三つ子の魂百まで~ケロロ軍曹再燃~

ケロロ軍曹、再ブーム来る


ここ数週間、ケロロ軍曹のアニメをPrime Videoで1話から観返している。
きっかけはひょんなことで、YouTubeのレコメンドに突如として出現したOfficial チャンネルである。動画をクリックし、軍曹の声を10数年以上ぶりに耳にした瞬間、自分の中で軍曹熱が一気に再燃してしまっている。

観「返し」としている通り、ケロロ軍曹は、約20年前(怖っ!)にリアルタイムで毎週楽しみに視聴していたアニメ作品であった。
父が観ていたのを一緒に観始めたのが始まりであったけれど、気づけば週末の楽しみになっていたのである。
最初はタママのビジュアルに惹かれて「可愛い」アニメとして観ていたものの、気づけばドロロやギロロの不器用さ、クルルの憎めない狡猾さ、地球侵略を標榜しつつもガンプラと家事に勤しむ軍曹…と、全キャラクターが好きになってしまっていた(&軍曹に現実を叩きつける夏美による「ボケガエル」呼称も良)。
あとED曲も相当気に入っていて、中でも気に入っていた『アフロ軍曹』と『勝手に侵略者』はよく通学路で口ずさんでいたのを覚えている。

…で、改めて観返しているうちに気づいたのが、表題の、自身の恐ろしいまでの「三つ子の魂百まで」性質であったのだ。すなわち、鑑賞の過程で「ここ好きだったな…」となる度に、その「ここ」というのが、直近数年間で好きになった諸々の作品やカルチャーにも悉く当てはまる特徴だったのである。それにはビジュアル等の表層的なものから、性質的なものもあって、少し恐ろしさは感じつつも興味深さが勝ってしまい、以下主なところを残してみたくなった。

1.キャラのビジュアル


先ず一番わかりやすいポイントである。ケロン軍のキャラクター達を改めて観ていて気付いたが、私は当時から
・短めの等身(頭が大きめ)
・丸みのあるフォルム
(&そこにちょこんと生える脚)
・伺わせる"ツルっと"感
・シンプルな造形
    …に、弱いらしい。
実際、ケロン軍たちは勿論、同時期に好きであったのもサンリオキャラクターのシナモロール(の中でも「エスプレッソ」で、一番合致する)、動物のシロイルカ、ゲゲゲの鬼太郎の目玉のおやじ であり、きれいにあてはあまる。
ここ数年の自分的ヒットは東京ガスの火ぐまのパッチョであったのだけど、パッチョを初めて目にしたときに久しぶりに覚えた「堪らん!」感も、あっさりと共通の特徴で整理できてしまった。あとは『小林さんちのメイドラゴン』のカンナちゃんも完全ヒットであったがその「堪らん!」感も、…以下同文。
…あと、ケロン軍が歩く時の効果音、可愛すぎる。

2.音楽的指向性


特に好きだったED1曲め『アフロ軍曹』を改めて視聴して認識したのが、ダンス☆マン さんの曲であったこと。音楽の趣向は少なからず父の影響を受けている自覚があって、一時期父が狂ったように車内で再生していたのが正にダンス☆マン さんのCDであったことはすぐ思い出したので、当時も耳にすっと馴染んだのかもしれないな~ とまず納得。

…本題はここからで、ふとダンス☆マン さんの編曲/作曲一覧を調べてみたところ… 戦慄… 。

…私が今ドはまり中(こちらも10年ぶり再ブームの趣味であるけれど)のハロプロ曲(古今問わず)、更に大学生の時にゴッドタンの企画で知って超好きになった(解散ライブも参戦)清竜人25の特に好きな2曲も編曲されている…!?ですと…!?

