出来の良い兄と、出来の悪い弟

兄は、誰にでもやさしかった。
弟は、誰にでもイタズラをした。

兄は、学問が得意だった。
弟は、学問が苦手だった。

兄は、人のために何かをやる人だった。
弟は、自分のために何かをやる人だった。

兄は、出来が良かった。
弟は、出来が悪かった。

 
 

やさしい兄は、誰からも好かれていた。
それに比べて、自分勝手な弟は、周りからは煙たい存在だった。
そんな兄の事が、気に入らなくて、小さい頃はよく喧嘩をした。
でも、年齢差があったので、弟は簡単に負けてしまう。


喧嘩を仕掛けるのは、いつも弟。
兄は基本的には取り合わないが、我慢の限界が来ると爆発する。
爆発すると、めちゃくちゃ怖くて、弟は一目散に逃げていく。


親の仲裁が入ったそのあとで。
それぞれに事情聴取をされると、決まって犯人は弟だった。
 

やがて、兄弟は喧嘩をしなくなった。
弟は、成長するにつれて、やさしい兄を尊敬するようになった。
めっきり喧嘩をしなくなり、仲が良い兄弟だと言われるようになった。
弟は、仲が良い兄弟が、少し誇らしかった。

兄は、ずっと弟のことを気にかけていた。
自分のことよりも、弟を優先し、弟について理解していた。
やっぱり、出来の良い兄だった。

 

今でも、弟はふと思うことがある。
自分は、兄の何を知っていたのだろうかと。
もしかして、何も知らなかったのではないか。
 

喧嘩をしなくなって、ずいぶんと歳月が流れた。
喧嘩をする相手が、ある日突然いなくなってしまって、それなりに時が過ぎた。

 
 

出来の悪い弟は、思う。

 

 

もっと、兄弟喧嘩をしておけば良かったのかな。

 
 
 
 

たくさん喧嘩をしておきなさい。
いつか、望んでもできなくなってしまう日が来てしまうから。

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入道雲を見ると、昔を思い出して、鼻の奥がツンとします。
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ニチニチ

ゆるゆるゆる。 何となく、何気なく、さりげなく。 子供のころに感じた空気感を、大人になった今では感じることが少なくなってしまった。 今でもふと、お日さまのにおいを感じることがある。 そんなとき、子供の自分に触れた気がして、嬉しくなってしまう。
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