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「ロビンソン」は、彼が空から降りてきていることを知らせる合図

今朝も散歩を終えて帰宅し、朝食を採りながら何気なくラジオをつけた。
いつものJDの声。番組コーナーの間に時折挟まる音楽。
ふいに、スピッツの「ロビンソン」が流れてきた。

元主人が近くに来ている、と感じた。
13年前に離婚し、5年前に亡くなった彼が、今朝は来てくれている。

「ロビンソン」は、元主人と付き合い始めたばかりの頃に流行った曲だった。
当時、彼は好きな曲だけを集めて録音したテープをたくさん作っていて、車でデートするときはそのテープを流していた。
「ロビンソン」はその中の1曲で、初めて聴いたときは特に何とも思わなかったのだが、繰り返し聴いているうちにいつの間にか大好きになっていた。
この曲が流れると、春の夜、ドライブ帰りに自分がつけていたコロンの匂いまで思い出す。

彼が亡くなってからは、一番大切な曲になった。

私には家で音楽を聴く習慣がない。
音が流れていると、本を読んだり勉強したりすることができないためだ。
ラジオも朝のニュースを仕入れるために1~2時間つけるだけで、それ以外の時間はほぼ無音の生活をしている。
だから、「ロビンソン」に出会えることは本当に稀で特別なことなのだ。

いつからか、「ロビンソン」が流れてきたら元主人が空から帰ってきていると思うようになった。
そして、そういう時はたいてい、落ち込んでいた気分が上向きになり始めているときだ。
不思議と、落ち込んでいるときや何かに集中しているときは聴こえてこない。
「ロビンソン」が聴こえて彼が来ているということは、このまま進んでいいんだな。
そう、思うようになった。

彼が亡くなったのは、桜が咲き始めた頃だった。
今年の花を見納めに来たのかな。
ゆっくりしていってね。


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