つまり、初めて『ラブ♡ボクシング』を聴いた時にどこか感じた懐かしさも、今の私の音楽視聴時間9割を占めるハロプロ曲の中でもリピート率高めの音楽ガッタスの曲も、全ては『アフロ軍曹』を約20年前に好きになった趣向に収束するのだ…。…というか、私は結局のところ 赤羽橋/つんく♂さんファンクが好き、という以前に、ジャンルとしてファンクが好きなのね… と静かに納得。
あと、前述のとおり幼少期車内で何度も聴いていたダンス☆マンさんのCD、わずかに覚えていた歌詞を頼りに調べたところ、空耳発想の曲群なようで…何それ素敵!と思いつつ、そういえば中高生の時はタモリ倶楽部の「空耳アワード」超好きだったな…となり、懐かしさ倍増。

好きなEDのもう1曲、『勝手に侵略者』も、負けず劣らず私の好きなものてんこもり。冒頭のの90年代感、電子音楽、子供向け番組で敢えて少し攻めた歌詞チョイス(ハロプロ 伝説ユニット あぁ!を想起…)。更にこちらも作曲者の方を調べてみたら、好きなアニメ、『ゾンビランドサガ』の曲も手掛けられていて……いやはや。

3.ケロン軍の悲哀

やっぱり、ケロロ軍曹が好きな一番の理由は、ケロン軍のキャラクターの"人間臭さ"と"悲哀"だと改めて思う。
地球(彼ら的には「ペコポン」)侵略を目指して上陸し、あれこれ作戦を立てるも、なかなか上手くいかない。"侵略"といいつつも、本隊からは実質すぐ見放され、侵略対象の人間の家に実質"居候"状態、軍曹は居候先の夏美には「ボケガエル」と呼ばれる始末…。一見すると、完全に失敗にも見える。
ただ他方、日向家の地下に次々と空間を開発してガンプラを楽しんだり、仲間たちと侵略作戦を練ったり、見方を変えれば 家事をする等してヒトを懐柔しつつ、確実にヒト界を侵食しているとも捉えられるのでは、と私は思う。
こういった、キャラクター全員が"人間臭く"、不器用であるからこそ成り立つといえる、絶妙なパワーバランスが好きなのだ。また、徐々にヒトVSケロンでなく、ドロロと小雪、ギロロと夏美、等、純粋に性格や立場等による、種別でないグルーピングになっていくのも良い。

ケロン軍の立場であったとき、皆が皆、軍曹のように生きることはできないのではないか。なかなか侵略というノルマが果たせない、いつ故郷に戻れるかもわからないかもしれない…こういった状況は、人によっては相当なプレッシャーになるのかもしれないと思う。そんな中でも長期戦を見据え(?)、人間界を楽しみつつ、日々仲間と共に暮らすケロン軍の"ゆるさ"はある意味サバイバル精神であるとも感じる。

以上のような、私がケロロ軍曹に惹かれる所以は、第1 OP曲、『ケロッ!とマーチ』の歌詞に全て凝縮されていると思う。
不器用さを持ちながら/それを自ら悟りながら、でも自分達ケロン人が宇宙一!(ここで「…多分」が入るのが良い)と奮い立たせ、ペコポン侵略は諦めない…でも「四角いところは丸く掃け」精神で決して突き詰めない。… 愛らしすぎる。

長くなったが、こういった「"悲哀""不器用さ"を抱えつつも、ひたむきに生きるさま」を少しのコミカルさを交えつつ鑑賞するのがおそらく私の好みであるらしい。
今大好きなハロプロも、正に"可愛い子には旅をさせよ"精神でハロメンたちが厳しい指導を受け、結果ビジュアルも歌もダンスも最強に仕上がりつつ…他方MVや衣装に少し残る(愛を込めて)そういった要素に"人間らしさ"を感じてしまう。

おわりに

約20年ぶりのケロロ軍曹に興奮冷めやらぬまま書き連ねてしまったが、正に三つ子の魂百まで、これから私が好きになる作品や文化も、何かしらケロロ軍曹と通ずる共通点があるのであろう。

ついつい、年を取るごとにタスクをノルマ化しがちというか、
自分で自分を追い込みがちなのだが、
文化資本をこれからも貪欲に蓄えつつ、それらを楽しみ続けるためにも、
ケロロ軍曹のOP『メンドク星マーチ』にも表されるような、ペコポンをサバイブするための あえての"ゆるさ"精神を見習って、
日々強く生きていきたいと思う次第であった。