それは、突然に起こった。くも膜下出血発症①

その日は朝から子供のお友達数人とバーベキューだった。
気心の知れた友人達とみんなでわいわい楽しく過ごした。
バーベキューが終わってから、お友達を家まで車で送り届け、自宅に帰って来てから洗い物をしていた。
時刻は午後5時。
この後、以前働いていた職場の同僚数人と飲み会の予定だった。

引っ越しまであと1ヶ月、お別れを惜しむための予定が詰まっていた。
今思えば、気がつかないうちに無理していたのかもしれない。

待ち合わせ時間まであと2時間ほど。
洗い物をして、子供達に軽く夕食を作って、風が強い中1日外にいたから髪の毛くらいは直さないとなんて考えながら食器を洗っていた。

そしたら突然に、、、、、本当に突然に、首の後ろ側に違和感が走った。
それはなんの前触れもなく、まるで頭上から何かが、音もなく私の肩に飛び降りて来たかのように、突然の、違和感。
痛いとかではない、しいていうなら首の後ろに太い棒が一本入っているかのような、表現しようのない違和感。
でも気のせいやコリなどとは受け流すことはできない、重大な事が自分の体に起こったということは理解できた。

とても嫌な予感はした。
一応医療者のはしくれの私は、まさか脳出血、、、?とも実は思った。
でも、教科書に書いてあるような突然バッドで後頭部を殴られたようなとか、のたうち回るようななどという痛みとはかけ離れていたから、判断に迷ってしまった。
手足にも麻痺らしきものは出ていない。

そして、そうであってほしくないと言う願望と恐怖が、違う違うと自分を納得させようとしていた。

とりあえず、今洗っているお皿を全て洗い終わりたかった。

後になって思えば、そんなものいったんやめて自分の体調を確認すればいいのに、なぜか主婦の意地のようなもので洗い切ってしまおうとした。
でも結局最後まで洗い切れず、後は濯ぐだけというところで力尽きやめてしまった。

シンクに捕まるように立って、体を支えて、ぐるぐると自分に何が起こっているのか考えた。
頭?頭なのか?
それなら救急車呼ばないとだけど、もし違っていたら、、、。
それによく考えたら、そんなに頭痛は強い訳じゃないし、脳出血の類ならもっと痛いはず、そして吐き気が来るはず。
そんな時、突然便意を催した。
普段便秘気味の私、トイレに駆け込む。
その時はまだトイレに歩いて行くことも自分で用を足すことも、なんの問題もなくできた。
なんだ、もしかして食あたり?バーベキューでお肉がちゃんと焼けていなかったの?なんて考えながら自分の顔を洗面所の鏡で見ると、ギョッとするほど青白かった。
やっぱり私の体で何かが起こっている。嫌な予感はいっそう強くなった。

リビングに戻って、横になってみた。
でも首の後ろの違和感は回復する気配がない。
その時家にいた中1の次男に、「お母さん頭痛い」と言ったら、「そうなん?だいじょぶ?」とスマホを見ながら答えた。

その辺で、今日のこの後の飲み会はキャンセルする決心をがついた。
1時間前に断るなんて、ドタキャン過ぎて申し訳なくて迷っていたが、諦めるしかなかった。

次第になんだか吐き気もして来たような気がする、、、
これで吐いたらもう、本当に脳出血の類だと認めるしかない、、、

と思った途端に再びトイレに駆け込み嘔吐した。
立て続けに2回嘔吐し、この辺りから記憶はプツリプツリと途切れている。

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