることを認識することが有益だろう。
実際にやってみて結果がどうなるのか確認してから先のことを決めればよい。投資結果も心理的な揺れ動きもやってみるまでは分からないのだから。


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